新循環経済行動計画とは?
新循環経済行動計画(New Circular Economy Action Plan)とは、持続可能な循環型経済を実現するための具体的な行動とその内容を示した、EU加盟国に適用される法律。生産者と消費者、市民や組織が一体となってクリーンかつ競争力の高い欧州の実現を目的として、EUの主要機関のひとつである欧州委員会が2020年3月に発表した。
2015年に承認された循環型経済行動計画(First Circular Economy Action Plan)を更新する形で発表され、2019年12月に発表された「欧州グリーンディール」の重要な柱のひとつにも位置づけられている。循環型経済行動計画では54の具体的な行動計画が策定されており、全て実施済みもしくは実施中である。
新たな計画のポイントは、サーキュラーエコノミーの考えに基づき、持続可能な製品やサービスのデザインについて法制化したことだ。生産側だけでなく、「修理する権利(Right to Repair)」といった消費者の製品利用に関する権利や、長期間使える環境の構築にも焦点を当てている。
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新循環経済行動計画の4つの柱
新循環経済行動計画には、大きく分けて4つの柱がある。
1.持続可能な製品デザインの政策と原則の確立
一般的に、製品が環境に与える影響の最大80%は設計段階で決定される。現在の法律では、持続可能な製品デザインに対し、義務的もしくは自主的な対応を企業に求めているため、以下のような持続可能性の原則を確立する必要があるとしている。
- 製品の耐久性と持続可能な利用及び製造段階における安全性確保、資源効率の向上
- 製品の性能及び安全性確保を前提としたリサイクル原料の使用量増加
- リマニュファクチャリング(中古品の再生・販売)と高品質リサイクルの実現
- 炭素と環境フットプリント(製造段階における環境負荷)の削減
- 使い捨ての規制と早期の老朽化対策
- 売れ残った耐久消費財の破壊禁止
- Product as a Service(サービスとしての製品)の促進、生産者の所有権維持または製品ライフサイクルの担保責任
- デジタルパスポートやタグ、ウォーターマーク等を含む製品情報のデジタル化及び推進
- 高パフォーマンス製品へのインセンティブ付与といった、持続可能性のある制度の導入
さらに、持続可能な製品デザインの枠組みを効果的かつ効率的に支援するためには、以下の制度も必要であるとしている。
- バリューチェーンと製品情報からなるデータスペースの構築
- 製品検査や市場監視活動を通じた、製品の持続可能な利用に関する要件とその強化
これらに加え、ユーザーの権利強化や生産プロセスの循環性を高めるといった内容も盛り込まれている。
2.循環型経済への転換余地が大きい分野の具体的な法整備
以下の7つの分野における主要なバリューチェーンは、持続可能な製品デザインの実現には欠かせないと同時に、課題も多い。本計画では、各分野の主要な利害関係者と欧州委員会が連携することで、持続可能な製品が市場に参入できるような環境を整えるとしている。
電子・情報通信:製品の長寿命化と廃棄物の循環システムの強化・改善
バッテリーとモビリティ:継続的な利用可能性の向上と循環型モデルへの移行
包装パッケージ:過剰包装の削減と市場における新たな必須要件の策定
プラスチック:マイクロプラスチックの対処、再生・バイオ・生分解性材料の利用促進
繊維:産業全体の競争力とイノベーションの強化、市場における繊維材料の再利用
建築:循環型モデルを促進する、建築環境の持続可能性に関する包括的な戦略設計
食品:使い捨て包装・食器の改善と再利用製品への移行
3.廃棄物の削減
EUを含む各国は、これまでも廃棄物の削減に取り組んできたが、廃棄物の総量は減少していない。新循環経済行動計画では、持続可能な製品デザインに関する政策を実行に移すための具体的な法律が不可欠であり、EUとして廃棄物に関する法律を構築する必要があるとも延べられている。
具体的には、各国における廃棄物の抑制と循環の支援、リサイクル材の使用義務化、EU域外への廃棄物の輸出規制などを導入するとしている。2019年に採択された、プラスチック製品の削減に関する指令や、「拡大生産者責任(EPR)」とも関連させ、いずれはインセンティブの導入やリサイクル製品に関する情報の共有システムが構築される予定である。
4.持続可能な雇用の創出
EUにおける循環型経済に関連した雇用は、2012年から2018年の6年間で5%増加し、400万人に達している。循環型経済に関連した雇用を生み出し、労働者がその担い手になることは、社会包摂の実現・強化の観点から重要であり、環境だけでなく社会の持続可能性にもつながる好循環を生むとされている。
欧州委員会は、地域レベルで持続可能な雇用の創出に必要な投資を行うとしており、市民や地域全体の循環経済への意識向上に努めることが、結果的に産業全体のバリューチェーンを強化することにつながるとされている。
現在の状況と今後の展開
本計画は、2020年から23年にかけて各種の法整備を行い、欧州議会とEU加盟国の承認手続きに移るとしている。既に2020年10月には、持続可能なバッテリーに関する規則案が承認されており、現在も複数の法案が承認手続きの段階に入っている。新循環経済行動計画は、国内法に優先して適用されるため、EU加盟国は今後さらに循環型経済へと大きく舵を切ることになるだろう。
【参考サイト】Circular economy action plan
【参考サイト】欧州新サーキュラーエコノミーアクションプラン(和訳)
【参考サイト】First circular economy action plan
【参照サイト】新循環経済行動計画−よりクリーンかつ競争力の髙い欧州へ 概説
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