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絶対的貧困・相対的貧困とは・意味

絶対的貧困・相対的貧困

絶対的貧困・相対的貧困とは?

絶対的貧困とは、衣食住などの生きる上で必要最低限の生活水準が満たされていない状況のことである。一方、相対的貧困とは、ある地域社会の大多数よりも貧しい状態を指す。

貧困とは

まず、「貧困」とはどういった状態を指すのだろうか。国連開発計画(UNDP)によると、貧困とは教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態と定義している(※1)

貧困状態では、教育や保健医療サービスの欠如、不当な低賃金雇用、不十分な食糧と水、ホームレスやストリートチルドレンとしての生活、社会的排除などさまざまな問題に直面することになり、絡み合った問題が貧困の連鎖を生んでいるのだ。

絶対的貧困の定義

貧困という言葉から一般的に人々が連想するのは「絶対的貧困」だろう。上記、国連開発計画(UNDP)によると、極度の、あるいは絶対的な貧困とは、生きていくうえで最低限必要な食料さえ確保できず、尊厳ある社会生活を営むことが困難な状態とされている。つまり、最低必要条件の基準が満たされていない状態であり、一般的に貧困ラインに達していない人のことを指す。

世界銀行は、2015年10月、国際貧困ラインを2011年の購買力平価(PPP)に基づき、1日1.90ドルと設定(※2)。つまりこのラインを基準に、衣食住など、最低限必要とされる生活物資を購入できるだけの所得または支出水準に達していない人々を指す。

海外の絶対的貧困

世界の地域別で見ると、絶対的貧困はサブサハラ・アフリカ地域に集中している。他地域の貧困率の割合が一桁台なのに対して、サブサハラ・アフリカ地域は41.1%と極めて高い(※3)

ただこれはあくまで地域別の平均値であり、個別に見ると様々な国で未だ絶対的貧困は存在する。

例えば、日本から人気のリゾート地もあるフィリピンでは、ストリートチルドレンが25万〜100万人存在すると言われている。これは約1億9千万人の総人口の0.1%〜0.5%の子どもたちが路上生活を余儀なくされているということである(※4)

このように絶対的貧困率は年々少なくなってきているとはいえ、今なお世界中では衣食住の基本的な生活すらままならない人が多くいるのだ。

相対的貧困の定義

相対的貧困は、ある地域社会の大多数よりも貧しい状態を指す。具体的に表すと、世帯の所得がその国における等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない状態である。そのため相対的貧困は前述の絶対的貧困に比べ、見えづらい。見えづらいために支援の手が届きにくく、教育格差や非行、虐待などさまざまな問題をはらんでおり、日本でも重要視されている問題のひとつである。

日本の相対的貧困率

相対的貧困率とは一定基準(貧困線)を下回る等価可処分所得しか得ていない人の割合である。2018年の日本の貧困線は127万円で、厚生労働省の調査ではこれに満たない世帯の割合は15.4%、子どもの貧困率は13.5%であった(※5)
※5「子どもの貧困率」とは、子ども全体に占める、等価可処分所得が貧困線に満たない子どもの割合のこと。

つまり、7人に1人の子どもが相対的貧困にあたる。この相対的貧困率は、非常に高い数値で、2017年のOECD(経済協力開発機構)報告書では、OECDの平均値を上回っており、2014年の数値は加盟国の中で上位7位に入っている(※6)

日本の相対的貧困の特徴

内閣府と総務省、厚生労働省の相対的貧困率等に関する2015年の調査分析結果では、相対的貧困世帯の特徴として下記が挙げられていた(※7)

  • 世帯主年齢別では、高齢者が多い
  • 世帯類型別では、両調査とも、単身世帯と一人親世帯が多く、夫婦のみ世帯、夫婦と子どものみ世帯が少ない
  • 国民生活基礎調査において、郡部・町村居住者が多い

一人親世帯については特に母子家庭の貧困率が高く、日本の母子家庭の約60%が相対的貧困と言われている。

自己肯定感の低下

相対的貧困率がもたらす影響の一つとして自己肯定感の低下が挙げられる。異なる家庭環境の子どもが集う学校などで、自分だけが経済的な理由で部活動に参加できなかったり、習い事に参加できなかったり、毎日違う洋服が着られなかったりといった体験は、子どもたちに「自分はダメだ」という自己否定感を植え付けてしまう。その結果、自己や他者を傷つける非行や犯罪につながるケースもある。子どもだけでなく、親も育児放棄や虐待に走ってしまう率が高くなるのだ。

絶対的貧困、相対的貧困の双方において貧困の連鎖を生み出す大きな要因のひとつは「教育格差」である。絶対的貧困の場合はイメージがつきやすいが、相対的貧困においても教育格差は存在する。親の低所得のため、経済的理由で高校や大学に通えなかったり、上記のような自己肯定感の低下から非行や犯罪に走ってしまったりして教育機会を失ってしまう。その結果、学力が低下し、低学歴により限られた職業にしか就けなくなる。そこに生まれる子どもも親の低所得から、同じく教育機会を失ってしまうスパイラルが生まれるのだ。

絶対的貧困は問題が壮大すぎると思うかもしれないし、相対的貧困は目に見えづらく見過ごしてしまうかもしれない。だが、こういった人が存在することを知るだけで世界の見え方は変わり、自分なりに考え、大なり小なりアクション取ることはできるのではないだろうか。

特に、日本で問題視されている相対的貧困。それは私たちの周りに気付かないだけで、貧困状態にある子どもや大人、家族がいるということだ。自分だけではどうしようもない理由で、貧困に苦しむ人が1人でも少なくなるように、自分のできるアクションを考え探し続けていきたいものである。

※1 貧困とは(国連開発計画)
※2 ※3 世界の貧困に関するデータ(THE WORLD BANK)
※4 The Forgotten Children(World Youth Alliance)
※5 2019年国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)
※6 OECD経済審査報告書(OECD)
※7 相対的貧困率等に関する調査分析結果について(内閣府、総務省、厚生労働省)

【参照サイト】子どもの貧困を考える(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン理事 能島裕介)
【参照サイト】貧困指標(JICA)
【参照サイト】国民生活基礎調査(貧困率) よくあるご質問(厚生労働省)




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