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ウェルネスとは・意味

Wellness

ウェルネスとは?

ウェルネス(Wellness)とは「健康(Health)」をより広義に総合的に捉えた概念であり、身体的・精神的により良く生きようと、日々健康的な習慣を実践することを表す。1961年にアメリカのハルバート・ダン博士が「輝くように生き生きしている状態」と提唱したのが最初の定義である。

健康(ヘルス)とウェルネスの違い

ウェルネスの意義を理解するためには、それが健康とどのように結びついているかを理解することが重要である。

世界保健機関(WHO)は「健康」を「身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に病気や不調がないことではない」と定義する。

一方、ウェルネスは、WHOの健康の定義よりもさらに広い視野でとらえた健康観であり、様々な解釈が存在する。

シンクタンクである非営利組織グローバル・ウェルネス・インスティテュートは、ウェルネスを「全人的な健康状態をもたらす活動、選択、ライフスタイルを積極的に追求すること」と定義する。非営利組織ナショナル・ウェルネス・インスティテュートでは、ウェルネスを「人々がより成功した存在であることを自覚し、そのための選択を行う能動的なプロセス」とみなしている。

医学サービスを提供するSanford OccMedは、ウェルネスを「健康で充実した日々を送るために、身体的、社会的、精神的、感情的、知的、環境的、職業的にバランスの取れた生活を心がけること」と表す。琉球大学の荒川雅志氏は2017年に「身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、豊かな人生をデザインしていく、自己実現」と提唱している。

健康とウェルネスを区別するのは難しいことかもしれないが、これらの違いを単純化すると、健康は基本的に存在する状態であり、ウェルネスは健康を獲得するのに役立つライフスタイルを積極的に送っている状態である。

ウェルネスとウェル・ビーイングの違い

簡単に言えば、ウェルネスとウェル・ビーイングは行動と結果の違いといえる。

オックスフォード辞典では、ウェルネスとは「健康である状態、特に積極的にこれを達成しようとする場合」で、ウェル・ビーイングは「全般的な健康と幸福、感情的/身体的/心理的な幸福状態」とある。

またウェル・ビーイング(well-being)について、ヘルスプランサービスを提供する非営利団体「セレクトヘルス(selecthealth)」やメンタルヘルスと行動科学に関する情報サイト「サイコロジー・トゥデイ(Psychology Today)」は、「健康であること、幸せであること、成功していること」としている。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、ウェル・ビーイングを「人生に対して前向きな見通しを持ち、さまざまな状況や活動に取り組む際に前向きな気持ちを持つことに焦点を当てたもの」と表している。

グローバル・ウェルネス・インスティテュートは、ウェルネスとウェル・ビーイング&ハピネス(happiness、幸福感)という用語の共通点と違いを以下のように概説している。

ウェルネスとウェル・ビーイング&ハピネスは、多次元的、動的、主観的、個人的である点と歴史的、文化的な違いや文脈に左右される点が共通する。

  • ウェルネスは意図、行動、活動に関係し、ウェル・ビーイング&ハピネスは状態の知覚である。
  • ウェルネスは身体的な側面が強い一方、ウェル・ビーイング&ハピネスは精神的・感情的な側面が強い。
  • 消費者はウェルネスを健康的なライフスタイル、選択肢、市場の提供物と結びつけ、ウェル・ビーイング&ハピネスには満足感や充足感を連想する。

ウェルネスとは多次元的なもの

ウェルネスの概念は身体的なものだけではない。ウェルネスには、少なくとも以下の6つの次元が含まれている。

  • 身体的な次元:運動、栄養、睡眠などを通じて健康な体を養うこと
  • 精神面な次元:学習、問題解決、創造性などを通じて世界と関わること
  • 感情的な次元: 自分の感情に気づき、それを受け入れ、表現すること
  • スピリチュアルな次元:人間存在の意味やより高い目的を探求すること
  • 社会的な次元: 有意義な方法で他者や地域社会とつながり、関わること
  • 環境的な次元: 地球の健康と人間の行動、選択、ウェルビーイングの相互関係を促進すること

