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カーボンインセットとは・意味

アグロフォレストリー

カーボンインセットとは

企業が自社のサプライチェーンの中で温室効果ガス(GHG)排出量を削減することを目的としたプロジェクトに投資し、持続可能な活動を推進すること。

具体的には、森林再生、アグロフォレストリー、再生可能エネルギー、リジェネレラティブ農業などの自然を基盤とした解決策が挙げられる。それらを通して、気候変動の緩和やエコシステムの回復、地域の生産者の生活支援、サステナブルなコミュニティ強化などが目指される。

カーボンオフセットとの違い

カーボンオフセットとは、自社の事業活動以外の場所からカーボンクレジットを購入することで、排出する二酸化炭素やGHGを相殺する仕組み。一方でカーボンインセットは、サプライチェーン全体で取り組むため、その投資を組織のバリューチェーンの中で循環させることが可能。関係者全員が排出量削減に対する価値を共有するため、地域社会に対してポジティブな影響を与える、より効果的な方法だとされている。

2011年11月、GHGの排出量を算定・報告する際の国際スタンダードである「GHGプロトコル」が、Scope3基準を定めたことで、世界的にカーボンインセットの動きは加速している。Scope3とは、企業の直接排出(Scope1)、間接排出(Scope2)以外のところで発生する排出量を指し、サプライヤーから製品ユーザー、廃棄事業者の活動、社員の出張や通勤、フランチャイズチェーンまで、つまり上流から下流までを含めた全体の排出量を対象としている。

カーボンインセットのメリット

1. 自然共生型のソリューションの拡大
自然へ投資することで、排出量を削減するのみならず、サステナビリティの戦略や目標に統合することができる。自然を際するための取り組みや自然保護活動などを通じて、気候変動と生態系の危機的状況の両方に対して同時に、また効果的に取り組むことができる。

2. 持続可能な組織の形成
すべてのプロジェクトが自社の組織のバリューチェーン内で行われるため、組織のビジョン、価値観、マネジメントシステム、プログラムが全体で共有される。単なる金銭的な取引だけでなく、相互の信頼関係に基づく取り組みによって、企業とサプライヤーやステークホルダーは、より強いパートナーシップを築くこともできるかもしれない。

さらに、農地や天然資源の管理を改善することで、生産性の向上や原材料の安定供給につながり、長期的にレジリエントで再生可能なビジネスモデルへの移行を促す可能性もあるだろう。

3. 目標達成を可能にする取り組み
いまや、失われていく自然を一刻も早く取り戻さなければ、地球の気候変動の危機に対処することは難しい。最近の研究では、健全な生態系が生まれれば、気候変動を抑えるだけでなく、回復力を高め、私達が置かれている現在の危機的な状況を改善してくれることが示されている。

カーボンインセットという自然をベースとした解決策では、今後10~15年の間で、気候上昇を1.5℃に抑えるという目標達成に必要な削減量の3分の1以上が提供できると言われている。世界的な枠組みを通して生態系を回復していくアプローチが必要だ。

カーボンインセットに取り組む企業例

こうした背景からバーバリー、ケリングなどのラグジュアリーブランドや、ネスプレッソやロレアル、DHLなどの世界的な企業が、次々とカーボンインセットのアクションを起こし始めている。

バーバリー

  • 2040年までにCO2の排出量よりも削減量の方が多い「クライメート・ポジティブ」の達成を宣言。仏のフェアトレード推進企業PUR Projetとも連携し様々な活動を行っている
  • オーストラリアの羊毛生産者と提携し、環境再生型農業によって森林火災によって打撃を受けたオーストラリアの土壌の修復を目指す
  • ロジスティクスに関してよりサステナブルな輸送手段の導入や、社員の移動についてもCO2の排出量が少ない移動手段への切り替えを呼びかける
  • コレクションの発表や自社店舗のオペレーションをカーボンニュートラルで行う

    ケリング

  • 2019年にGHG削減の対象をScope3すべてに広げ、240万トンの二酸化炭素を相殺
  • 製品の生産に古代林や危機的状況にある森林から調達した原料を用いない。また2025年までに主要原料のトレーサビリティを100%にする目標を掲げる
  • 仏領ギアナでかつて金の採掘地だった地域の森林再生プログラムを支援。アマゾンの116ヘクタールの熱帯雨林に4年間で21万本を超える苗木を植えることを目標とする
  • 2020年自然再生基金を設立し、農地として使われている100万ヘクタールの土地を、今後5年間で環境再生型農業へ転換させることを目指す

    ネスプレッソ

  • 「2022年までに全てのネスプレッソのコーヒーをカーボンニュートラルに」という目標を掲げ、サプライチェーンを含めたグループ全体でGHG削減を目指す
  • PUR Projetと共に、コーヒーの生産地であるコロンビア、グァテマラ、エチオピア、コスタリカなどに1000万本の植樹を行う
  • 森林の保全と再生を支援し、かつ農業コミュニティ内でのクリーンエネルギーのソリューションを実践するための投資を行う
  • コロンビア政府や農業協同組合と共に、小規模コーヒー生産者向けの退職基金を設立。コーヒー生産者の収入や生活水準を安定させ、世代を超えたパートナーシップを築くことを目指す

    長期的に持続可能な社会を目指すために

    私達は、2050年までにGHG排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の達成という差し迫った課題に向き合っている。従来のカーボンオフセットの活動はもちろん必要だが、より良い未来を実現するためには、ただ温室効果ガスを減らすだけではない、カーボンインセットへの取り組みが、今求められているかもしれない。

    【参照サイト】IPI|Insetting Explained
    【参照サイト】Euronews|You’ve heard of offsetting, but what in the world is carbon insetting?
    【参照サイト】Greenbiz|L’Oreal, Chanel and Nespresso pioneer ‘carbon insetting’
    【参照サイト】環境省|supply_chain_201711_all.pdf 
    【参照サイト】WWDJAPAN|バーバリーが宣言 CO2削減が排出を上回る「クライメート・ポジティブ」へ
    【参照サイト】サステナブル・ブランド ジャパン / Sustainable Brands Japan|ファッション業界が進めるカーボン・フットプリント対策とは
    【参照サイト】Kering|修復・再生する
    【参照サイト】Nespresso The Positive Cup|森林農業の導入




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