変革型投資とは・意味

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変革型投資とは？

変革型投資は、英語ではTransformational investing/investment、もしくはTransformative investing/investmentと呼ばれる。

一般的に広く用いられている共通の定義はなく、その意味は出典によって様々であるが、いわゆるサステナブル投資の一種で、広義では主に持続可能な社会への変革を目指す投資を意味する。このような投資では、特に短期的にはマーケットリターンを達成できない可能性があるが、フォローオン投資では十分なリターンが期待できる場合があるため、短期投資と長期的なリターン志向の投資とを時間軸を超えて「結合」させることが重要であると言われる。また、民間投資と公共投資の協調も必要である点が指摘されている。

他方、狭義の変革型投資は、長期的で不確実なリスクに対応しながら持続可能なリターンを生み出すことを目指した投資手法を指す。例として、世界経済フォーラム（WEF）が2020年に発行したレポート「Transformational Investment: Converting Global Systemic Risks into Sustainable Returns」では、変革型投資を「アセットオーナーのポートフォリオ全体の中で、魅力的なリスク調整後リターンを引き出すことを意図し、同時に1つ以上の長期的リスクの軽減または削減に役立つと期待される投資」と定義している。

いずれも、持続可能な社会を目指した長期的目線での投資という点が共通しているが、後者は長期的な「リスク」に着目している。

変革型投資で考慮する長期的リスクとは？

上記に挙げたWEFのレポートによれば、長期投資家にとって最も関連があるグローバルリスクとして、以下6つが挙げられるという。

気候変動
水の安全保障
地政学
技術進化
人口動態の変化
長期的な低金利・マイナス金利

これらのリスクは長期的で不確実性が高く、長期投資家に大きな影響をもたらす可能性がある一方で、アセットオーナーや投資マネージャーにとって変革型投資のオポチュニティともなり得る。このような長期的なリスクを投資のオポチュニティに変え、リターンも追求していくのが、変革型投資の特徴である。

長期的なリスクには、それぞれ複雑な相互関係がある反面、一つの投資行動で同時に複数のリスクに対処することもできる。例えば、インフラ投資やベンチャーキャピタル投資、クリーンテックなどの投資は、気候変動、地政学的安定、技術の進化に関連するリスクを軽減するための変革的な投資として機能することが可能である。

変革型投資の課題

長期的なグローバルリスクに対応するための資本は、圧倒的に不足しているのが現状だ。例えば、気候、水、人口動態の移行戦略だけでも、少なくとも年間6.2兆ドルの追加資本が必要であると言われており、変革型投資の資金ギャップは大きい。

このギャップを埋めるためには、革新的な金融商品の開発や投資オポチュニティの発掘が必要であるとされている。また、官民の連携も重要となる。

変革型投資の事例

カナダ最大の資産運用会社の1つであり、ブリティッシュ・コロンビア州の公共部⾨向けの投資管理サービスのプロバイダーであるブリティッシュ・コロンビア州投資管理公社（British Columbia Investment Management Corporation,以下、BCI）は、「水の安全保障」を重要な課題のひとつとして特定している。

この背景には、公共事業、エネルギー、建設、石油およびガスなど、水に大きく依存するセクターへの投資を行っていることが挙げられる。これらのセクターは、⽔に関する様々なリスク（水質、需要と供給、地域のニーズなど）に晒されているほか、投資対象の事業が地域の水資源にネガティブな影響を与える可能性もある。従って、BCIにとっては、投資先企業が水資源がますます制約を受ける将来の世界に備えることが出来るかどうかを見極めることが重要となる。このような背景から、BCIは様々な投資の意思決定において、水リスクの評価を組み込んでいる。