スペーステックとは？

スペーステックとは、宇宙を意味するSpace（スペース）と技術を意味するTechnology（テクノロジー）が組み合わさってできた造語である。気象衛星やテレビの衛星放送、GPSなどのように人工衛星を使った技術をさらに昇華させた宇宙技術の全般を指す。

宇宙の開発や利用はかつて国家単位のプロジェクトであったが、技術の発展などを背景に近年では民間企業の参入や活躍が増えており、さらなるスペーステックの活用や可能性に期待が寄せられている。

モルガン・スタンレーによると、宇宙ビジネス全体の市場規模は、2017年の37兆円から2040年までに約3倍の100兆円規模にもなると予測されている。多くの国や企業の宇宙ビジネスへの強い関心が示されていると言えるだろう。

スペーステックを活用したビジネス

スペーステックと呼ばれる技術群は、すでに私たちの身の回りで活用され始めている。その分野は多岐にわたるが、例をあげると以下のとおりである。

人工衛星を利用したビジネス

私たちの生活にも身近となっている人工衛星を利用したスペーステックの例は以下のとおりだ。

• 自動走行：機械の位置を監視し、農機・建機などの自動走行を支援
• 宅配：配達状況をリアルタイムで把握したり、希望の位置に荷物を運ぶ
• ゲーム：位置情報をゲームに利用する（例）ポケモンGO

宇宙空間を利用したビジネス

宇宙の空間そのものを利用した以下のようなビジネスも、実現に向けた取り組みが行われている。

• 宇宙太陽光発電：雲に邪魔されることのない宇宙空間で太陽の光を受け、発電したエネルギーを地球に伝送
• 宇宙葬：故人の遺灰の一部をロケットで打ち上げ、宙空間や月面に送る
• エンターテイメント：一般ユーザーが操作できる人工衛星カメラや宇宙遊泳疑似体験など、宇宙空間の特性を活かした体験を提供

スペーステック企業の台頭

宇宙技術を駆使して新たなビジネスを創出する民間のスペーステック企業が、すでに世界で台頭しはじめている。

アメリカの宇宙開発企業「SpaceX」は、独自に開発したロケットで民間初の「民間人だけの宇宙旅行」を成功させた。SpaceXはアメリカの電気自動車（EV）大手テスラの創業者イーロン・マスク氏が2002年に創立した会社だ。

同社は、アメリカ航空宇宙局（以下NASA）が宇宙事業の民間開放へと方針を転換したことなどを受け、再利用可能ロケットや民間有人宇宙船など次々と宇宙機器を開発・運用している。マスク氏は「火星移住」という大きなビジョンを掲げ、コストを抑えて人類を他の惑星へ運ぶビジネスの実現に向け積極的に取り組んでいる。

また、日本は他国に比べて少々出遅れている面もあるが、内閣府は「宇宙産業ビジョン 2030 」において2017年時点での宇宙産業全体の市場規模（約1.2兆円）を2030年の早期のうちに倍増させる目標を掲げている。

ホリエモンこと堀江貴文氏が出資を表明して一躍話題となった宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」は、日本の民間スペーステック企業の一例だ。同社は、今後もビッグデータの活用が期待される中で、データを収集するための衛星をリーズナブルに運べるような低価格かつコンパクトなロケットを作ることをミッションに掲げ、開発や資金調達などを積極的に行っている。

このように、今までは国の保護なくして成長し得なかった宇宙産業は、民間企業の手にわたったことでより幅広くその用途や可能性が拡張されているのだ。

スペーステックの今後の進化

AIやICTといった最先端のテクノロジーが私たちの生活の一部となっているように、宇宙産業も数年～数十年後には誰もが利用する身近なものとなるだろう。すでに予測されているように、世界の宇宙事業の規模は今後も著しく成長し、民間企業もこぞって投資を拡大していくはずだ。

宇宙事業の発展は私たちの生活をより便利にするだけではなく、地球環境を守るための解決策を見出したり、人類の新たな可能性を発見したりとあらゆる可能性を秘めている。宇宙産業はもはや夢物語や空想の世界ではなく、世界のビジネスの一翼を担う存在へと進化しているのである。

【参照サイト】内閣府 – 宇宙産業ビジョン 2030 
【参照サイト】経済産業省 – 第１回宇宙産業プログラムに関する事業評価検討会 中間評価/終了時評価 補足説明資料
【参照サイト】村田製作所 – 宇宙を好奇心の対象からビジネスの場に変える「スペーステック」
【参照サイト】PRESIDENT Online – ｢スペースXは宇宙旅行に成功｣日本で”ホリエモンロケット”以上の有名企業が出てこない原因
【参照サイト】 Interstellar Technologies Inc. HP

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