グリーンファイナンスとは？

グリーンファイナンスとは、環境問題の解決に向けた取り組み（グリーンプロジェクト）に特化した金融のことを指す。企業や地方自治体が、温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーの活用などに投資する場合に、債権（グリーンボンド）や借入（グリーンローン）という形の資金提供を受けられる仕組みだ。

欧州を中心とした海外で2000年代より発展した概念であるが、日本で本格的に取り入れられ始めたのは、政府系金融機関が国内初のグリーンボンドを発行した2014年からである。さらに2015年にパリ協定および持続可能な開発目標（SDGs）が採択されたことにより、近年日本でのグリーンファイナンス市場の拡大は加速している。

グリーンファイナンスの普及状況

グリーンファイナンスの一種であるグリーンボンドは、企業や地方自治体等が国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために債権を発行し、資金提供者を募る方式だ。債権の発行ルールについては環境省が細かなガイドラインを設定しており、確実に当初の目的のために資金が使用される仕組みになっている。

グリーンボンドの発行によって企業や地方自治体は資金を調達できるだけでなく、自社のサステナビリティを高めたり、社会的評価を獲得したりすることも期待できる。国内企業等のグリーンボンドの発行実績は2014年から年々増加しており、2020年には年間発行総額が1兆円を突破している。

グリーンファイナンスポータル「国内企業等によるグリーンボンドの発行実績」より引用

また、企業や地方自治体等が国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために金融機関から融資を受けるグリーンローンも、資金使途などが明確で透明性の高い仕組みだ。グリーンローンの普及率もほぼ右肩上がりで上昇しており、2022年の国内のグリーンローン組成額は、5月時点ですでに過去最高の1,738億円に到達している。

グリーンファイナンスポータル「国内のグリーンローン組成額の推移」より引用

なお、海外でも欧州やアジア太平洋地域を中心にグリーンファイナンスの活用が進んでおり、今後もさらなる普及が予想されている。

グリーンファイナンスの活用事例

グリーンファイナンスにおいては、再生可能エネルギーに関する事業や省エネルギーに関する事業、生物多様性保全、グリーンビルディングなど明確な環境改善効果をもたらすと考えられる多様なプロジェクトが対象となる。

日本ですでにグリーンファイナンスを活用した直近の事例をあげると、以下のとおりだ。

直近のグリーンボンド活用事例

• 関西電力：再生可能エネルギー事業（水力・風力・太陽光）の開発、建設、運営、改修、水素関連の調査や実証等及び創エネ・畜エネの推進に関する事業（計550億円）
• 東海旅客鉄道：地球環境保全に資する新幹線車両更新としてN700Sへの更新投資に充当（200億円）
• 三重県：温室効果ガスの排出削減・吸収源対策、気候変動の影響の軽減対策に充当（50億円）

直近のグリーンローン活用事例

• 星野リゾート・リート投資法人：グリーン適格物件の取得に伴う借入金の返済（39億円）
• Soma Clean Energy：福島県南相馬市での 2 カ所の太陽光発電所の開発費用（約8億円）
• JX Metals Circular Solutions Europe GmbH（ＪＸ金属の子会社）： 車載用リチウムイオン電池のリサイクルに関する研究開発用設備への投資（約12億円）

今後のグリーンファイナンスについて

世界中でCO2排出量削減や脱炭素化が叫ばれるなかで、企業や自治体の環境問題への取り組みはもはや不可欠なものとなっている。ただし環境に配慮した取り組みには時に膨大な労力や費用を要するため、個人や一企業での解決は難しく、社会が一体となって推し進める必要がある。

日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しており、グリーンファイナンスの重要性は今後もより高まっていくだろう。企業が努力しグリーンプロジェクトを拡大させていくことで、投資家への利益還元、ひいては自社の評価の向上や長期的成長も期待できる。

こうした好循環を生み出すことではじめて、私たちは環境問題という計り知れない大きな問題に立ち向かい、地球の未来を守ることができるだろう。

【関連ページ】グリーンボンドとは・意味
【関連ページ】グリーンローンとは・意味
【参照サイト】環境省 – グリーンファイナンスポータル
【参照サイト】一般社団法人グリーンファイナンス推進機構HP
【参照サイト】GMO Payment Gateway, Inc – グリーンファイナンスとは？ESG投資を促す新たな資金調達方法を解説

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