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ブルーカーボンとは・意味

ブルーカーボンとは・意味

ブルーカーボンとは、海洋生態系によって海中に隔離・貯留される炭素のこと。海中での海洋生物の作用によって吸収・固定された炭素を定量化し取引可能にすること(炭素のクレジット化)をブルーカーボンと呼ぶこともある。

ブルーカーボンという言葉は、世界中で生態系によって吸収される炭素の半数以上は海洋生態系によるものであるとして、2009年に国連環境計画(UNEP)が名付けた。

持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう」に当てはまる取り組み、また2015年に定められたパリ協定のCO2排出量削減目標を達成するために必要な方法として、世界各地で研究や活動が進められている。

国内でも、2017年2月に学識経験者や関係団体等で構成される「ブルーカーボン研究会」が設立されたり、2020年に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」にもブルーカーボンについて記載されたり、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が、ブルーカーボンによるカーボンオフセットプログラムである「Jブルークレジット」を発行したりと、取り組みを推進している。

グリーンカーボンとの違い

生物の作用によって吸収される炭素(CO2)のうち、森林をはじめとする陸地で吸収されるものをグリーンカーボンという。一般的に「光合成」と呼ばれているものは、グリーンカーボンに値する。2009年に国連環境計画(UNEP)がブルーカーボンについて言及したことをきっかけに、グリーンカーボンとブルーカーボンは区別して定義されるようになった。

ブルーカーボン生態系

ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系は「ブルーカーボン生態系」と呼ばれ、具体的にはアマモなどが生息する海草(うみくさ)藻場、コンブやワカメなどが生息する海藻(うみも)藻場、湿地・干潟、マングローブ林などが挙げられる。

これらの場所は生物多様性に富んでいるため「海のゆりかご」とも呼ばれており、産卵場や稚魚の成育場として水産資源を供給してくれるほか、水質の浄化や、教育やレジャーの場の提供など、人間にさまざまな恩恵をもたらしてくれる貴重な生態系である。

ブルーカーボンのメカニズム

大気中のCO2が光合成によって浅海域に生息するブルーカーボン生態系に取り込まれ、CO2を有機物として隔離・貯留。さらに、枯死したブルーカーボン生態系が海底に堆積し、底泥へ埋没し続けることにより、ブルーカーボンとしての炭素は蓄積される。

岩礁に生育するコンブやワカメなどの海藻は、ちぎれた葉が外洋に流され、その後、水深が深い中深層に移送され、海藻が分解されながらも長期間中深層などに留まることによって、ブルーカーボンとしての炭素が隔離・貯留される。

ブルーカーボンのポテンシャル

ブルーカーボンは、気候変動対策のひとつとして世界中で注目されている。

国内のブルーカーボンのポテンシャルを試算した研究によると、ブルーカーボンによるCO2の年間吸収量(2030年)は、既存の吸収源対策による吸収量の最大12%に相当するという。また、国内の人工林が成熟期を迎え、森林のCO₂吸収量が急速に減少しつつあるなか、今後ブルーカーボンの重要性はさらに増していくと考えられている。

2020年に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」には、「ブルーカーボンについては、炭素吸収量のインベントリ登録を目指す。また、地方公共団体等による沿岸域における藻場・干潟の造成・再生・保全の取組の推進、藻場・干潟等を対象にした、カーボンオフセット制度の検討を行う」との記載があり、国として力を入れていこうとしていることがうかがえる。

国内でのブルーカーボンの活用例

神奈川県横浜市では、行政が主体となって「横浜ブルーカーボン」に取り組んでいる。横浜市に存在する140キロメートルの海岸線のうち、金沢区に位置する約1メートルを拠点にアマモ場として整備している。

また、2014年に立ち上げられた、横浜市の海洋沿岸でのエネルギー活用によってCO2を削減しそれを取引する「ブルーリソース」とブルーカーボンを合わせたカーボン・オフセット認証取引制度「横浜ブルーカーボン」事業は、世界でも例がない先進的な取り組みである。2019年にはブルーカーボンによるクレジットの認証も行った。

2020年には福岡市でも「福岡市博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」がスタートした。博多港の入港料の一部や企業からの寄付金、ブルーカーボン・クレジット取引の売上などを、アマモ場づくりをはじめとした環境保全活動に活用している。

ブルーカーボンのこれから

UNEPの報告書『ブルーカーボン』では、「ブルーカーボン生態系の炭素貯留量は、陸上のすべての植物が貯留する炭素量に匹敵する」と、記している。しかし、「この貴重な生態系は、年間2~7%ずつ消失している(消失率は熱帯雨林の4倍)」と、警鐘を鳴らしている。

その中でも顕著なのは、マングローブ林の減少だ。過去50年で、森林伐採や沿岸開発により、世界中のマングローブ林の50%が失われ、現在も毎年2%の割合で失われている。これらの生態系が失われると、今後その分の炭素が隔離・貯留できなくなるだけではなく、それまでその場所で貯留されていた炭素が放出されてしまうことも大きな問題だ。

このため、今後ブルーカーボンを行っていくためには、生態系の保全、再生が欠かせない。

【参照サイト】環境省|カーボンオフセットフォーラム
【参照サイト】海の森 ブルカーボン
【参照サイト】ブルーカーボンについて(環境省)
【参照サイト】UNEP|Blue Carbon – The Role of Healthy Oceans in Binding Carbon
【参照記事】海を守り、地域を潤す。横浜市のサステナブルな循環型事業「横浜ブルーカーボン」




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