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エコーチェンバー現象とは・意味

エコーチェンバー

エコーチェンバー現象とは?

エコーチェンバー現象(エコーチャンバー現象、Echo chamber)とは、自分と同じ意見があらゆる方向から返ってくる「反響室」のような狭いコミュニティで、同じような意見を見聞きし続けることによって、自分の意見が増幅・強化されることを指す。ツイッターなどのSNSや、インターネット掲示板など「同じ趣味・思想の人とつながることができる」場で起こりやすい現象だ。

現在、私たちは過去のユーザー情報をもとに、各人に最適化された広告やコンテンツが表示されるようなインターネットのフィルターの傘下におり、無意識に似た情報や視点に囲まれてしまう。これは、フィルターバブルと呼ばれるものだ。検索エンジンなどで興味のあるワードを打ち込もうとすると、過去の閲覧履歴などからすでに予測変換されて、私たちが一番見たいであろうページを表示してくれるのも、この一種である。私たちは毎日「各々の」関心のある事項・信じたい情報に触れているのだ。

信じたい情報を信じ、自分の意見を「正しい」と強固に信じこむことは、自分とは異なる考え方を排除することにもつながってゆく。異なる意見を持つ者同士の対話が阻害され、断絶が生まれてしまうのである。

特に政治の分野では断絶がおこりやすいと、アメリカの法学者キャス・サンスティーン氏は指摘する。同氏が過去、無作為に選んだ60の政治系サイトを対象に、各サイトのリンク先を調査したところ、反対意見へのリンクは2割に満たない一方で、同意見へのリンクは約6割と高くなることがわかった(※1)

この現象の呼ばれ方はさまざまで、エコーチェンバー効果、エコーチェンバー化などと言う人もいる。また、考えや思想を同じくする人々がインターネット上で強力に結びついた結果、異なる意見を一切排除した、閉鎖的で過激なコミュニティを形成する現象は、サイバーカスケードとも呼ばれる。

※1 キャス・サンスティーン著『インターネットは民主主義の敵か』

エコーチェンバー現象の問題点

自分が心地よいと思うコミュニティにいること自体は、悪いことではない。エコーチェンバーの問題点は、常に同じ意見を見聞きしていると、それ以外の認識が間違っているように思えてくることだ。

大のイグアナ好きがいたとする。普段の生活圏内では彼の趣味に賛同してくれる人がいなくても、インターネットで検索すれば世界中の同志(オタク仲間)といとも簡単に出会える。自分はおかしいのだろうかと悩む必要もなく、自分の趣味について堂々と語れる。これがインターネットの良さだ。だが、熱を帯びたコミュニティが少し道を外し、例えば「イグアナの素晴らしさを解しようとしない世間」への反発心を溜めだすと、話が過激になる。傍から見たらフェイクニュースだったり、倫理的に考えておかしいことだったりしても、本人たちは「正しい」と思ったままだ。

そもそもインターネットは、一生をかけても到底すべてを把握できないほど多様な情報、意見、感想が転がっている。このように集団極性化によって異なる意見を排除し始めると、断絶や不和を生む。

エコーチェンバーの具体例

先述したように、エコーチェンバーの多くは政治分野に起こりやすく、人々の断絶を生んでいる。

2016年のアメリカ大統領選挙において、インディペンデント誌は、SNS上のエコーチェンバーがドナルド・トランプ氏を勝利に導いた、と指摘。私たち向けに「カスタイマイズ」されたSNSのフィードで形成される世論は、自分とは反対意見の混乱したり怒ったりしている人々の存在を見えなくしてしまうだけでなく、そんな人々への歪んだ見方をもたらす、としている(※2)。また、2020年の大統領選挙においても、ツイッターでは「トランプ支持者とは同じ空間にもいたくない」「民主党支持者はバカ」などさまざまな意見があふれており、政治的な思想と排除・個人攻撃が結びついていることがわかる。

また、イギリスのEU離脱を問う(ブレグジット)の国民投票でも、同じくツイッター上でエコーチェンバーが発生していた。英ロンドン大学の研究チームが15,000を超えるユーザーのツイートアクティビティを分析したところ「離脱派」「残留派」ともに、メッセージの68~9%は同じ意見を持っている人に向けられ、反対派に向けたメッセージはわずか9~10%ほどだった。そして離脱派の場合、会話は近くの地域に住むユーザー間に限られていたことも明らかになっている。

※ Social media echo chambers gifted Donald Trump the presidency

エコーチェンバーへの対策

現在、さまざまな企業がエコーチェンバーによるフェイクニュースの拡散や、断絶の防止の対策に乗り出しているが、ここでは個人でできることとを、少々極端な例も含めていくつか挙げてみる。

フィルターバブル対策

  • ブラウザ上で、履歴を残さないように閲覧(Chromeでいうシークレットモード)
  • Googleアカウントからログアウト
  • 広告のカスタマイズをオフにする

エコーチェンバー対策

  • 集団の中で発信される意見を見たときに「自分たちが多数派だ」と決して勘違いしない
  • 定期的に、自分もエコーチェンバー現象にはまっていないか?と客観視する
  • 安易な情報に飛びつかず、一次情報を探しにいく
  • 「データ」や「事実」を確認することはもちろん、その因果関係を読み間違えないようにする(例:ゲームをする人と性犯罪をする人が同時期に増えた。だからゲームをする人は性犯罪者だ)
  • インターネットには自分と違う意見の人がごまんといることを認識する

また、WEB上には、自分がどのくらいエコーチェンバーの中に入ってしまっているのかを客観的に評価してくれるサービスもある(▷エコーチェンバー評価システムβ版)。診断結果だけがすべてではないが、こうしたツールを使うことは「自分の認知は偏っているかもしれない」と気づくきっかけになるはずだ。

【関連ページ】フィルターバブルとは・意味
【関連ページ】サイバーカスケードとは・意味




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