二国間クレジット制度（JCM）とは？

二国間クレジット制度（Joint Crediting Mechanism）は、日本の持つ低炭素技術や製品、システム、サービス、インフラを途上国に提供することで、途上国の温室効果ガスの削減など持続可能な開発に貢献し、その成果を二国間で分けあう制度。

JCMによって、温室効果ガスの排出削減や吸収に対する日本の貢献を定量的に評価することで、日本の排出削減目標の達成に活用、地球規模での温暖化対策に貢献することができる。2030年度までに排出量を46％削減するという日本の目標は、この制度が前提となっている。

2015年末にパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議（COP21）において、既に安倍元総理によって「日本は、JCMなどを駆使することで、途上国の負担を下げながら、画期的な低炭素技術を普及させていきます」との演説があり、政府全体としてJCMが推進されてきた。

日本は、JCMなどの国際貢献によって2030年度までの累積で5000万～1億トンの温室効果ガスを排出削減・吸収することを見込んでおり、これまでにアジア、アフリカ、島しょ国、中南米及び中東の17か国とパートナー関係を構築している。

これまでの事例

日本は、これまでパートナー国に対し、再エネや省エネ（産業・民生・都市など）、廃棄物や交通などの様々な分野においプロジェクトを展開。2013～2021年度には、以下17のパートナー国において205件のプロジェクトが採択された（2021年12月時点）。

パートナー国
モンゴル・バングラデシュ・エチオピア・ケニア・モルディブ・ベトナム・ラオス・インドネシア・コスタリカ・パラオ・カンボジア・メキシコ・サウジアラビア・チリ・ミャンマー・タイ・フィリピン

プロジェクト

COP26とJCM

JCMを拡大し、世界でスタンダード化するために必要なアクションの一つに、国際的なルール（パリ協定6条ルール：市場メカニズム）づくりがあった。JCMは2015年のCOP21で採択された国際的な枠組みであるパリ協定の条文に盛り込まれたが、その際には具体的なルールは合意に至らなかったため、2021年11月に英国・グラスゴーで開催されたCOP26では、そのルール作りが議題にあがっていた。日本は、先進的な二国間の市場メカニズムであるJCMの経験を活かして交渉を主導、6条ルールの大枠が合意された。

※1 パリ協定の下、国際的な削減量の取引を通じて各国のNDC（削減目標）の達成及び引き上げが実現。環境十全性を確保するためのルール及び国連によるメカニズム等を規定している。6条2項の下で、日本が実施をする二国間クレジット制度（JCM）等、各国が実施する市場メカニズムを削減目標に活用している

COP26会期中のジャパンパビリオンにおけるイベントでは、JCM関係機関による調査結果及びパートナー国による最新情報を通じて、JCMの役割やベネフィットが紹介された。またパネルディスカッションでは、JCMが創出するベネフィットを拡大していくための方策や展望について議論が実施された。

JCMの今後

パリ協定6条（市場メカニズム）ルールの大枠が合意されたことで、今後は市場メカニズムを活用した世界での排出削減が進展することが期待される。日本は、具体的に以下3つのアクションを通じて、世界の脱炭素化に貢献する。

1. JCMのパートナー国の拡大と、国際機関と連携した案件形成・実施の強化

2. 民間資金を中心としたJCMの拡大
3. 市場メカニズムの世界的拡大への貢献

COP26での合意を機に、これからますます進められていくであろう二国間クレジット制度。関係国と自国の双方に利益をもたらしながら、目標達成に向けて取り組まれていくことを期待したい。

【参照サイト】JCM 二国間クレジット制度（JCM）とは
【参照サイト】環境省 二国間クレジット制度（JCM）の最新の取り組み状況、及びCOP26の成果

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