ソバーキュリアスとは?
ソバーキュリアスとは、お酒は飲めるけどあえて飲まないことを選択したり、ノンアルコールのドリンクを楽しんだりするライフスタイルのこと。英語の「sober(シラフの)」と「curious(好奇心旺盛な)」という2つの言葉を組み合わせた造語である。
この表現は、2018年に発売された、イギリス人のジャーナリストRuby Warrington氏による『Sober Curious: The Blissful Sleep, Greater Focus, Limitless Presence, and Deep Connection Awaiting Us All on the Other Side of Alcohol(飲まない生き方 ソバーキュリアス)』の中で紹介されている。健康障害や宗教的な理由などでお酒を断ったり制限したりするのではなく、お酒を飲まないことで自分のライフスタイルにどういったポジティブな変化があるのかという好奇心に基づくもの、という考え方がソバーキュリアスの特徴だ。
ソバーキュリアスが注目されている背景
2010年以降、オーストラリアやイギリスを中心に「Sober October」や「Dry January」といった10月や1月の1ヶ月間禁酒をし、飲酒の習慣を見直そうという動きが広まっていた。
SDGsのターゲット3.5でもアルコールの有害な使用を低減するための世界的な戦略について触れられるなど、健康志向も高まっている。
また、ミレニアル世代やZ世代の中にはお酒を飲むことのメリットより、酔って翌日を無駄にすることや、健康への悪影響にデメリットを感じる人、コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスなどの節約志向で飲酒を好まない人も少なくない。実際に日本でも2019年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、20代、30代では飲酒習慣率が低下している。飲酒頻度においても「ほとんど飲まない」、「やめた」、「飲まない(飲めない)」と回答した人の割合は男性で約半数、女性では約6割を占めている(※1)。
さらにコロナ禍で飲み会の機会が減少した一方で、家飲みが増えるなど、それぞれのお酒との向き合い方も変わってきている。最近ではセレブリティやインフルエンサーが自らお酒を飲まないことを公言したり、SNSで「#Sober」とハッシュタグをつけて発信するなど、シラフであることがクールであるという風潮も広がっている。
ソバーキュリアスを選択する理由
では、ソバーキュリアスなライフスタイルを取り入れることで、どのようなメリットがあるのだろうか。Ruby Warringtonの著書をはじめ、一般的には次のようなことが挙げられている。
- 睡眠の質の向上
- 肌や体調のコンディションが良くなる
- 生活習慣病などの改善
- 二日酔いがなくなり生産性が向上する
- 時間の有効活用
- 経済的に節約できる
- 不安から解放される
- 飲み過ぎによる失敗などがなくなる
もちろんお酒を飲む場が楽しいと感じる人も多いが、ただなんとなく飲んでいたお酒をやめてみると、それを上回るメリットがあることに気づく人も増えているのだろう。
また、アサヒ飲料の調査(※2)によると、「明日の予定がある時」、「飲みたい気分じゃない時」、「趣味や学びに没頭したい時」など、状況に応じてお酒を飲まないという選択をしている人たちの割合は全体の約7割前後にのぼる。飲むか飲まないかという選択肢ではなく、ソバーキュリアスはそれぞれのタイミング、それぞれの理由で取り入れられるのが特徴だ。
ソバーキュリアスの楽しみ方
ソバーキュリアスを実践する人を「ソバキュリアン」と呼ぶこともある。ここではソバキュリアンが楽しめるドリンクを紹介する。
ノンアルコール、低アルコール飲料
アメリカでは禁酒宣言をしたモデル・ベラ・ハディッドが手がけた「Kin Euphorics」が人気だ。天然ハーブなどをブレンドしたドリンクで、お酒を飲まない人だけに向けたものではなく、バーやナイトクラブでも提供されている。また、バドワイザーやハイネケンなど大手メーカーも次々とノンアルコールビールを発売するなどマーケットが広がっている。日本でもかつては車の運転をする人が飲酒運転を避けるために飲むものというようなイメージだったが、最近ではアサヒビールが「スマートドリンキング」という飲み方の多様性を打ち出し、株式会社電通デジタルとともに「スマドリ株式会社」を設立。ノンアルコールや低アルコール飲料の商品開発や楽しみ方を提案し、キリンやサントリーなど他の大手メーカーも同様の商品を拡充している。
モクテル
モクテルとは「mock(真似た)」と「cocktail(カクテル)」を掛け合わせた造語で、ノンアルコールカクテルの新しい呼び方である。フルーツやハーブ、お茶などのシロップとトニックやソーダを組み合わせるなど、実際のカクテルと同様に作られ、見た目も華やかなものが多い。ソフトドリンクでは物足りないと感じる人にはお酒を飲んでいるような雰囲気も楽しめる。最近ではモクテル専門のバーが登場したり、ホテルやミシュランの星付きのレストランなどでもモクテルやノンアルコールカクテルのペアリングが楽しめる機会が増えている。
まとめ
かつては飲み会でお酒を飲まない人は肩身の狭い思いをするようなシーンもあったが、若者のアルコール離れやコロナ禍を経てお酒の飲み方も変わってきている。多様性が受け入れられる時代、飲みたい人も飲まない人もどちらも心地よく同じ時間を共有するためにも、ソバーキュリアスなライフスタイルが広がると良いのかもしれない。
※1 令和元年 厚生労働省「国民健康・栄養調査
※2 アサヒ飲料 | ウィルキンソン「#sober(タグソバー)」
【参照サイト】The New York Times | The New Sobriety
【参照サイト】Ruby Warrington | Sober Curious
【参照サイト】Kin Euphorics | Non-Alcoholic Alternative Drinks & Spirits
【参照サイト】ニッセイ基礎研究所 | さらに進行するアルコール離れ-若者で増える、あえて飲まない「ソバ―キュリアス」
【参照サイト】 アサヒ飲料 | ウィルキンソン「#sober(タグソバー)」
【参照サイト】 アサヒビール |【スマドリ】スマートドリンキング
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