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エレン・マッカーサー財団とは・意味

エレン・マッカーサー財団とは・意味

エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)は、世界的にサーキュラーエコノミーの推進を目的とするイギリス拠点の組織である。

サーキュラーエコノミー(循環経済/循環型経済)とは・意味

2010年に創設者であるエレン・マッカーサー氏によって設立されて以来、リニア型経済からサーキュラー型経済への移行を加速させることをビジョンとして掲げ、情報発信、グローバルネットワークの構築、学習コンテンツの提供など、多岐にわたる活動を展開している。

財団創設者 エレン・マッカーサーについて

エレン・マッカーサー氏は1977年、イギリスに生まれた。2001年、24歳の時に単独での世界一周航海を成し遂げ、プロのセーリング選手として注目を集めた。2003年には、8歳から24歳までの若者のがん治療後の社会復帰をセーリングを通じてサポートする「The Ellen MacArthur Cancer Trust」を設立している。

プロのセーリング選手として活動する中で、限られた資源の重要性を痛感し、社会がそれらに依存している現状に危機感を抱いたことから、地方自治体や政府、科学者、企業と連携し、経済モデルについての学習を深めた。その後、プロのセーリング選手を引退し、2010年9月にリニア型経済からサーキュラー型経済への移行を推進する「エレン・マッカーサー財団」を立ち上げた。

【欧州CE特集#34 】サーキュラーエコノミーは、システミック・チェンジ。英国エレン・マッカーサー財団

サーキュラーエコノミーを国際的に推進するプラットフォーム「CE100」

エレン・マッカーサー財団が主導するサーキュラーエコノミー推進のための国際ネットワーク「CE100」は、2013年に設立され、企業、公共団体、地域組織、大学などが参加するプラットフォームである。CE100は、サーキュラーエコノミーを推進する組織や団体同士のネットワーク構築を通じて、異業種・他団体間での連携や世界規模での研究・調査の機会を創出することを目的としている。

2020年3月には、新たに12社がCE100に加入し、欧米で革新的なビジネスを展開する企業が増加している。 日本からは、2018年にブリヂストン、2019年に三菱ケミカルホールディングスが参加しているが、全体として日本企業の参加はまだ少ない状況である。

CE100への参加は、サーキュラーエコノミーに関する最新の知見や実践的な取り組みを共有し、他の組織との協働を通じて新たなビジネスモデルの構築や市場形成を促進する機会を提供する。特に、共同プロジェクトやワークショップ、年次サミットなどを通じて、参加組織は具体的な課題解決やイノベーションの創出に取り組むことができる。

プラスチック問題にアプローチする「the New Plastics Economy initiative」

増え続ける廃プラスチックとそれによる大気汚染の問題に対処すべく、エレン・マッカーサー財団が先導するのが「the New Plastics Economy initiative 」だ。この取り組みでは、不要なプラスチックの使用を削減し、必要なプラスチックはリユース・リサイクル可能なものに転換すること、そして全てのプラスチックが廃棄や放置されることなく、常に経済循環の中で使用され続けることを目指している。

そのための取り組みとして、社会全体で横断的にプラスチックのリユース・リサイクルの流れを構築するために複数の企業・団体の協働機会の創出や、プラスチックの削減やリサイクルに向けたアイデアや技術を表彰しそれを具体的なビジネスモデルに落とし込む「New Plastics Economy Innovation Prize」の開催などがあげられる。

2024年11月には、国連環境計画(UNEP)と共同で「グローバル・コミットメント2024年次進捗報告書」を発行し、加盟団体が1,000を突破したことを報告している。また、署名組織が生産するプラスチック容器包装は世界の生産量の20%を占めるとされている。

まとめ

サーキュラーエコノミーは企業や政府だけでなく、私たち一人ひとりの選択にも依存している。例えば、製品を長く使う、修理して再利用する、使い捨てを避けるといった日常の行動が、サーキュラーエコノミーの実現に寄与する。

エレン・マッカーサー財団が示す未来像は、「廃棄物」という概念が存在しない経済システムである。これは単なる理想論ではなく、経済合理性を兼ね備えた持続可能なビジョンだ。企業、政府、教育機関、そして私たち市民が一体となることで、真の意味での「循環型経済」が実現されるだろう。

【関連記事】【欧州CE特集#34 】サーキュラーエコノミーは、システミック・チェンジ。英国エレン・マッカーサー財団
【参照記事】「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #1
【参照記事】英エレン・マッカーサー財団「サーキュラー・エコノミー100」への参加について ―日本の化学企業として初参加―
【参照記事】エレン・マッカーサー財団「サーキュラー・エコノミー100」に参加
【参照記事】The Ellen MacArthur Foundation’s Circular Economy 100 programme launches its USA network
【参照サイト】エレン・マッカーサー財団 公式サイト
【参照サイト】エレン・マッカーサー 公式サイト
【参照サイト】The Ellen MacArthur Cancer Trust 公式サイト
【参照サイト】the New Plastics Economy initiative 公式サイト

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