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エクエーター原則(Equator Principles)とは・意味

ビル

Image via pixabay

エクエーター原則とは?

エクエーター原則とは、大規模な開発プロジェクトや建設への融資の際に、民間の金融機関が地球環境や社会課題に考慮した融資を行うためのガイドラインのことである。採択している金融機関はEPFI(Equator Principles Financial Institution)と呼ばれ、エクエーター原則協会を構成して原則の管理、運営及び発展に努めている。

エクエーター原則は2003年に第1版が公開されているが、90年代後半までは政府系及び国際金融取引を行う金融機関がそれぞれにガイドラインを持ち、地球環境や社会へのリスクを考慮した融資を行なってきた。しかし、ガイドラインの整備が進まない民間の金融機関が多く、環境NGO等から企業の社会的責任を求める声が高まっていった。その後、国際金融公社(IFC)の呼びかけで2002年に行われた会合がきっかけとなり、IFCを含む5つの金融機関によって作成された。

対象となる案件

エクエーター原則は世界中の金融機関が採択可能で、全ての国や地域、産業が対象であるが、投資対象案件(大規模プロジェクトまたは金融商品)は以下のいずれかの場合のみである。

1. プロジェクトファイナンスアドバイザリーサービス
プロジェクト総額が1000万米ドル以上の全ての案件

2. プロジェクトファイナンス
プロジェクト総額が1000万米ドル以上の全てのプロジェクト

3. プロジェクト紐付きコーポレートローン(PRCL)
事業会社向けコーポレートローンで、新規開発、物理的拡張、改修のいずれかに該当し、資金使途が特定の条件を満たす場合。(バイヤーズクレジット型輸出金融を含む)

4. ブリッジローン
貸出期間2年未満で、特定の条件を満たすプロジェクトファイナンス、もしくはPRCLによってリファイナンスされることを意図したもの

5. プロジェクト紐付きリファイナンスとプロジェクト紐付き買収ファイナンス
以下3つの条件を全て満たすプロジェクト

  • 過去にエクエーター原則フレームワークに基づいて融資されている
  • プロジェクトの規模あるいは目的の重大な変更が無い
  • 融資契約書の調印時点でプロジェクトが完工していない

プロジェクト開始時期が過去に遡る場合は対象外だが、既存プロジェクトの拡張または改修に関してはエクエーター原則の対象である。

EPFIが遵守すべき10の原則

対象となるプロジェクトに融資する際、EPFIは以下にある10の原則を遵守する必要がある。

1. レビュー、およびカテゴリーの付与
プロジェクトに潜在する環境・社会に対するリスクを考慮して3つのレベル(A:リスク大、B:リスク中、C:リスク小)にカテゴライズする。

2. 環境・社会アセスメント
プロジェクトの実施に関連して発生する温室効果ガスの排出量を算定し、年間10万トンを超える場合は代替案分析を実施する。カテゴリAまたはBのプロジェクトのみ、EPFIは顧客に対して環境・社会に対するリスクの評価を求める。

3. 適用される環境・社会基準
プロジェクト実施予定地の法律を遵守することは必須である。また、環境社会への影響評価のプロセスにおいては「IFCパフォーマンススタンダード」と世界銀行グループの「環境・衛生・安全(EHS)ガイドライン」も合わせて遵守することを顧客に求めなければならない。

4. 環境・社会マネジメントシステムと、エクエーター原則/赤道原則アクション
カテゴリAまたはBのプロジェクトのみ、EPFIは顧客に対して環境・社会マネジメントシステム(ESMS)を構築し、維持運用を求める。

5. ステークホルダー・エンゲージメント
カテゴリAまたはBのプロジェクトのみ、EPFIは顧客に対してステークホルダー・エンゲージメントの実施を求める必要がある。

6. 苦情処理メカニズム
カテゴリAまたはBのプロジェクトの中でも必要とされる場合に限り、EPFIは顧客に対してステークホルダーからの苦情に対応する体制の構築を要求する。

7. 独立した環境・社会コンサルタントによるレビュー
ここまでの原則に沿って行ってきた一連の取り組みについて、独立した外部の環境・社会コンサルタントのレビューを受ける。

8. 誓約条項(コベナンツ)
プロジェクトの開始に先立って、EPFIは顧客に対してエクエーター原則の遵守に関連した誓約条項(コベナンツ)を盛り込んだ融資契約書を交わす。

9. 独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の検証
融資後の進捗について、独立した外部の環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告を受けたのち、EPFIがその内容を検証する。

10. 情報開示と透明性
EPFIは、少なくとも年に1回、融資した案件とエクエーター原則の実施プロセス、実績について公表する義務がある。

各国の採択状況と展望

2021年6月時点で、世界37カ国にある118の金融機関がエクエーター原則を採択している。日本では2003年にみずほ銀行がアジアで初めてエクエーター原則を採択し、アジア・オセアニア地域の代表も務めている。

2019年に公開された第4版では、人権や気候変動、先住民及び生物多様性への配慮が強化されている。地球環境や社会課題への配慮を欠いた大規模プロジェクトまたはそれに関わる金融商品は、今後はより資金の調達が難しくなるだろう。だとすれば、大手の金融機関が率先してエクエーター原則を採択することで、これまで以上に事前計画の重要性が高まっていく。総合的な配慮がなされ、緻密な計画と客観的な精査を経た融資がファイナンシャル・スタンダードとなる未来に期待したい。

【参照サイト】 The Equator Principles – Environmental and social risk management for projects
【参考資料】 エクエーター原則/赤道原則 2020年7月

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