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グリーン成長戦略とは・意味

再生可能エネルギー

グリーン成長戦略とは?

2020年12月25日に採択された、グリーン成長戦略。同年10月に菅総理が宣言した「2050年までにカーボンニュートラル実現」の目標に基づき、成長戦略会議や、経済産業省、環境省が連携して打ち出した計画だ。わかりやすくいうと、脱炭素社会を目指して、政府が現時点で考えるエネルギー政策と、これからのエネルギー需給の見通しを2050年までのロードマップとして示しているものである。同時に、これから成長が期待される産業(14分野)に対し高い目標が設定されている。

目的や、策定の理由は?

戦略の基本的な目的は、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入・省エネルギー技術の導入、といったエネルギーシフトによって経済成長をはかるというもの。内閣官房の資料では、国のすべての電力需要を100%再エネで賄うことは難しいという姿勢を示しながらも、2050年には発電量の約50~60%を再エネで賄うことを検討している。また、「温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入。」と書かれている。

グリーン成長戦略の背景には、世界の共通課題となっている気候変動がある。各国でコロナ禍から経済回復すると同時に環境も再生していく取り組みが行われようとしている中、日本も2020年10月に脱炭素を発表したことは画期的だった。また、東日本大震災・福島第一原発事故の教訓から、エネルギー・環境政策が抜本的に見直されているということもある。

これから成長する14分野の野心的な目標

政府が発表した14分野とは、洋上風力、燃料アンモニア、水素、原子力、自動車・蓄電池、半導体・情報通信、船舶、物流・人流・土木インフラ、食料・農林水産業、航空機、カーボンリサイクル、住宅・建築物/次世代型太陽光、資源循環関連、ライフスタイル関連からなる。

以下は、その中のいくつかの具体的な策をあげたものである。

電力部門

  • 再エネ :最大限導入。系統整備、コスト低減、周辺環境との調和、蓄電池活用。洋上風力・蓄電池産業を成長分野に
  • 水素発電 :選択肢として最大限追求。供給量・需要量の拡大、インフラ整備、コスト低減。水素産業を創出
  • 火力+CO2回収 : 選択肢として最大限追求。 技術確立、適地開発、コスト低減。火力は必要最小限、使わざるを得ない
  • カーボンリサイクル・燃料アンモニア産業の創出
  • 原子力 : 確立した技術。安全性向上、再稼働、次世代炉。可能な限り依存度は低減しつつも、引き続き最大限活用。安全性に優れた次世代炉の開発

電力部門以外

電力部門以外は、「電化」が中心。熱需要には、「水素化」、「CO2回収」で対応。電力需要は増加しているので、省エネ関連産業を成長分野にする。

  • 産業 : 水素還元製鉄など製造プロセスの変革
  • 運輸 : 電動化、バイオ燃料、水素燃料
  • 業務・家庭 : 電化、水素化、蓄電池活用

蓄電

グリーン成長戦略を支えるのは、強靱なデジタルインフラ。半導体・情報通信産業を成長分野にする。

  • 電力 :スマートグリッド(系統運用)、太陽光・風力の需給調整、インフラの保守・点検等
  • 輸送 :自動運行(車、ドローン、航空機、鉄道)
  • 工場 : 製造自動化(FA、ロボット等)
  • 業務・家庭 : スマートハウス(再エネ+蓄電)、サービスロボット等

グリーン成長戦略のこれから

政府では上に挙げた分野での予算や税、規制改革・標準化、国際連携などのエネルギー政策を、まず2025年まで、そして2030年、2040年、2050年まで、というように長期的に示している。

経済と環境の好循環で、2030年に年間90兆円、2050年に年間190兆円の経済効果が見込まれている。内閣官房は「 国として、可能な限り具体的な見通しを示し、高い目標を掲げて、民間企業が挑戦しやすい環境を作る必要がある。」としている。

なお、脱炭素を進める日本の企業としては、楽天、三菱地所、積水化学、旭化成ホームズ、丸井グループ、ヒューリックなどが挙げられる。企業の具体的な取り組みが気になるところだが、政府として環境に関する長期的なロードマップを示した意義はある。

【参照サイト】内閣官房 成長戦略会議(第6回)配付資料
【参照サイト】経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました」
【参照サイト】経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
【参照サイト】梶山経済産業大臣の臨時記者会見の概要
【参照サイト】政府がグリーン成長戦略14分野で野心的目標。2050年に190兆円の経済効果




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