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気候ジェントリフィケーションとは・意味

Urban green

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気候ジェントリフィケーション(Climate Gentrification)とは・意味

都市の緑化などのプロセスの中で、低所得者層が立ち退きを余儀なくされ、土地の富裕化が進むこと。都市の治安維持などの名目で再開発が行われ、結果として都市の富裕化がもたされる「ジェントリフィケーション」の現象が、近年では環境配慮や緑化を理由にも発生しているという指摘だ。北米やヨーロッパ各地を筆頭に様々な事例が報告されているが、代表的な事例はアメリカ・ニューヨークのハイラインだと言われている。

New York

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気候ジェントリフィケーションは、同様の意味で下記のような言葉でも言及されることがある。

  • エコロジカル・ジェントリフィケーション(Ecological Gentrification)
  • グリーン・ジェントリフィケーション(Green Gentrification)
  • 環境ジェントリフィケーション(Environmental Gentrification)

 

気候ジェントリフィケーションが起こる経緯

近年都市のレジリエンスや市民のウェルビーングが注視されるようになり、グリーンインフラの設置、植樹やサイクリングロードの整備が各地で積極的に行われるようになった。それらの設備は、「持続可能な都市をつくるため」「自然環境に配慮するため」という理由のもと多くの人の賛同を集めることができ、ジェントリフィケーションという側面から批判的なまなざしが向けられることが少なかった。その結果、地価の高騰した土地で限られた人々──しばしば高所得者だけが快適な「グリーンリビング」を享受する傾向が生まれたのだ。

また、上記とは異なる形で起こる気候ジェントリフィケーションもある。例えばハワイ・マイアミの沿岸部では、地球温暖化による海面上昇のリスクが懸念され、これまで低所得者層が居住していた内陸の高台にある地域の開発が進み、不動産価格が上昇している。これにより、これまで海沿いに住んでいた富裕層は洪水などの災害が起こりにくい内陸に移り住み、もともと住んでいた人たちはよりリスクの高い地域へと追い出されるという可能性が懸念されているのだ。こうした問題はマイアミに限らず、沿岸部にある多くの都市が抱える可能性を持っている。

<h3気候ジェントリフィケーションの問題点

理由が何であれ、低所得者層や移民など、社会的に脆弱な立場に置かれる人々が住居を追われたり、土地の高騰によって間接的に住む場所を移さなければならなくなることが問題とされている。そして、気候ジェントリフィケーションにおいては、低所得者が高所得者に比べ、日頃の生活で気候変動に関与していないにも関わらず、「環境・気候のため」という大義名分のもと、高所得者よりも先に生活を圧迫されるという屈折した関係に批判が集まっている。

気候ジェントリフィケーションの解決策

「都市を持続可能にする」「市民のウェルビーイングを向上させる」といったビジョン自体を否定する人は少なく、それらを達成する手段として緑が使われることにも問題はない。しかし、それが誰のための「緑」なのかは、空間を設計する段階でよく検討をする必要がある。緑にアクセスするために対価を払うような仕組みになっていないかということはもちろん、特定の人々にとって物理的にアクセスしにくい設計・場所の選定になっていないかということを注視していくということだ。アクセスする際の障壁を取り払い、より多くの人に空間を開いていく技術が今後求められていくだろう。

【関連記事】ジェントリフィケーションとは・意味
【参照サイト】Environmental Gentrification
【参照サイト】Opinion: Why green “climate gentrification” threatens poor and vulnerable populations
【参照サイト】‘Climate Gentrification’ Will Displace One Million People in Miami Alone




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