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ビジネスと人権とは・意味

人権

ビジネスと人権とは?

「ビジネスと人権」とは、企業の事業活動(原材料調達、製造から製品の廃棄・リサイクル・再資源化までのサプライチェーン)とステークホルダー(労働者、消費者、地域住民など)との関わりにおける人権課題を包括的にとらえた概念である。

2011年に国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則(UN Guiding Principles on Business and Human Rights、以下「指導原則」)」が採択されたことを契機に、国内外の政府、企業レベルで取り組みが進められている。指導原則に法的拘束力はないものの、国連での採択が全会一致であったことから「ビジネスと人権」に関する国際規範として広く浸透している。

「ビジネスと人権」の歴史

経済のグローバル化の進展に伴い、多国籍企業による開発途上国の先住民族や地元住民の人権侵害が社会問題化した。1980年代後半から国連の場で「ビジネスと人権」の議論が始まったが、国家、企業、市民社会の意見の対立により議論は困難を極めた。

こうしたなか、大きな転機となったのが、2005年のジョン・ラギーハーバード大学教授の人権と多国籍企業に関する国連事務総長特別代表任命だ。ラギー特別代表は、地理的なバランスを考慮しながら多様なステークホルダーとの協議を繰り返し行った。こうした協議を踏まえて、2008年にはラギーフレームワークと呼ばれる「保護、尊重及び救済の枠組み」を国連人権理事会に提出した。冒頭の「指導原則」は、ラギーフレームワークの具体的な運用方法を記述したものである。

「指導原則」が採択されるまでの経緯

    2003年
    個人資格の専門家からなる国連人権小委員会が企業に国家と同等の法的義務を課す「人権に関する多国籍企業および他の企業の責任に関する規範」を採択
    2004年
    賛成・反対と意見の分かれる国家、企業、市民社会の間の激しい対立により、国家代表からなる国連人権委員会は規範が委員会の要請に基づくものではないことを確認
    2005年
    国連人権委員会はジョン・ラギーハーバード大学教授を人権と多国籍企業に関する国連事務総長特別代表に任命
    2008年
    ラギー特別代表が国連人権理事会に「保護、尊重及び救済の枠組み」を提出
    2011年
    国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択

「ビジネスと人権」の3つの柱

「ビジネスと人権」の柱となるのが、ラギーフレームワークのなかで示されている、①国家の人権保護義務、②企業の人権尊重責任、③被害者による救済へのアクセスの3つだ。人権保護が国際人権法上の国家の義務であることを確認する一方、企業には法的義務ではなく人権尊重のための責任ある行動を求める内容となっている。

人権を尊重する企業の責任として、人権方針の策定、人権リスクの予防および軽減のための仕組みである人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施、是正・苦情処理メカニズムを構築が求められている。

実効性がある人権デュー・ディリジェンスの実施が重要な課題

人権リスクとは、過重労働や強制労働など、企業の事業活動によりステークホルダーの人権が侵害されるリスクである。企業はこうした人権リスクに適切に対応しなければ、訴訟や行政処分、ストライキ、レピュテーション・リスクや不買運動、株価の下落などの経営リスクを招く可能性がある。

近年、注目が高まっているのが、取引先企業等を通して間接的に人権侵害に関与する「サプライチェーンの人権問題」である。特に、多国籍企業にとっては、海外の取引先等における人権リスクの把握は容易ではなく、実効性がある人権デュー・ディリジェンスの実施が重要な課題となっている。

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【参照サイト】ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組実施のために(A/HRC/17/31) | 国際連合広報センター (unic.or.jp) 
【参照サイト】ビジネスと人権|外務省 (mofa.go.jp)
【参照サイト】企業に求められる「ビジネスと人権」への対応|法務省 (moj.go.jp)
【参照サイト】「ビジネスと人権」:国連による規範形成に焦点をあてて – 国際法学会 “JSIL” Japanese Society of International Law 国際法学会
【参照サイト】経団連:企業行動憲章 実行の手引き「第4章 人権の尊重」の改訂 および「人権を尊重する経営のためのハンドブック」の策定 (2021-12-14) (keidanren.or.jp) 一般社団法人 日本経済団体連合会




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