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ESDとは・意味

教育

ESDとは

ESDとは、Education for Sustainable Developmentを略したもので、日本語では「持続可能な開発のための教育」と訳されている。

大量生産・大量消費型の経済社会を拡大してきたことで、人類は、将来的に自らの存続を脅かすような危機にさらされている。地球温暖化や天然資源の枯渇、自然破壊などの環境問題から、貧困や差別、人権侵害まで、様々な問題が私達を取り巻いている。

ESDはこうした現代社会における地球規模の課題を、一人ひとりが自身の問題として捉え、次の世代まで持続可能な社会を創造することを目指す学習や活動である。「think globally, act locally」の言葉が示すように、身近なところから行動を起こす力を身につけ、新しい価値観を生み出すことを目的としている。

ESDが生まれた背景

日本では戦後、高度経済成長期に様々な公害が発生し、大きな社会問題となっていった。一方で、欧米諸国も、酸性雨や化学物質が引き起こす環境問題に悩まされ、1962年にレイチェル・カーソンが「沈黙の春」を出版したことで、世界的に環境保護活動が注目されるようになった。

そうした時代が背景となり、国際組織の中での共通認識として、「持続可能性」という考え方が醸成されてきた。ESDに関しては、下記のような変遷をたどりながら、1984年以降その推進が行われてきた。

  • 1984年:「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が国連に設置される
  • 1992年:「国連環境開発会議(UNCED、地球サミット)」にて、持続可能な開発の指針である国際的な行動計画『アジェンダ21』が採択
  • 2002年:「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」において日本が提案したことで、2005-2014年を『国連ESDの10年(UN Decade of Education for Sustainable Development)』とすることが国連で決議される
  • 2013年:第37回UNESCO総会で採択された『持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)』(2015-2019年)に基づき、UNESCOが主導機関となる
  • 2019年:第40回ユネスコ総会及び第74回国連総会にて新たなESD推進の国際枠組みである「ESD for 2030」が採択。2021年より本格始動

    ESDの目指すもの

    2013年に採択されたGAPでは、今後取り組みを世界的に推進していくために、5つの優先行動分野が示されている。また、同プログラムでは持続可能な社会づくりに必要な6つの価値観(多様性、公平性、相互性、連携性、有限性、責任性)を培うことが目標とされている。優先行動分野は以下の通りだ。

    5つの優先行動分野

    1. 政策の推進
    対象者:政策立案者、国際政府諮問機関など
    SDGsや教育に関連する政策へESDの導入促進

    2. 学習環境の変革
    対象者:教育機関の長や経営者など
    EDSを実施できる教育環境づくり、持続可能性のある教育機関の運営

    3. 教育者の能力構築
    対象者:ESDを実施する教育者、教育者の育成機関など
    教員養成課程へのESDの導入、ESDを実施する指導者の能力開発

    4. ユース(若者)のエンパワメントと参加の奨励
    対象者:10代後半〜20代前半の若者や発信する若者による組織など
    国際的な議論へのユースの参加推奨、ユース同士のコミュニティの醸成

    5. 地域レベルでのコミュニティと活動の促進
    対象者:公共機関、企業、市民、NGOなど
    ローカルな単位でのSDGsの促進、ESDを支援するネットワークの構築

    SDGsとESD

    2015年、持続可能な社会をつくるための目標として、国連においてSDGs(持続可能な開発計画)が採択された。教育はその達成の鍵を握る大きな要素として注目され、SDGsの中には教育に関するゴールも掲げられている。設定された17の目標のうち4番目「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」がそれに当たる。

    さらにターゲット4.7では、「2030年までに持続可能な開発と持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力の文化、グローバル市民、および文化的多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通じて、すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するようにする」とあり、ESDの重要性にも触れられている。

    教育は目標の1つとして掲げられているだけでなく、環境や人権、平和など様々なカテゴリーからなる17の目標すべてにとって必要となる要素だ。ESDはより良い未来の実現に向けた人づくりにおいて不可欠なものとなっている。

    ESDを学べる場所

    ESDの教育推進の拠点として位置づけられているのが、ユネスコスクールだ。日本国内でも2019年11月現在、小学校、中学校、高等学校を含む1,120校が、ユネスコスクールのネットワークに参加し、様々な活動を行っている。

    また、国連大学は「持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点(RCE)」づくりを提唱。学校などの公的教育機関だけでなく、科学博物館や自然公園などの知識関連機関や、地方公共団体、地元の企業などの非公的教育機関のネットワークにも連携し、ESDをより効果的に推進できる拠点づくりを進めている。

    まとめ

    世代を超え、人々が安心して幸せに暮らせる社会を実現するには、私達一人ひとりが課題に向き合い、根本的に行動を変えていかなければならない。場所や年齢、立場を限定せず、誰もが生涯を通じて行うことができる学習がESDだ。問題に気付き、原因を調べ、できることを考え実践する。こうしたアクションを起こせる人材が育っていくことが、持続可能な未来につながっている。

    【参照サイト】UNESCO | What you need to know about education for sustainable development
    【参照サイト】Education within the 2030 Agenda for Sustainable Development | Education for Sustainable Development Goals – Learning Objectives (UNESCO, 2017) |
    【参照サイト】ユネスコ未来共創プラットフォーム | SDGsとESDについて
    【参照サイト】文部科学省 | 持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)
    【参照サイト】環境省 | 平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第4章第2節 「持続可能な開発のための教育」の必要性
    【参照サイト】環境省 | 参考資料6 ESDの10年の推進に向けた国連大学の取組み
    【参照サイト】国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン | ESDとは?教育の取り組みを知ろう
    【参照サイト】ESD-J | ESDとは?




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