クオータ制とは・意味
クオータ制(割当制) とは
クオータ制(割当制) とは、特に政治で、女性の政治参加の推進にむけた積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション)の手法の一つ。格差是正のために人種や性別などを基準に、議会議員の男女間格差を是正するために行われる。2020年時点で、クオータ制を導入している国は118ヶ国である。
クオータ制の分類
クオータ制は、下の三つに分類することができる。
議会割当制
憲法または法律のいずれかによって、議席のうち一定数を女性に割りあてると定めているもの。118ヶ国のうち、26ヶ国が採用している。
法的候補者クオータ制
憲法または法律のいずれかによって、議員候補者名簿のうち一定の割合を女性または男女に割り当てるよう定めているもの。118ヶ国のうち、60ヶ国が採用している。
政党による自発的なクオータ制
政党が党の規則等に即して、議員候補者の一定割合を女性または男女に割り当てるようにするもの。
国政選挙において、政党による自発的クオータ制を導入している国は55ヶ国であり、このうち33か国は政党による自発的クオータ制のみを導入している。残りの22ヶ国では、上述した2つのクオータ制と政党による自発的クオータ制が併用されている。
クオータ制の歴史とその拡大
クオータ制は、1970年代にノルウェーで生まれた。1973年にノルウェーの民主社会党が「50%クオータ制」を導入したのを皮切りに、1978年に男女平等法が制定された。その後、1988年に公的な場での「女性の比率が40%を占めるクォータ制」を明記した法に改正された。
改正後は、育休の一定期間を父親に割り当て、家事育児を推進するパパ・クオータ制度が生まれた。さらに、政治だけでなく、経済の分野にもクオータ制は浸透。2003年には会社法の取締役会規定に「40%クオータ」が明記されるなど、クオータ性の社会への浸透具合はどんどんと進んでいった。
ノルウェーでは、男女平等法を守るための推進機関「オンブッド(オンブズマンの意)」も設けられ、このノルウェーの動きがデンマークやスウェーデンなどの北欧諸国へ広がり、EU、そして世界へ拡大していった。
諸外国におけるクオータ制の導入状況
世界では約60%の国・地域がクオータ制を導入しており、そのほぼ半数が政党による自発的クオータ制を採用している。議会割当制を採用しているのは、アフリカ地域が最も多く、アフリカ地域の54ヶ国のうち、3種類のクォータ制のいずれかを導入している国は37ヶ国。全体に対する割合は68.5%と極めて高い。
転じて、アジア地域での採用率は43ヶ国中19ヶ国で、全体に対する割合は44%となっている。
日本におけるクオータ制
OECD加盟国30ヶ国のうち、クオータ制を導入していないのは4ヶ国。日本はその1つだ。また、国会議員(衆議院議員)に占める女性の割合は 9.9%(世界193か国中166位)と、世界的に見ても女性の政治分野への社会進出は遅れている。
日本では、こうした状況を是正するために、、平成30年5月23日に「候補者男女均等法」が公布・施行された。公布当初は努力目標として、政治分野における男女共同参画推進を行政・地方公共団体が行うものとされていたが、令和3年6月16日に法律の一部が改正された。
改正された部分では、国・地方公共団体の施策の強化(環境整備や実態調査)、政治団体の取り組みの促進(人材育成・セクハラ防止対策の明記)や、努力目標ではなく責務とするなど、より具体的な目標や義務が追加された。このように、日本ではクオータ制は導入されていないが、その下地となる法律は少しずつ変化し始めている。
クオータ制への批判と未来
クオータ制度については、女性にフォーカスするだけではなく、宗教や人種的マイノリティにも目を向けたクォータ制の導入などについても議論されている。
これまで、クオータ制がその国へ導入されるには、背景に強力な女性運動、政治エリートの戦略的判断や、国際圧力、政治文化・規範との親和性が通説となっており、それらの盛り上がりが重要であるとの指摘がある。つまり、その国の風土や人々一人一人の問題意識が行動につながっていくことが極めて重要なのだ。
日本においても、女性はもちろん、これまで政治に参画することが少なかった多様な人々の姿が政治の場で活躍する土壌が広がっていくことを期待したい。
【参照サイト】内閣府男女共同参画局 諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組
【参照サイト】内閣府男女共同参画局 用語解説
【参照サイト】内閣府男女共同参画局 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律
【参照サイト】北海道県立女性プラザ クォータ制の種類
【参照サイト】朝日新聞「クオータ制」とは何か 採用していない日本は少数派
【参照サイト】Gender Quota Database
【参照サイト】国際女性No.27
特集Ⅰ クオータ制 4クオータ制発祥の国ノルウェー 三井マリ子
【参照サイト】平成23年版男女共同参画白書本編 第1部 特集 第2節 世界のポジティブ・アクション
【関連記事】インドで導入された、3分の1の議席を女性に割り当てる「女性クオータ制」とは?
【参照サイト】三浦まり「日本におけるジェンダー・クオータの成立 条件」
【参照サイト】三浦まり= 衛藤幹子編『ジェンダー・クオータ:世界 の女性議員はなぜ増えたのか?』(明石書店)
用語の一覧
あ行
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- スラックティビズム
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- スロージャーナリズム
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D
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J
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N
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P
Q
R
S
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