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ネイチャー・ポジティブとは・意味

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ネイチャー・ポジティブとは?

ネイチャー・ポジティブ(Nature Positive)とは、生物多様性の毀損に歯止めをかけ、自然をプラスに増やしていくことを意味する。

2021年10月に開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第1部の閣僚級会合の成果として、「遅くとも2030年までに生物多様性の損失を逆転させ回復させる」と、ネイチャー・ポジティブの考え方が取り入れられた「昆明宣言」が発表された。

2022年4~5月に開催されるCOP15の第2部会合では、2030年までに達成すべき新たな世界目標を含む「ポスト2020生物多様性フレームワーク(Post-2020 Biodiversity Framework)」の合意をめざしており、ネイチャー・ポジティブの実現に向けたグローバルな動向に注目が集まっている。

ポスト2020生物多様性フレームワーク

では、ポスト2020生物多様性フレームワークは、どのような内容になるのだろうか。2021年7月に国連生物多様性条約事務局(CBD)が発表したドラフト版によると、2050年に向けたビジョン「自然との共生(Living in harmony with nature)」を実現するために、4つの最終目標と、2030年のマイルストーンが設定されている。
【2050年に向けた最終目標(案)】

A:すべての生態系が強化され、その面積、連結性、完全性が少なくとも15%増加し、絶滅の割合が少なくとも10倍減少し、種の絶滅のリスクが半減し、野生種および家畜種の遺伝的多様性が保護され、すべての種における遺伝的多様性が少なくとも90%維持される。

B:自然の保全と持続可能な利用を通じて、自然が人に与える恩恵が評価され、維持され、強化される。

C:遺伝資源の利用から得られる利益が公正かつ公平に分配され、生物多様性の保全と持続可能な利用を含め、金銭的利益と非金銭的利益の両方が大幅に増加する。

D:利用可能な資金やその他の実施手段と、2050年ビジョンの達成に必要なものとの間のギャップが解消される。

上記の最終目標「A」は、生態系の強化と回復を目指すものであり、正にネイチャー・ポジティブの考え方を示している。最終目標「A」の2030年のマイルストーンとして、「生態系の面積、連結性、完全性において少なくとも5%の純増(ネットゲイン)を達成」を目指しており、ネイチャー・ポジティブは、早急に対応すべきテーマとして捉えられていると言えよう。

TNFDにおけるネイチャー・ポジティブ

2021年に発足したTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)も、ネイチャー・ポジティブの促進を後押ししている。TNFD共同議長のデビッド・クレイグ氏は「TNFDは世界の資金の流れを『ネイチャー・ポジティブ』に貢献できるよう変えるものだ。今後の取締役会や最高経営責任者(CEO)は自然のリスクを報告する必要があり、アニュアルレポートで定量・定性を組み合わせた自然に関する情報開示が必要になる」と強調しており、民間企業も今後、生物多様性に関する対応の強化や情報開示がより求められるようになっていくと考えられる。

TNFDが2021年6月に公開したレポート「Nature In Scope」では、TNFDフレームワークは国連生物多様性条約事務局(CBD)のグローバル生物多様性フレームワークの目標との整合性を図ることを試みていると記載されており、TNFDのフレームワークが発表されている。本格的な導入が始まれば、ネイチャー・ポジティブが世界共通の目標として広く認識されることになるかもしれない。

ネイチャー・ポジティブをどう測るのか

上記の通り、ネイチャー・ポジティブに向けた潮流は世界中で加速している。そこで課題となるのが、ビジネスや活動が自然に与えるポジティブ・ネガティブな影響や自然への依存などを、どのように可視化するのかという問題だ。

気候変動に関しては目標設定や測定に関する定量的なフレームワークが開発されているが、生物多様性に関しては、未だフレームワークが開発途上である。カバーしなければならない領域も、例えば水の量や質、土壌汚染、生態系や種の保全など、多岐にわたる。

SBTN(Science-Based Targets Network)では、自然資本に関する科学的な目標設定方法を定めた「Science-Based Targets (SBTs)for Nature」の開発を進めており、2020年には初期ガイダンスを発表した。2022年までに目標設定の手法を開発し、2025年までに水、土地、生物多様性、海洋に関するSBTの幅広い採用を目指すとしている。

今後の動向

2022年にはCOP15でポスト2020生物多様性フレームワークが採択され、2023年にはTNFDフレームワークが発表される予定だ。また、自然や生物多様性に関するSBTの手法も徐々に開発が進んでいくと予想されるなか、ネット・ゼロの次の潮流として、ネイチャー・ポジティブの波が一気に押し寄せそうだ。

【参照サイト】「生物多様性を回復させる」 COP閣僚宣言
【参照サイト】昆明宣言(環境省仮訳)
【参照サイト】UN Convention on Biological Diversity
【参照サイト】ネイチャー・ポジティブに脚光 生物多様性で投資選別
【参照サイト】TNFD「Nature in Scope」
【参照サイト】Science-based targets network




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