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ダブルマテリアリティとは・意味

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ダブルマテリアリティとは?

ダブルマテリアリティとは、環境・社会が企業に与える財務的な影響(財務的マテリアリティ)と、企業活動が環境・社会に与える影響(環境・社会マテリアリティ)という二つの側面から重要性を検討すべきとする考え方である。一方、財務的マテリアリティを重視する考え方をシングルマテリアリティと呼ぶ。

シングルマテリアリティとダブルマテリアリティ

シングルマテリアリティとダブルマテリアリティ(出典:経済産業省

EUがダブルマテリアリティの議論をリード

ダブルマテリアリティの議論は、資本市場における情報開示ルール強化の一環として、EUで先行して行われてきた。世界で最初に「2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ」を公表したように、EUはサステナビリティに関する国際的な動きをリードしている。このダブルマテリアリティの議論も、環境・社会政策の実現手段の一つである。

EUは、2018年に「非財務情報報告指令(Non Financial Reporting Directive)」を施行し、約11,000社の大企業にダブルマテリアリティに基づく情報開示を義務づけた。さらに、重要性が高い気候変動については個別にガイドラインを公表し、シングルマテリアリティの考え方に立つTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)では求められていない企業活動が環境・社会にもたらす機会とリスクについても開示するよう求めている。

EU気候関連情報のレポーティングに関するガイドライン

EU気候関連情報のレポーティングに関するガイドライン(出典:経済産業省

資産運用業もシングルマテリアリティからダブルマテリアリティへ

顧客の資金を預かって運用する資産運用会社は、顧客の利益を第一に考えて投資リターンを追求する責任を負っている。そのため、長らくシングルマテリアリティの立場をとってきたが、ダブルマテリアリティの考え方が急速に浸透しつつある。

その最大の要因が、環境(Environment)、社会(Society)、企業統治(Governance)の3つの要素を十分考慮している企業への投資を指すESG投資の拡大だ。これは、経済的なリターンだけではなく、投資を通してより良い社会の実現に貢献したいと考える投資家が増えていることを示している。

もう一つの要因が、先のEUはもちろん我が国も含む各国規制当局の要請だ。企業にはダブルマテリアリティに基づく情報開示を求める一方、資産運用会社には、投資先企業が環境・社会へのネガティブな影響を抑制し、ポジティブな影響を創出するよう働きかけを行うことを求めている。

ただし、投資リターンを犠牲にしてまで、資産運用会社が企業の環境・社会への影響を考慮することは認められないのが原則だ。米国ではトランプ政権下の2020年に企業年金運用に関する規則を改正し、企業年金の積立金運用においては非金銭的な利益を考慮すべきではないとした。バイデン政権は「ESG要素を考慮することは許される」とする再改正を目指しているが、この原則に変わりはない。つまるところ、ESG要素の考慮による環境・社会のサステナビリティへの貢献と投資リターンの追求を高いレベルでどう両立させるかが、資産運用会社にとっての大きな課題だ。

【関連記事】TCFDとは・意味
【関連記事】ESG投資とは・意味 
【参照サイト】サステナビリティ関連情報開示と企業価値創造の好循環に向けて-「非財務情報の開示指針研究会」中間報告 –
【参照サイト】ESG投資を後押しする米国労働省規則改正




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