男女同権とは・意味
男女同権とは?
男女同権は、男性も女性も同じ「人間」として同等の権利をもち、社会的な地位や法律上の権利が男女で区別されないことを表す言葉。ジェンダーの役割による不平等を改善し、男女が対等な社会を目指そうという考えだ。
19世紀から20世紀前半にかけての女性の参政権運動(婦人参政権)を中心とする第一波フェミニズムと、その後の社会的な性差別(教育・雇用の機会、賃金の不平等、中絶の権利)に対する第二波フェミニズムにより、女性の権利は拡大した。
一方、権利と義務は表裏一体で、現在ではイスラエルやマレーシア、ノルウェー、スウェーデンなど多くの国で女性の兵役も広がっている。「男女同権=女性にとって生きやすい社会」かどうかというのは、多角的な面からよく考えなくてはならない。
男女の平等さを表す国際的な指標には主に、世界経済フォーラムが発表する世界男女格差レポートのジェンダー・ギャップ指数(GGI)や、国連開発計画 (UNDP) が発表する人間開発報告書のジェンダー不平等指数 (GII) 、ジェンダー開発指数(GDI)、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)がある。
世界の男女差別と日本の状況
1906年に、フィンランドが世界で初めて女性に完全参政権を実現。ドイツでは、1958年に初めて法律で「男女同権」を規定した。日本では、男女同権の新選挙法によって1946年に総選挙を行い、初の婦人代議士が誕生した。それ以前は、日本も世界も男権社会が主流だった。
たとえばインドでは、歴史的・宗教的な価値観から女性の地位が低い傾向にあった。女子は男子と同じレベルの教育が施されず、多額の婚姻持参金(ダウリー)で本人の意思とは無関係に若くして嫁がされるケースがあり、夫が火葬される火に未亡人が飛び込むサティーという習慣もあった。
ヒンドゥー教やカースト制の根拠にされた「マヌ法典」は、女性の性格を悪いと決め付け女性に従属を強要している。その名残は現在でも続いており、お腹の中の胎児が女児だとわかったときに人口妊娠中絶する悲劇が後を絶たない。2011年の英医学専門誌ランセットの研究調査によると、インド過去30年に「女児だから」という理由で行われた中絶は最大1,2000万人もいるという。

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日本では、時代や地域によっては女性は神聖なものとされ、邪馬台国では卑弥呼という女性の指導者が国を治めていたと言われている。しかしその後、武力のある者が世を治めるという歴史の流れの中で、腕力で勝る男子が武功を上げ、政治的な影響力を持つようになった。
女性の権利が拡大した今でも、依然として所得の格差や、女性政治家の少なさ、要職に登用される女性の数の少なさが顕著だ。他にも、婚姻により夫婦同姓にするために氏を変更するのは、大半が女性だ(日本の男性の変更率はわずか4%)。それをうれしく思う女性もいるが、雑多な書類の手続きや苗字が変わることで起こる社会での影響といった負の側面もあり、これは男女差別だという指摘もある。
男女同権を実現するには、根本的に社会を変える必要がある
マタニティハラスメントという言葉がある。妊娠できるのは女性だけ、ということから、妊婦に対する個人または組織からの嫌がらせのことだ。妊娠をしたとわかった瞬間から、雇用を受けにくくなったり、昇進できなくなったりすることで、女性の社会進出を阻む。これを是正するべく、父親の育児休暇といった制度がある。
しかしここで問題となるのは、日本の男性の労働時間が長すぎることだ。有給休暇の取得率すら4割をきる中で、仕事に穴をあけて育児に時間を割く決断を下すのはなかなか困難である。また、男性トイレにオムツ交換台がほとんど設置されていないなど、男性が育児をするための土壌ができていないこともある。単に男女の問題だけではなく、社会インフラや人々の長年の思い込みが男女同権を阻害していることもあるのだ。
アメリカのニューヨークでは、新設されるすべての男性トイレにオムツ交換台が設置されることとなった。女性の「働く」という権利を保障するのと同じく、男性
の「子供と過ごす」という権利を大事にしている。
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