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ヴィーガンファッションとは・意味

ヴィーガンファッション

ヴィーガンファッション

ヴィーガンファッションとは

ヴィーガンファッションとは、衣類や鞄などに動物由来の素材を用いないライフスタイルを指す。「ヴィーガン」と聞くと動物由来の食材を用いない食生活を思い浮かべる方も多いかもしれない。最近は、食べ物以外にも「ヴィーガンファッション」を選択する人が増えつつある。

2019年にはロサンゼルスでヴィーガン・ファッション・ウィークが春、秋と二度開催され、2020年3月にも再び開催される予定だ。ファッション業界でも注目を集めていることが伺える。今回は人々がヴィーガンファッションを選ぶ理由や、ヴィーガンファッションを取り巻く課題などをまとめた。

ヴィーガンファッションの例

動物由来の素材というと、レザー、ファー、ウール、カシミヤ、シルクなどが挙げられるが、ヴィーガン素材とは何だろうか。一般的には「動物由来の素材を一切用いないこと」であり、人工の素材や植物由来の素材が含まれる。ヴィーガンファッションを推奨する米国の市民団体活動家が挙げている素材として例をあげた。

オーガニックコットン

オーガニック栽培のコットンは有害な化学薬品を使わず環境負荷も低い。

フラックスリネン

耐久性、吸水性、発散性に優れている。他の農作物より農薬や化学肥料が不要。リサイクル可能、生分解可能。

海藻繊維

シーセル(SeaCell)とも呼ばれる、海藻によるセルロース繊維。生分解可能。

リヨセル

主にユーカリなどの木材パルプを原料とした繊維。危険な化学溶剤が使われず環境負荷が低い。リサイクル可能、生分解可能。

モダール

ブナの木材パルプを原料としたレーヨンの一種。シルクのような光沢と柔らかさが特徴。生分解可能。

ヘンプ繊維

農薬や化学肥料を使わず栽培が可能。生分解可能。

ベジタブル・カシミヤ、ソイ・シルク

豆腐製造の際の残余物から作られる。柔らかさ、耐久性にも優れている。ただし大豆のたんぱく質をクロスリンク(共有結合)する際に人体に有害なホルムアルデヒドが使われる場合もある。

リサイクル・ポリエステル、リサイクル・ナイロン

ペットボトルなどのリサイクルによる素材。ただし純ポリエステルや純ナイロン同様、洗濯時にマイクロファイバーが海に流出し海洋汚染が指摘されている。

この他にも、ヴィーガンファッションと共に注目を集め始めているのがヴィーガンレザー素材だ。従来、ナイロンやポリエステル生地をポリ塩化ビニール樹脂(PVC)やポリウレタン樹脂(PU)で加工した合成皮革が主流だったが、PVCは生産時に有害な化学薬品が多量に使われているなど、サステナブルな素材とは言い難い。

近年では、パイナップルの葉やコルクなどを原料とした生分解可能な植物由来繊維など、環境に配慮したヴィーガンレザーが登場している。

ヴィーガンファッション

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ヴィーガンファッションの認証

ヴィーガンファッションはコンセプトとしても比較的新しく、法律上の定義や国際機関による認証はまだないのが現状だ。ここに、独自の認証を行っている代表的な二つの市民団体を紹介する。各団体のHPから、認証申請や認証を受けたブランドや商品を検索することができる。(2019年12月現在)

 
PETAとヴィーガン・ソサエティでは、認証基準や審査方法、認証後のフォローアップが異なる。PETAは「動物由来の素材を一切用いていないこと」を申請者がチェックリストで提出しPETAが内容を確認するという方法を取っており、監査は行われない。また、一度認証を受けると更新は不要だ。

ヴィーガン・ソサエティは、開発や製造段階から動物由来素材とその派生素材を用いないことが基準であり、製造現場などへの監査も行う。認証を取得後は毎年更新が必要であり、その都度状況をチェックされるという。
 

