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スマートグリッドとは・意味

スマートグリッドとは

スマートグリッドの直訳は「賢い電力網」。IoT(Internet of Things、モノのインターネット)や蓄電池制御などの技術を活用したエネルギー管理システムを使ってエネルギーの需要と供給を総合的に管理し、エネルギーの利活用を最適化する送電網のこと。エネルギー管理にあたっては、再生可能エネルギーなどの分散型エネルギーが用いられる。

スマートグリッドのメリットとしては、節電やピークカット(※1)への貢献、災害時の電源確保につながる分散型エネルギーシステム構築への貢献、再生可能エネルギーの出力変動緩和への貢献などがある。また、スマートグリッドを基盤として電気や熱を有効利用し、交通システムや都市計画、高齢者の見守りなどのサービスを取り込む社会システムをスマートコミュニティと呼ぶ。

世界のスマートグリッド推進の背景

スマートグリッドを推進の理由は、各国独自のエネルギー事情などによって異なる。

例えば米国では、送電インフラや停電時間の改善など、電力系統への信頼性向上が求められたことが背景にあった。一方の欧州では、CO2を2020年までに90年比で20%削減する目標が2007年に定められたことを背景に、再生可能エネルギーを大幅に導入するための手段としてスマートグリッドが推進された。新興国では人口増加や生活水準向上などによるエネルギー需要の増加から、電力設備の効率的活用が推進された。

日本では、2010年にスマートグリッドの定義が定められ、2011年4月に実証事業が開始。同年6月に「再生可能エネルギーを需要家サイドで無駄なく効率的に活用し、系統への負荷を低減する」と再定義された。その後、東日本大震災の影響から、災害に強い分散型エネルギーシステムの確立や、エネルギーコストおよび地球温暖化問題への対応が求められるようになり、スマートコミュニティの重要性が増した。

エネルギー管理システム(EMS)とスマートメーター

スマートグリッドの主なものとして、エネルギー管理システム(EMS)とスマートメーターがある。

EMSは発電所から家電機器までをひとつのネットワークでつなげて、エネルギーを「見える化」して管理する。EMSは以下の4つの領域におけるエネルギー管理システムの総称である。HMS(ヘムス、家庭におけるエネルギー管理システム)、BEMS(ベムス、建物におけるエネルギー管理システム)、FEMS(フェムス、工場におけるエネルギー管理システム)、そしてスマートグリッドの中核となるCEMS(セムス、地域におけるエネルギー管理システム)である。

スマートメーターは電気使用量を自動計測して、HMSなどを使って電気使用状況の「見える化」を可能にする電力量計のこと。スマートメーターの導入により、電気料金メニューの多様化や省エネへの寄与、電力供給における将来的な設備投資の抑制などが期待されている。2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、「2020年代早期に全世帯・全工場にスマートメーターを導入する。」と定められ、導入の加速化に向けた取り組みが進められている。

日本におけるスマートグリッド

2018年に閣議決定された第5次エネルギー基本計画で、スマートグリッドについて以下のように記述されており、日本政府はスマートグリッドをさらに推進していくことを発表している。

省エネルギーを進めるに当たり、エネルギーの使用実態に関するデータの更なる活用が重要である。IoTやEMSの活用等により、各部門で各種データが低コストかつオープンに取得・利用できる基盤構築を進め、様々な省エネルギーサービスが可能となる環境を整備する。経済産業省より

再生可能エネルギーの小型化や高効率化、蓄電池や燃料電池システムの技術革新、輸送システムの電動化、そして需給制御を地域レベルで可能とするデジタル化技術やスマートグリッド技術の進展は、これらを効果的に組み合わせることで、 電力・熱・輸送のシステムをコンパクトに統合した効率的で安定、かつ脱炭素化につながる需要サイド主導の地域における分散型エネルギーシステムの成立の可能性を高めていく。経済産業より

スマートグリッドの課題と今後

『スマートグリッド・スマートコミュニティの実現 ーエネルギーシステム最適化のためのAI活用ー』 では、スマートグリッドなどの導入における課題として、セキュリティと保守体制とビッグデータの3つを挙げている。スマートグリッドに家庭でのエネルギー管理システムが含まれると、家電などにおける十分なインターネットセキュリティ対策や、多くのIoT機器が適切に機能するための保守管理や人員育成、およびビッグデータの適切な活用と共有が必要となる。

日本政府は、第5次エネルギー基本計画のシナリオを実現するには、官民をあげた継続的な技術革新と人材の育成・ 確保が必要だとしている。私たちひとりひとりも政策立案者や技術者、教育者や報道関係者、企業人や消費者、学生など、さまざまな立場からエネルギー基本計画に貢献できるはずだ。そして、この各人の貢献が、私たちの生活をさらに豊かなものにしていくだろう。

※1 夏の冷房や冬の暖房など、季節や時間帯による電力需要のピークを低く抑えること。電気の基本料金低減につながる。

【参照サイト】「スマートコミュニティ事例集」を作成しました~エネルギーの利活用の最適化を進めます~
【参照サイト】第1節 次世代エネルギー・社会システムの構築
【参照サイト】電気料金について
【参照サイト】次世代エネルギー・社会システムの実証事業~総括と今後について~
【参照サイト】エネルギー基本計画
【参照サイト】スマートグリッド・スマートコミュニティの実現 ーエネルギーシステム最適化のためのAI活用ー 参議院常任委員会調査室・特別調査室 寅澤 一之著

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