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アテンションエコノミーとは・意味

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アテンションエコノミーとは?

人々の関心や注目の度合いが経済的価値を持ち、まるで貨幣のように交換材として機能する状況や概念のこと。日本語では「関心経済」や「注意経済」と呼ばれることもある。

1969年、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者・経済学者であるハーバート・サイモン氏が、経済が消費経済から情報経済へ移行すると同時に、私たちの限られた「アテンション=注意」が貴重な資源へと変容し、それが「通貨」のように扱われるようになると予測した。

その後1997年に、米の社会学者であるマイケル・ゴールドハーバー氏が、「アテンションエコノミー」という言葉を提唱し、この言葉が広まった。

アテンションエコノミーの背景

アテンションエコノミーの背景には、インターネットの普及が情報量の爆発的な増加をもたらし、あらゆる企業、とりわけGAFAのような巨大なIT企業にとって、人々の注意を集めることが重要視されるようになったという流れがある。

今日では、FaceBookやTwitter、InstagramといったSNSやYoutubeなどの多くのオンラインサービスが基本的には無料で提供され、私たちはそれらを金銭的対価を払うこと無しに使用できる。しかし、それらを運営するIT企業の収入の大部分は広告収入であり、この数字は私たちがそのサービスをどのくらい長く使うかによって左右される。

そのため、そういったSNSサービスプラットフォーマーの多くは、私たちの注意を売上げ生み出す貴重な「資源」と捉え、彼らが提供するオンラインサービスを少しでも長く使ってもらうために人々の注意を惹くような設計を行い、ビジネスモデルを最適化させてきた。

たとえば、Facebookが表示するニュースやInstagramでは、ユーザーの視聴履歴や閲覧時間が追跡され、閲覧するユーザーに合わせた広告やコンテンツが表示される。こういった仕組みが、アテンションエコノミーを生み出している。

近年ではすでに多くの人が広告を見慣れてきたため、徐々にそれらをスルーするようになってきた。これにより、企業はよりユーザーの興味を惹くことができる自動再生の動画やポップアップ広告などを増加させ、さらにアテンションエコノミーが加速しているという指摘もある。

アテンションエコノミーのもたらす弊害

企業やクリエイターにとっては、アテンションエコノミーのなかで、いかにユーザーの注意を惹き、コンテンツを見てもらったり、広告をクリックしてもらったりするかが死活問題となっているかもしれない。しかし、アテンションエコノミーが人々や社会全体に及ぼしている弊害は大きく、近年関心が高まってきている。

そのひとつが、特に若い世代のSNSへの依存症やそれによるメンタル不調の問題である。

2017年、元グーグル社員であったトリスタン・ハリス氏がCBSテレビのドキュメンタリー番組でのインタビューで、SNSの背後にあるテクノロジーは私たちの注意を引き続けるために、スロットマシンのような中毒性を持つように設計されており、利用者がスマートフォンを間断なくチェックするように依存させているとはっきり述べている。

また、2021年10月には、Meta(元faceBook)の元社員であるフランシス・ホーゲン氏が、faceBookのアルゴリズムそのものが怒りを促すコンテンツを選ぶ仕様になっていることを告発。理由は、「いいね!」やシェアなどのエンゲージメントが高まるとFaceBookの広告売上は増加する仕組みになっており、人は怒りに駆られるときにエンゲージメントが最大になるとわかっていたからだ。これによりフェイクニュースが出回り、アメリカのピザゲート(※)のような社会問題をも引き起こしたと言える。

これに対し、2021年11月、自然派化粧品メーカーコスメブランドLUSH(ラッシュ)は、自社のポリシーに従って公式SNSの更新をストップし、「より安全な環境をユーザーに提供できるようになるまで利用を止め、サインアウトする」と宣言。社会に大きな影響を及ぼすニュースとなった。

LUSHのSNS停止から考える、デジタル社会での「自分時間」の作り方

また、前述のハーバート・サイモン氏は、「情報過多は注意の貧困を招く」と述べ、ポップアップ広告やSNSの通知などに絶えず「注意」を惹かれることで、深い集中を必要とする仕事ができなくなる危険性について警告した。実際、仕事中にも絶えず送られてくるSNSやメールなどの通知が送られてくるとつい内容を確認したくなり、集中を妨げられていると感じている人は多いのではないだろうか。

※ 2016年アメリカ合衆国大統領選挙の期間中に広まった、民主党のヒラリー・クリントン候補陣営の関係者が人身売買や児童性的虐待に関与しているという陰謀論で、舞台となったピザ店に男性が銃を持って押し入る事件に発展した。

まとめ

インターネットの普及やテクノロジーの進歩により、私たちは多くの便利なサービスを使用することができるようになった。一方で、私たちはそれに対して「注意を支払って」おり、上記のような社会課題が生み出されていることも認識すべきである。個人としては、SNSやテクノロジーとの付き合い方を考え直したり、デジタルデトックスの機会を設けたりするなどの対策を取ってみると良いだろう。また、プラットフォーム企業が今後、人々がより健全にSNSなどのサービスを使用できるように仕組みの改善を行っていくのかにも、注目していきたい。

【参照サイト】Paying Attention: The Attention Economy
【参照サイト】Whistleblower: Facebook is misleading the public on progress against hate speech, violence, misinformation




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