なぜヴィーガンファッションか

ヴィーガンファッションが支持を増やしている理由として、主に以下の理由が挙げられる。

動物の保護

PETAによると、毎年何百万もの動物がファッションの犠牲になっているという。多くの場合、動物達は十分な餌を与えられず、清掃も行き届かない劣悪な環境で飼育されている。例えば、中国やインドの屠殺場では、動物が抵抗しないように目を潰したり殴打をするなどの暴行が行なわれている事例もある。また、ウール生産で有名なオーストラリアやアメリカでは、羊が抵抗しないよう、毛刈り職人達が羊の頭、首、前足をハンマーで殴り、麻酔を打たず皮や肉を切り取るという報告もあった。職人達は刈った羊毛の量で報酬が決まるため、より多くの羊毛を刈ろうとし暴行が起こりやすいのだという。

大量生産、大量消費の裏でこのように動物達が犠牲になっていることを知り、カリフォルニア州で毛皮の販売の中止、プラダやラコステがファーフリー宣言をするなどヴィーガンファッションやクルエルティフリーの製品を選択する企業や人が増えている。

環境への影響

また、動物由来の素材を用いることの環境への影響を懸念する声も多い。例えば、革のなめし工場では、1トン分の革を処理するにあたり約5,600リットル(1,500ガロン)の水が使用され、約1トンの肉や不要な毛類といった固形廃棄物が発生する。また、皮革製品にはホルムアルデヒドやクロムなど人体に有害な化学薬品が使われることが多い。工場の廃棄物に含まれる汚染物質により、工場閉鎖後20年経っても地下水にヒ素、クロム、鉛、亜鉛が含まれていた米国の事例もある。これらの有害物質は人体への影響も懸念されており、米国ではなめし工場付近の住民の白血病の発生率が、米国内平均の5倍程あった事例もある。

イギリスのファッションブランド、ステラマッカートニーも下記のように名言している。
「毛皮はまた、保存と染色に多くの毒性化学物質を必要とするため、自然環境や労働者にとっても極めて有害となる可能性があります。」

現在、なめし工場の多くは欧米からバングラデッシュなど他の地域に移っており、それらの国々の環境汚染や、職人や住民達の健康被害が懸念されている。

ヴィーガンファッション

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ヴィーガンファッションを取り巻く課題

ヴィーガンファッションを通して、動物を犠牲にせずにファッションを楽しむという選択肢は広がりつつあるが、幾つかの課題もある。

まず、「ヴィーガン」という表現が様々な意味で使われているという点だ。「ヴィーガンファッション」に法律上の定義や規制はなく、PETAやヴィーガン・ソサエティといった市民団体の認証基準も団体により異なっている。市民団体の認証も受けていないブランドとなると、「ヴィーガン」や「ヴィーガン・フレンドリー」を自称していても、どのヴィーガン素材がどの程度用いられているか公表されていないことが多く、消費者の立場で判断することは難しい。

また、ヴィーガン素材は「サステナブル」「エコフレンドリー」と謳われることも多いが、必ずしも環境に配慮した素材ばかりでない。ヴィーガン素材の例は上記にも挙げたが、合成皮革は石油から生まれるプラスチック製品のものもあり、PVC加工は製造時に有害物質が発生する。リサイクル・ポリエステルやリサイクル・ナイロンは、マイクロファイバーが流出することによる海洋汚染の懸念がある。

まとめ

動物や環境に優しいブランドイメージを持ちたいと考える企業にとって、「ヴィーガン」という表現は一つのキーワードだろう。しかし「ヴィーガン」を自称するブランドや商品の全てが、動物や環境に配慮した素材や製法を用いているとは限らない。消費者の立場からも素材や認証の確認を行う必要があるのと同時に、企業が十分な情報開示を行うよう行政が法整備を整える必要があるのではないだろうか。

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