ライフスタイルにおけるいくつかの重要な領域、たとえば社会とのつながりや運動、食事、睡眠、マインドフルネスなどは、総合的なウェルネスの次元として考えられている。これらの領域は心身の健康に影響を与える。日常的に健康的な選択をすることで、ストレス軽減や積極的な社会的交流など、最適なウェルネスを達成する道が開ける。

とはいえ、日常生活にウェルネスを取り入れるためにマラソンをしたり、食事制限を誰もがしなくてはならない、というわけではない。大手製薬会社ファイザーはウェブサイトにて、日常生活にウェルネスを取り入れる、以下のいくつかの小さな試みを紹介している

社会とのつながりについて

友人や恋人とつながることは、心身の健康増進に役立つ。1日のうち10分でも時間をとり、友人や恋人、大切な人に電話してみてほしい。

運動について

毎日20〜30分でも運動することで、ウェルビーイングに良い影響を与えたり、気分を改善したりできる。昼休みに早足で歩いてみる、できる限りエレベーターではなく階段を使うなどの方法がある。

食事について

食事に健康的な食材を加えることで、より健康的な自分になるための一歩を踏み出すことができる。手軽なスナックとしてリンゴや生野菜を取り入れてみよう。外出先で自動販売機やファストフードを避けるのに役立つかもしれない。

睡眠について

お昼の12時以降はカフェインを控える、寝る前に静かで落ち着ける行動を取り入れる、毎日同じ時間に起床する……これらは、良質な睡眠を取り入れるための簡単な方法だ。

マインドフルネスについて

マインドフルネスを実践することが心身によく、集中力を高め、脳を変化させることをご存知だろうか。今すぐ、自分の心と、自分がどう感じているかを考えてみよう。

さまざまな業界がウェルネスに取り組む

ウェルネスは健康よりも広範な概念であるため、医療に限らず様々な業界がウェルネスに取り組んでいる。

ウェルネス産業の世界市場規模は、2018年時点で4.2兆ドル(約455兆円)だ。ウェルネス産業には、ウェルネスツーリズム産業、医療産業、ウェルネスフード産業、フィットネス産業、ビューティ産業、ウェルネス不動産などが含まれる。

ウェルネスツーリズムとは森林浴、温泉、ヨガ、ヘルシー食などを取り入れた、心と体の健康維持を目的に行われる観光のことである。ウェルネス不動産とは、自然と融合させた建物や体に優しい照明の導入など、心身ともに健康でいられる建設を手掛けるビジネスのことである。

IDEAS FOR GOODで取り上げたウェルネス関連の取り組みとしては、予防医療の観点から子供に手洗いの大切さを学んでもらう「洗って読める絵本」、精神状態を改善するコンテンツを提供するスマホアプリ「Moodrise」などがある。飲食関連では、健康のためにあえてお酒を飲まないミレニアルズの需要に応える、お酒を出さないバー「Getaway」を紹介した。

琉球大学のウェブサイトによれば、時代や人々の価値観の変化に応じて、ウェルネスの概念も変化していくという。次代のウェルネスはどうあるべきか、解釈を加え深めることが求められているだろう。

琉球大学のウェブサイトによれば、時代や人々の価値観の変化に応じて、ウェルネスの概念も変化していくという。次代のウェルネスはどうあるべきか、解釈を加え深めることが求められているだろう。

【参照サイト】What is Wellness? – Global Wellness Institute
【参照サイト】What is Wellness? | Pfizer
【参照サイト】The Concept of Wellness – Physiopedia
【参照サイト】What is Wellness? | UMKC School of Medicine
【参照サイト】The Difference between Health and Wellness | Article
【参照サイト】ウェルネスとは
【参照サイト】Wellness vs. Well-Being
【参照サイト】What Is Well-Being? Definition, Types, and Well-Being Skills | Psychology Today
【参照サイト】Is There a Difference Between Wellness and Wellbeing — Meraki.

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