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生物多様性クレジットとは・意味

生物多様性

生物多様性クレジットとは?

生物多様性クレジットとは、生物多様性オフセットを実行するため、生態系への影響を、他のものと交換できるよう定量化したものをいう。

生態系へ与える影響を定量化するには、その影響を評価する仕組みが必要になる。そして評価をするには、価値の高低によって与えた影響がポジティブなものか、ネガティブなものかを判断する必要があるため、まず価値づけをすることになる。

生態系を含む自然環境のもつ価値は、大きく下記の2つに分けることができる。

①利用価値
第一次産業に代表されるような人々が直接または間接的に利用し、得ることができる価値

②非利用価値
植物などがもつ炭素の固定化の能力などから得られるような、意図的に利用しなくとも自然を守ることで発生する価値

利用価値は、実際に利用し、見出されている価値であるため、評価をし定量化をすることは比較的容易ではあるが、それだけでは自然環境がもつ様々な価値の一部しか定量化できていない。

そもそも価値づけすら難しい自然環境に対し、その影響はどのように評価されているのか。

社会・将来・人間以外の種の利益を、”バランス良く”配慮する

自然環境のもつ自然資源を利用する際に指針となりうる1つとして、環境スチュワードシップの考えがある。

環境スチュワードシップとは、「保全を含む全ての自然資源利用において、個人的な利益を求めるだけでなく、社会の利益、将来世代の利益および人間以外の種の利益についてもきちんとバランス良く配慮し、その利用が社会にもたらすことについて重大な責任を担う覚悟のある資源利用」である。

つまり、「社会の利益、将来の利益および人間以外の種の利益」についてさまざまな立場の人たちが検討し、「バランス良く配慮」した上で、関係者が共に「重大な責任を担う覚悟のある資源利用」を実行すること。これが、環境スチュワードシップを実現することである。

イギリスでは、Operation Wallacea(Opwall)という研究組織が、生物多様性クレジットを生成するために企業や金融機関などとネットワークを形成している。オーストラリアのニューサウスウェールズ州では、生物多様性スチュワードシップを生物多様性クレジットを生成する仕組みとして取り入れている。

生物多様性への影響を評価する統一された枠組みによる、生物多様性クレジットの生成

オーストラリアでは、生物多様性クレジットを生成するのに、「Biodiversity Assessment Method(BAM)」と呼ばれる評価方法を利用している。BAMは、2016年に制定された「Biodiversity Conservation Act(BC法)」に従って、生物多様性への影響を評価する統一された枠組みである。

BAMを用いて評価できるのは、BC法に基づき生物多様性への影響を評価をする認定を受けた者だけである。その認定評価者が、生物多様性枠組みを用いて以下の3つのレポートを作成することになる。

①生物多様性開発評価レポート(BDAR)
②生物多様性認証評価レポート(BCAR)
③生物多様性スチュワードシップサイト評価レポート(BSSAR)

この3つのレポートにより科学に裏付けられた評価を土地所有者等にわかってもらった上で、生物多様性クレジットを生成することになる。

オーストラリアのニューサウスウェールズ州では、生物多様性クレジットを必要とする開発者や土地所有者にクレジットを販売するために、生物多様性スチュワードシップサイトを設立している。ここでは、4つのステップを経て、生物多様性クレジットが生成され販売される。

1. 認定評価者による土地の生物多様性クレジット適格基準の判断
2. 認定評価者によるBAMを用いた生物多様性クレジットの生成
3. Biodiversity Conservation Trust(BCT)と生物多様性スチュワードシップ契約を締結しクレジットを販売
4. 生物多様性スチュワードシップサイトにて生物多様性クレジットの売買

認定された評価者、土地の所有者、土地の所有者を管理するサイト運営者、生物多様性スチュワードシップサイトで生物多様性クレジットを購入する別の土地所有者など、様々な立場の人たちが関わることで生物多様性クレジットの売買がなされるネットワークが構築されている。

大切なのは、「社会の利益、将来の利益および人間以外の種の利益」についてさまざまな立場の人たちが検討し、「バランス良く配慮」することである。環境スチュワードシップの考えに則り、生物多様性クレジットが適切に利用されるような仕組み作りを今後も期待したい。

【参照サイト】生物多様性(環境省)
【参照サイト】戦略の目標と方向性(京都府)
【参照サイト】Operation Wallacea
【参照サイト】Biodiversity Assessment Method (BAM) Accreditation(ecosure)
【参照サイト】Generating and selling biodiversity credits(NSW)
【参照サイト】BIODIVERSITY ASSESSMENT METHOD(NARLA)




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