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グリーントランスフォーメーション(GX)とは・意味

グリーントランスフォーメーション

グリーントランスフォーメーション(GX)とは?

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、温室効果ガスを発生させないグリーンエネルギーに転換することで、産業構造や社会経済を変革し、成長につなげること。

GXの背景となるのは、地球温暖化への対策としてのカーボンニュートラルだ。2007年にノルウェーのイェンス・ストルテンベルク首相(当時)が2050年までに国家レベルでカーボンニュートラルを実現する政策目標を提案したのをはじめ、同年、コスタリカも2021年までのカーボンニュートラルを宣言した。2017年には2050年までのカーボンニュートラルを目指す「カーボンニュートラル連合(The Carbon Neutrality Coalition)」が発足し、2021年4月15日時点で日本を含む29カ国が署名している。

日本政府は2020年10月、「2050年カーボンニュートラル」を発表。これを受け、経済産業省は同年12月、関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定した。同戦略は、「2050年カーボンニュートラル」目標を「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策である、と経済産業省は発表しており、GXを推進するものとなる。2021年4月には、環境省が、企業の脱炭素経営における具体的な取り組みの促進を目的とするガイドを策定した。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

同戦略では14の重要分野ごとに目標を掲げ、現在の課題と今後の取り組みを明記。予算や税、規制改革・標準化や国際連携など多くの政策を含めた実行計画を策定した。重要分野は、今後産業としての成長が期待され、温室効果ガス排出削減の観点からも取り組みが不可欠な分野として、経済産業省が選定した。

14分野は以下のとおりだ。洋上風力産業、燃料アンモニア産業、水素産業、原子力産業、自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業、船舶産業、物流・人流・土木インフラ産業、食料・農林水産業、航空機産業、カーボンリサイクル産業、住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業、資源循環関連産業、ライフスタイル関連産業。

経済産業省は、同戦略が3,000兆円に上る環境関連の投資資金を世界から日本に呼び込み、雇用と成長を生み出すと予測している。

GXの事例

海外

  • フィンランドのラハティ市は石炭の使用を廃止しており、2025年までにカーボンニュートラルに、2050年までに廃棄物ゼロの循環型経済都市となることを目標としている。家庭ごみの99%以上をリサイクルし、暖房にはリサイクル燃料と地元の認証を受けた木材を使用する同市では、温室効果ガス排出が1990年と比べて約70%削減した。こういった持続可能な都市構築を目指した取り組みが評価され、2021欧州グリーン首都賞を受賞した。
  • アップルは2021年4月時点で、世界的企業運営においてすでにカーボンニュートラルを達成しており、2030年までにサプライチェーンと全製品を100%カーボンニュートラルにすることを2020年7月に公表した。また2021年の年次株主総会では、「将来、すべての製品と容器包装に100%再生可能なリサイクル材を使用する」ことを発表している。
  • グローバルセメント・コンクリート協会は2020年9月、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという声明を発表した。世界のGDPの13%を占める建設業界は、産業全体において重要な役割を果たす。同業界の主要分野の一つであるセメント・コンクリート産業は、1990年以来セメント原料1トンあたりのCO2排出量を19%削減し、代替燃料の使用を9倍に増加させるなど、気候変動対策を講じてきた。同声明では、再生可能エネルギー源によって間接エネルギー排出が削減されるとしている。

日本

  • 東京海上日動火災保険株式会社は2021年2月、「グリーン・トランスフォーメーション(GX)タスクフォース」を設置した。保険の開発・提供やリスクコンサルティングを通して、顧客のカーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に向けた取組みを支援し、産業の成長・発展に貢献することを目的としている。
  • 株式会社ユーグレナとセイコーエプソン株式会社、および日本電気株式会社は2021年3月、「パラレジンジャパンコンソーシアム」を設立した。バイオマスプラスチックの一つである「パラレジン」の技術開発と普及推進を行う予定だ。バイオマスプラスチックの普及推進は、化石資源由来樹脂を代替し、環境負荷低減やCO2排出量削減などを通じて脱炭素社会化へ貢献し、SDGsパリ協定の達成に寄与すると3社は認識している。
  • オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社は2021年4月から、低圧野立て発電所向けの太陽光発電用パワーコンディショナの定額貸出サービスを提供する。同サービスを通じて自社従来機種のパワコンを最新機種に交換し、保守を含めたサービスを提供することで、太陽光発電所の長期安定稼働化を図ることを発表した。

企業と政府に求められること

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は2021年3月、新イニシアチブ「Value Chain Carbon Transparency Pathfinder(バリューチェーン炭素透明性開拓組織)」を発足させ、企業・認証策定機関・脱炭素専門家に同イニシアチブへの参加を呼びかけている。2050年までにネットゼロを達成するには、まずすべての企業が炭素排出量を測定する必要があり、世界的に企業はCO2排出量削減を求められているとWBCSDはみている。

さらに、世界最大手資産運用会社の米ブラックロック会長兼最高経営責任者(CEO)であるラリー・フィンク氏も、2021年に発表した年次書簡で、気候変動対策の強化と情報開示の重要性を強調している。このように、企業にはCO2排出量削減や情報開示が、政府には企業の取り組みを支援する政策の策定が世界的に求められている。

産業構造や社会経済を変革し、環境に好影響を与えることが期待されているGX。日本、そして世界の今後の取り組みが注目される。

【関連ページ】カーボンニュートラルとは・意味
【参照サイト】フィンランド・ラハティ市、2021欧州グリーン首都賞を受賞。スキーで市内移動の試験導入開始
【参照サイト】アップル、全製品と容器包装に100%再生可能なリサイクル材使用を約束
【参照サイト】グローバルセメント・コンクリート協会、2050年までにカーボンニュートラル達成へ
【参照サイト】ユーグレナ・セイコーエプソン・NEC、コンソーシアムを設立。バイオマスプラの技術開発を推進
【参照サイト】米ブラックロックCEOの投資先企業に向けた年次書簡、気候変動対策と情報開示を強調




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