気候非常事態宣言とは・意味
気候非常事態宣言とは?
気候非常事態宣言とは、国や、自治体、学校、団体といった組織が、気候変動が異常な状態であることを認める宣言を行うと同時に、気候変動(もはや気候危機)を緩和するための積極的な政策を打ち出すことによって、市民や事業者などの関心を高め、気候変動への行動を加速させるもの。短く「気候危機宣言」と呼ばれることもある。
平たく言うと、「火事だ!」と警報を鳴らすことによって人々の注目を集め、火事=気候変動を緩和する政策を積極的に打ち出すことだ。目的は、環境保全によって人類、社会経済、エコシステムを守ることにある。
気候非常事態宣言をした国
世界で最初に宣言を出したのはオーストラリア・デアビン市。草の根活動家が政治家に個別に働きかけを行い、2016年に議決にこぎつけた。その後、欧米に拡大し、特に2016年に熱波で93人が死亡したカナダのケベック州では300以上もの自治体がこの宣言に参加した。今や世界中で11,00以上(2019年10月時点)もの国や地域、組織が宣言を出している。
下記が、現在(2020年12月)までに気候非常事態宣言をした国である。
- スコットランド (2019年4月28日)
- イギリス (2019年5月1日)
- ジャージー (2019年5月2日)
- アイルランド共和国 (2019年5月9日)
- マン島 (2019年5月10日)
- ホーリーシー (2019年6月)
- ポルトガル(2019年6月7日)
- カナダ (2019年6月17日)
- フランス共和国 (2019年6月27日)
- 日本(2020年11月20日)
日本で最初に気候非常事態宣言をしたのは壱岐市
日本では、長崎県壱岐市が2019年9月に初めて気候非常事態宣言をし、神奈川県鎌倉市がそれに続いた。壱岐市は、内閣府の「SDGs未来都市」にも県内で唯一選ばれている。
壱岐市総務部の職員にインタビューをしたところ、全国に先駆けて宣言を出したきっかけは、気候変動による自然災害が顕著になってきたことや、海水温の上昇により、魚の住処となる藻場が大幅に減少したことだとわかった。漁業が主な産業である壱岐市にとっては大打撃で、環境面だけではなく、地域の経済面も考えての宣言だという。今後の取り組みに注目したい。
2020年11月20日、ついに日本もスタートラインへ
日本は2020年10月の「2050年カーボン・ニュートラル」宣言に続き、2020年11月20日、国会で「気候非常事態宣言」を決議した。
全党一致の決議文では、近年の気候変動による災害や森林火災について触れ、もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えていることや、そのために一刻も早く脱炭素社会の実現に向けて動き出す必要があることなどが述べられている。
(気候非常事態宣言決議案 全文)
近年、地球温暖化も要因として、世界各地を記録的な熱波が襲い、大規模な森林火災を引き起こすとともに、ハリケーンや洪水が未曽有の被害をもたらしている。我が国でも、災害級の猛暑や熱中症による搬送者・死亡者数の増加のほか、数十年に一度といわれる台風・豪雨が毎年のように発生し深刻な被害をもたらしている。
これに対し、世界は、パリ協定の下、温室効果ガスの排出削減目標を定め、取組の強化を進めているが、各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足しており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面している。
私たちは「もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている」との認識を世界と共有する。そしてこの危機を克服すべく、一日も早い脱炭素社会の実現に向けて、我が国の経済社会の再設計・取組の抜本的強化を行い、国際社会の名誉ある一員として、それに相応しい取組を、国を挙げて実践していくことを決意する。その第一歩として、ここに国民を代表する国会の総意として気候非常事態を宣言する。右決議する。
ー参議院本会議より
これにより、今後ますます日本における自治体や組織、団体などの脱炭素の動きが加速していく期待が高まる。
【参照サイト】壱岐市 「気候非常事態宣言」を表明します!
【参照サイト】 環境省「地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況」
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