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強制労働(forced labour)とは・意味

強制労働

強制労働とは?

強制労働(forced labour)とは、ある者が処罰の脅威の下に強要され、かつ、自らの自由意思ではない一切の労務を指す。1930年にILO(国際労働機関)で採択された「強制労働に関する条約(第29号)」で、強制労働を基本的人権の侵害と定めた。日本は同条約を1932年に批准し、労働基準法第5条には「強制労働の禁止」が定められている。

このように、「処罰の脅威」と「非自発性」が強制労働の構成要件である。具体的には、身体的あるいは精神的暴力の下での労働はもちろん、労働の条件や種類に関する偽った約束、身分証明書など個人所有物の留置(物を人または機関の支配下にとどめておくこと)、本人や両親その他の親族の債務返済のための労働なども強制労働である。

2017年にILOと豪NGOが公表したレポートによると、世界には推定4,030万人の「現代奴隷」がおり、このうち約6割の2,490万人が強制労働とされている。

注目が高まる企業のサプライチェーンの人権問題

2021年5月、米国関税当局が、中国・新疆ウイグル自治区の強制労働をめぐる輸入禁止措置に違反したとして、ファーストリテイリングが運営する衣料品店「ユニクロ」製シャツをロサンゼルス港で差し止めていたことが明らかになった。

公共事業への強制的参加や、イデオロギー的または政治的目的での労働の義務づけは、国による強制労働である。新疆ウイグル自治区では、綿花の収穫に数十万人規模のウイグル人ら少数民族が動員されている疑いがもたれている。これを機に、グローバルな事業展開を行っている日本企業の間で、サプライチェーンの人権問題に対する意識が大きく高まった。

海外から厳しい目を向けられる外国人技能実習生制度

こうした強制労働による人権侵害は、海外に限った話ではなく、私たちの身近なところでも発生している。海外から特に厳しい目が向けられているのが、パスポートの取り上げや実習計画と実際の仕事内容が異なるなどの問題が指摘される、外国人技能実習制度だ。

同制度の不適切な運営は、中小企業にとどまらず大手企業でも起きている。2019年には、パナソニックと三菱自動車は、労働基準法に違反しているとして技能実習計画の取り消しを受けた。

日本政府は一定の対応は行っているものの、米国・国務省は、2021年人身取引報告書において、技能実習制度の下で強制労働の兆候が広くみられることが知られていたにもかかわらず、政府の対応はまだ消極的と断じている。

急がれる「ビジネスと人権」への対応

近年、「ビジネスと人権」への注目が急速に高まっている。英国(2015年)およびオーストラリア(2018年)の現代奴隷法制定を嚆矢に、欧州各国やEUでは企業による人権デューディリジェンスの法制化が進んでいる。こうした人権問題を巡るグローバルな動向に対して、我が国は、個々の企業はもとより、政府レベルでの対応が急がれている。

【関連記事】強制労働とは?数字と事実・原因・解決策
【関連記事】自分の生活がどれだけ現代奴隷に支えられているかが分かる「Slavery Footprint」
【参照サイト】ILOビジネスのためのヘルプデスク:強制労働に関するQ&A (ilo.org)
【参照サイト】原則4 | 労働 | ライブラリー | グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン (ungcjn.org)
【参照サイト】wcms_575479.pdf (ilo.org) “Global Estimates of Modern Slavery” ILO(国際労働機関)
【参照サイト】日本企業、人権監視強化急ぐ 強制労働に高まる圧力―ウイグル問題:時事ドットコム (jiji.com) 時事通信社
【参照サイト】許可・認定の取消し | 外国人技能実習機構 (otit.go.jp) 認可法人外国人技能実習機構

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