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クローン文化財とは・意味

クローン文化財

クローン文化財とは?

クローン文化財とは、最新のテクノロジーや、専門的な知見、伝統美術の職人芸を組み合わせる画期的な方法で文化財を複製する(クローンをつくる)こと。たとえば日本に古くからある美術工芸品や、巻物、祭壇などを3Dプリンター等の技術をつかって複製し、次の世代へ継承していくことだ。東京藝術大学で、文化財保存修復の複製画を専門とする宮廻正明名誉教授らが確立し、命名した。

文化財は、当然貴重なものである。状態を損なうことなく後世に残すのにベスト方法は、実は一般に公開しないことだという。しかし、文化的価値の高いものをより多くの人に知ってもらうには、公開し直接目にしてもらうのが効果的だ。

そこで、作品につかわれていた素材や絵具等の画材をテクノロジーで分析し、専門の職人が丹念に色づけする取り組みがはじまった。破損等で、失われてしまっている部分に関しては、豊富な資料や知見に基づき推察する。これにより、つくられた当時に忠実な状態を再現。現存するオリジナル以上に完成度が高く鮮やかな作品に昇華させる。東京藝術大学でも、本物ではなく「クローン文化財のみの美術展示会」が行われた。

クローンをつくることにより、展示と保存を高次元で両立することが可能になる。そして本来持ちだせないような国宝級の美術品についても、海外で展示会を行うことができるだろう。

クローンをつくることによる新たな可能性

文化財は、長い年月の間にさまざまなリスクにさらされる。自然風化はもちろんだが、それ以外にも盗掘や、紛争時の軍事攻撃、思想的に敵対する支配者や武装組織の意図的な破壊行為などがある。

たとえば、中国新疆ウイグル自治区にある「キジル石窟」は以前、壮麗な仏教壁画で埋め尽くされていた。しかしこの地域の住民は、偶像崇拝が禁じられているイスラム教徒になっていたため、壁画が破壊される危険があるとし、列強の探検隊が大挙押し寄せて、保護の名目で持ち去った。その中には、第二次世界大戦のドイツ空爆で焼失してしまったものもある。だからこそ、クローン文化財のノウハウを用い、残されたデータ等から復元可能にしておくのだ。

また、クローンをつくることは、美術品のインクルージョンという意味でも有意義だ。通常文化財は傷がつかないように、一般市民が手で触れることは厳禁になっている。しかしクローン文化財の場合は、つくり直すことが可能なため、手で触れること可能になる。これにより、展示を目にすることができない視覚障がい者などが、手で触れながら美術品について知ることができる。

日本が誇る重要な文化財の「偽物」「コピーキャット」「模倣」をつくる、と言うとマイナスなイメージがつき、実際にクローン文化財に対しては批判的な声もあるが、テクノロジーの力で文化財を高次元に保存し、何かリスクがあったときにはデータから再現できるようにしておくことは、非常に意味のあることではないか。

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