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アーティスト・イン・レジデンスとは・意味

アーティスト・イン・レジデンス

アーティスト・イン・レジデンスとは?

アーティスト・イン・レジデンス(Artist in Residence, AIR)とは、芸術家が一定期間異なる場所に滞在し、芸術活動やリサーチを行うこと、またその支援を行うこと。

日常とは異なる環境に身を置くことで、研究や創作活動に没頭することができる。また多様な人々との交流や文化体験を得ることで、新たな発想や表現方法の可能性を模索することができる。このように、芸術活動の糧となるような環境を整える活動である。

アーティスト・イン・レジデンスの歴史

アーティスト・イン・レジデンスの歴史は、17世紀のフランスに遡る。フランスの王立アカデミーが、「ローマ賞」を受賞した芸術家をローマに留学させる制度があったのだ。

1950~1960年代には、欧米でアーティスト・イン・レジデンスの機運が高まった。代表的な例として挙げられるのは、ドイツのアートセンター「キュンストラーハウス・ベタニエン」だ。自由な表現の場を求めていた美術学生や若手の芸術家達が、かつて病院だった無人の建物を占拠し芸術活動を始めたのだ。その後、州政府が、その建物を「芸術家の家」(キュンストラーハウス)として容認したのである。

このように、伝統的な芸術に対抗するオルタナティブな芸術を模索する場として、使われなくなった学校、僧院や屋敷等を芸術家の家として転用するケースが増えていった。現代のアーティスト・イン・レジデンスは、絵画や彫刻などのヴィジュアル・アート、演劇、ダンス、パフォーマンスなど、多様なジャンルに対応している。また、奨学金付きのプログラムや、ゲストハウス型の滞在支援など、様々な形態がある。

日本におけるアーティスト・イン・レジデンス

1990年代から日本でも注目を集め始め、自治体や民間団体がアーティスト・イン・レジデンスの機会を提供している。以下はその一例である。

  • アーカスプロジェクト
  • 国際芸術センター青森
  • 秋吉台国際芸術村
  • AITレジデンスプログラム
  • 黄金町アーティスト・イン・レジデンスプログラム
  • 滋賀県立陶芸の森

また、国内の芸術家の海外派遣や、海外の芸術家の日本への招へい支援、また優れたアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの支援を、文化庁や各国大使館が行っている。

なぜアーティスト・イン・レジデンスなのか

芸術家の芸術活動を支援するアーティスト・イン・レジデンス。期待される効果は幅広い。

  • 異なる文化や地域バックグラウンドを持つ芸術家同士の交流支援
  • 芸術家の自己研さんや、芸術家同士の相互啓発支援
  • 展覧会やフェスティバルといった「作品の発表」にとらわれない、自由な表現の場の提供
  • 芸術家を受け入れることによる地域文化の振興、地域住民への芸術機会の提供
  • 地域住民と芸術家の交流

その一方で、地域自治体が主導することで、地域住民との交流や芸術活動の公開が芸術家にとっての「義務」となってしまい、芸術家たちへの負担となる恐れもある。「自由な芸術活動の場の提供」と「地域振興」のバランスが求められている。

まとめ

非日常の環境で、多様なバックグラウンドを持つ芸術家同士の研さんや、創作活動への専念を促す、アーティスト・イン・レジデンス。伝統的な枠組みに捉われず芸術活動を促進する場として、さらには地域住民との交流や地域振興の機会として、今後も活動の輪は広がっていくだろう。

【参照サイト】アーティスト・イン・レジデンス(美術手帖)
【参照サイト】わが国のアーティスト・イン・レジデンス事業の概況(AIR_J)
【参照サイト】アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業(文化庁)




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