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エシカルファッションとは・意味

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エシカルファッションとは

エシカルファッション(Ethical Fashion)とは、直訳すると「倫理的・道徳的なファッション」のこと。かみくだいて表現するなら「人と地球にやさしいファッション」。具体的には、素材の選定、生産、販売までのプロセスで人と地球環境に配慮して作られたファッションを指す。

大量生産・大量廃棄や労働問題・人権問題など、ファッションを取り巻く問題が広く知られるようになる一方で、ファッション業界では今、「サステナビリティ」や「エシカル」といったキーワードが注目を集めている。

エシカルファッションの基準

エシカルファッションの具体的な基準については、2004年に設立され、世界100か国以上の団体・個人が加盟しているエシカルファッションの推進団体The Ethical Fashion Forumが、下記のように記している。

  • Countering fast, cheap fashion and damaging patterns of fashion consumption(ファストファッションや、安い使い捨て型のファッション消費に反する)
  • Defending fair wages, working conditions and workers’ rights(生産における労働者の賃金や権利、労働環境を守っている)
  • Supporting sustainable livelihoods(動植物の持続可能性をサポートしている)
  • Addressing toxic pesticide and chemical use(有毒農薬や、化学薬品の使用の問題に取り組んでいる)
  • Using and / or developing eco- friendly fabrics and components(環境に優しい素材を開発、または使用している)
  • Minimising water use(水の使用量を最小限にしている)
  • Recycling and addressing energy efficiency and waste(リサイクルやエネルギー問題、ごみ問題に取り組んでいる)
  • Developing or promoting sustainability standards for fashion(ファッションにおけるサステナビリティを作りだし、それを広めようとしている)
  • Resources, training and/ or awareness raising initiatives(新たな取り組みを人々に知らせ、解決策を広めようとしている)
  • Animal rights(動物の権利を保護している)

エシカルファッションをめぐる動き

エシカルファッションという考え方が生まれた背景には、ファストファッションの流行がある。価格を抑えるために、労働者の人権やまわりの環境への影響に配慮せず、コスト重視で服を生産しているメーカーが数多くあり、市民団体、メディアから告発されてきた。

特に象徴的な出来事は、2013年にバングラデシュで起きた「ラナ・プラザ崩落事故」だ。このビルは違法に増築されており、ビルの亀裂の修理もせずに操業を続けた結果、ビルが崩落。1100人以上の犠牲者が出た。ビルには銀行や複数のお店のほか、MangoやMatalan、Benettonなど27のファッションブランドの縫製工場が入っており、犠牲者の多くはこうした縫製工場で安い賃金で働いていた若い女性たちだった。他にも工場の染料が現地の川を汚染したり、コットン生産者が農薬の影響で体調を崩すなど、世界中(特に開発途上国)で多くの被害が起こってきた。

こうした被害が明るみになるにつれ「倫理的なファッションを買いたい、着たい」という機運が高まった。ラナプラザの崩壊から1年後の2014年、ファッション活動家たちは、消費者が洋服タグの写真を撮り、ブランドに対して「#whomademyclothes?」と問いただすことを奨励するソーシャルメディアキャンペーンを始動。世界で初めてのファッション革命デーとなった。

現在では、企業側も対策が不可欠となり、ファストファッションから有名ブランドまで、多くのファッションブランドがエシカルファッションに取り組んでいる。

エシカルファッションに取り組んでいるブランド

現在、多くのブランドがエシカルファッションの考えに基づいた製品を生産している。下記、取り組みの一部を紹介する。

  • パタゴニア(オーガニックコットン、リサイクル素材を使用)
  • ピープルツリー(日本のフェアトレードブランド。女優エマ・ワトソンとコラボでオーガニックコットン使ったシリーズを展開。)
  • ステラ・マッカートニー(子供服は全てオーガニックコットン製)
  • リーバイス(製品生産時に必要な水を減らす取り組みを展開)
  • Enter the E(エシカル・サステナブル・フェアトレードを基準に厳選した衣服を販売しているセレクトショップ)
  • TSU.NA.GU(伝統技術やオーガニック素材を使用。受注してから生産するため在庫ロスが発生しない)
  • Liv:ra(オーガニックコットンを使用したエシカルランジェリーブランド)

2004年からはパリコレクションの後に「エシカルファッションショー」が定期開催されている。イタリアの「ミラノ・ファッション・ウィーク」期間中に開催される「グリーンカーペット・ファッションアワード・イタリア」(2018年~)も話題となっており、2019年は12の賞がバレンティーノ、ステラ・マッカートニーなどに贈られた。

エシカルファッションの今後

エシカルファッションには課題もある。よく指摘されているのは、エシカルファッションの定義が明確にされていない点だ。特に基準が設けられているわけではないので、作り手や受け手がエシカルファッションと考えれば、エシカルファッションと言うことができる状況だ。

エシカルファッションのさらなる広まり、定着のカギは、言葉をただの宣伝文句にしない、真に倫理的・道徳的なものづくりを続けていくことにかかっている。

私たち一人ひとりにできることとは?

私たち一人ひとりが、日常の中で取り入れられることとはなんだろう。「責任のある消費をしよう」と言われても、具体的にどうすればいいのかわからない人も多いのではないだろうか。

下記記事では、すぐに実践できるファッションのサステナブルアイデア(初級編~上級編)から、サステナブルファッションの選び方、国内で買えるおすすめブランドまでを、わかりやすくご紹介している。参考にしてみてはいかがだろうか。

今日からできる、ファッションをもっとサステナブルにする50のヒント

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【関連ページ】ラナ・プラザ崩落事故
【参照サイト】Ethical Fashion Japan
【参照サイト】ファッションが今これから、できることとは? ~ファッションから現代社会と未来を読み解く~
【参照サイト】グリーンカーペット・ファッションアワード イタリア

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