Browse By

コミュニティデザインとは・意味

コミュニティデザイン

コミュニティデザインとは?

コミュニティにおいて、かかわる人たちが自分たちで課題解決力を高められるよう、場づくりや仕組みづくりをデザインの力で支援すること。人と人がつながることを目的に、施設や空間といったハード面だけではなく、ワークショップやイベントなどソフト面もデザインすることで社会における関係の形成を促す社会的な活動のかたちである。その活動の範囲は幅広く、過疎化が進む地方の活性化や、中小規模の自治体のまちづくり、人のつながりが希薄な都市部での場づくりなど様々で、それ以外にも職場、学校、共同住宅や町内会などあらゆる場所で取り組みが行われている。

1960~1970年代くらいには概念として生まれていたが、時代が急速に変化し、人と人とのつながりが希薄になっている現在、改めて見直されている。日本では「studio-L」を主宰する山崎亮氏の活動などによって、2000年代頃から徐々に世の中に広まっていった。またコミュニティデザインを行う人をコミュニティデザイナーと呼ぶ。最近では東北芸術大学や宇都宮大学などをはじめ、コミュニティデザイン学科の設置や学べるコースがある大学も増えている。

コミュニティデザインの方法

コミュニティデザインを行う上でまず大切なのは、関わる人たちの声に耳を傾けることである。また解決策そのものではなく、解決策を導くプロセスの提案が必要となる。ワークショップなどを通じ会話を重ねることで、関わりしろを作り、主体的に参加してもらう仕組みを作ることが重要だ。そうすることで自走できるコミュニティが生まれ、自主的な関係性を持つ人が増えることで持続可能な運営が可能になる。

コミュニティデザインの現場においてコミュニティデザイナーは、デザインの専門家という位置付けではなく、ファシリテーターとしての立場を求められる。その中で、人々が集まれる「場」、集まるきっかけとなる「機能」、継続的につなげる「仕組み」を、コミュニティ内の人々と伴走しながら形作っていくことが役割だ。

  • 場:公民館、公園、カフェ、ワークスペース、SNSなど
  • 機能:娯楽機能、リラックス機能、情報提供機能、生活サービス機能など
  • 仕組み:コーディネーター、コンシェルジュ、マルシェ、映画・芸術祭、季節行事、勉強会など

また、コミュニティデザインは食、農、自然、福祉、観光、アート、教育、環境、エネルギー、医療、防災などの様々な分野や手法を取り入れることが可能だ。こうした要素を組み合わせ、マニュアルで決められた単一的なものではなく、それぞれに合う形でカスタマイズされたデザインを実践することで、より良いコミュニティが生まれるきっかけとなる。

コミュニティデザインの実例

アメリカ・ポートランド

現在では米国一住みたい街とも言われるオレゴン州ポートランド。しかしかつては公害も多く、決して住み良い街ではなかった。ただ、これ以上公害が広がると様々な状況が悪化し、街として限界を迎える危機があり、それまで関わりのなかった住民たちが手を取り合い解決に向けて取り組みを始めた。ポートランドでは、行政や民間企業、大学など大きな組織が主導する場合でも、実際にそこに住む住人、それを使う人々と連携し、意見を取り入れ官民協働を積極的に行ってきた。

さらに街全体ではなく100人程度の地区レベルで考えることを実践し、コミュニティが生まれやすい環境を作った。地区内に、車でなく、徒歩や自転車、公共交通機関で20分程度で移動できる距離に様々な機能を設置し、生活が完結できるようにすることで住民たちのコミュニティへの帰属意識も高まる。こうした取り組みが住民たちの住みやすさにつながり、地域の中で文化が醸成される好循環となっている。

また、ポートランドでは1ブロックが60m×60mと、アメリカの都市の中では一番小さい街区で街づくりを行ったり、古いレンガの建物を整備する際に助成金を出し路面に窓を設置してもらったりなど、独自の制度を実施している。こうした取り組みが街ににぎわいを生み出し、人々に安心感を与える仕掛けとなっている。

長年にわたりコミュニティの要望を土台とする街づくりを続けてきたことによって、今では若い世代の移住者が絶えない、アメリカで最も人気のある街の一つになっている。

徳島県上勝町

ゼロウェイストの町として国内外から注目を集める上勝町。山間部の小さな町である上勝町もかつては、多くの課題を抱えていた。小さな町であるがゆえに、ゴミ処理の大きな施設を作る財源もなく、自分たちでゴミを減らす取り組みをスタートさせたが、その後、町で利用していた小さな焼却炉も法規制によって使えなくなり、やむを得ず多分別を始めたのがゼロウェイストに取り組むきっかけだった。しかし、そのゼロウェイストを通じて、自治体と企業、町内の人と町外の人、町出身の方と移住者など立場が異なる人たち同志の協働が生まれ新たなコミュニティが生まれている。

元々は公共事業であるはずのごみ処理の問題だったが、役場だけでは解決できなかった課題があったことで、結果的に町民たちが主体となって行う活動となっていった。決して簡単なことではなかったが、町民からリーダーを育てたり、ごみ収集車自体を無くし町民たちが自らごみをゴミステーションに持っていき分別する仕組みを作ったり、町民や関わる人たちの声やメリットを大切にしながら活動を行って来たことで人々の意識を変え、今では13種45分別を実現している。また、こうした取り組みが各方面から注目され、限界集落であった上勝町に若い世代の移住者を増やす大きな理由となっている。

まとめ

地方の過疎化、少子高齢化、無縁社会など、現代の社会には様々な課題が山積し、行政などトップダウン型のやり方だけでは解決しきれなくなることが予想される。そうした中、人々が積極的に関わり自己肯定感や地域や所属する組織への誇りを生み出すコミュニティデザインはますます重要なものとなっていくだろう。しかし理想とするコミュニティは一朝一夕に出来上がるものではなく、小さな積み重ねを時間をかけて行うことが大切だ。そのためには関わる人たちがいかに自分事として、楽しみながら取り組めるかが持続可能な仕組みを作る鍵となる。まずは、地域や組織など自分の周りにいる人たちと、理想とするコミュニティについて話し合う機会を作ってみることから始めてみるのもよいのではないだろうか。

【参照サイト】studio-L | studio-Lについて
【参照サイト】時間〈とき〉ラボ | 【コミュニティデザイナー 山崎亮さん】住民自らが参加するコミュニティデザインで、 豊かな人生とまちづくりを実現する
【参照サイト】大学・地域連携ポータルサイト GAKUMACHI STATION(がくまちステーション)| コミュニティデザインと 住み良い都市空間
【参照サイト】株式会社リクルート | ゼロ・ウェイストに葉っぱビジネス。徳島県上勝町に学ぶ、立場の異なる仲間の作り方
【参照サイト】新たなコミュニティの創造を通じた 新しい内発的発展が支える地域づくりについて | 国土交通省
【参照サイト】 Forbes | What Is Community Design And How Can It Build Brave Spaces With Heart




用語の一覧

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行

ま行
や行
ら行
わ行
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
V
W
X
数字

FacebookTwitter