心理的安全性とは?
心理的安全性とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語の和訳で、組織の中でメンバーが恐怖や不安を感じずに安心感を持って発言・行動できる状態のことを言う。つまり「この質問をしたら能力が低いと思われるのではないか」「反対の意見を言えば嫌われるのではないか」といった意識を一人でも持っている場合、心理的安全性が高いとは言えない。
この概念は研究の世界において1965年ごろにはすでに登場していたが、人手不足などによりチームの生産性向上がより求められるようになった現代において、重要な要素として改めて注目を浴びている。
心理的安全性が世界に広まった背景
世界の企業が心理的安全性に関心を持つようになったきっかけは、2016年にGoogle社が過去5年間にわたって行った「プロジェクト・アリストテレス」において、「最高のチームをつくる5つの要因のうち、最も重要なのが心理的安全性」であると発表したことだ。
世界のトップ企業であるGoogle社が「誰がチームに居るかよりも、どのようにコラボレーションしているかの方がチームの成果にとって重要」という概念を改めて示したことで、ビジネス界で心理的安全性の高い組織を作る取り組みが進み始めたのである。
なお前述したように、心理的安全性は約半世紀前にすでに提唱されていた概念であり、Google社はこの領域の第一人者であるエイミー・エドモンドソン教授が1999年に発表した論文を引用する形でこの発表を行った。
心理的安全性を高めるメリット
心理的安全性を高めることでチームに与えられる具体的なメリットをあげると、以下のとおりだ。
- メンバーが対人関係のストレスを抱えることなく仕事に集中して取り組めるため、一人ひとりのパフォーマンスが上がり成果の質や業績のアップに繋がる
- メンバーが自分のアイデアを恐れることなく発表できるため、チームに新たな視点が生まれイノベーションが起きやすくなる
- メンバーの会社やチームに対する愛着心が生まれ、人材の流出を防ぐことができる
特に厳しい上下関係や「空気を読む」文化が浸透している日本において、一人ひとりが自分の意見を臆することなく表現できるような環境づくりは、これからの企業の成長に必要不可欠と言えるだろう。
心理的安全性を実現するために
一点注意すべきことは、心理的安全性が高い組織とは決して「仲良しグループ」ではないという点だ。あくまでもメンバー全員が意見を対等に交わし合い、互いに刺激し合える状態を指すことを理解しておかなければならない。
誰が何を言っても否定(反対)しない、間違っていても指摘しないというような環境では、メンバーは成長せず組織として成果の質を上げることもできないだろう。それどころか「仲のよい雰囲気を壊したくないから意見をしない」という心理をメンバーに抱かせてしまい、逆効果となるおそれもある。
本当の意味で心理的安全性の高い組織を実現するには、まずは組織を作るリーダーが環境づくりに尽力することが重要だ。
例えば、ネガティブなことも相談しやすい雰囲気をまとう、率先してチャレンジする姿や失敗から立ち上がる姿を見せるなど意識や行動から変えていくべきだろう。そうしたリーダーの姿勢が徐々にメンバーにも浸透し、組織全体のカルチャーとして根付いた時、心理的安全性の高いチームが出来上がるのだ。
日本の文化的背景を踏まえると、心理的安全性の高い組織を作るハードルは非常に高いように感じるかもしれない。しかし、急速な技術の発達やイノベーションのあふれる現代で企業として生き残っていくためには、組織の力を高める努力が必要なことは言うまでもない。まずは自分のいる組織の課題を洗い出し、心理的安全性の考え方にヒントを得ながら少しずつ意識や行動を変えていくことが重要と言えるだろう。
【参照サイト】グロービス経営大学院 – 心理的安全性とは?チームの生産性を最大化するうえで意識すべきこと
【参照サイト】Forbs JAPAN – グーグルが広めた「心理的安全性」日本企業に必要な4つの因子とは








