アルファベットスープとは?
アルファベットスープとは、企業のサステナビリティ情報(非財務情報、ESG情報と同義)の開示に関する基準やフレームワークが多数存在している状況のことを指している。アルファベットスープ現象、とも呼ばれる。
ESG投資の高まりや、SDGsやパリ協定の普及に応じて、多くの基準やフレームワークが誕生しているが、いずれもアルファベット略語であることから、基準やフレームワークが乱立している様を表す際に用いられるようになった。
非財務情報開示に関するさまざまな基準やフレームワーク
サステナビリティ情報の開示に関する基準やフレームワークには、主に以下が挙げられる。
- IIRCフレームワーク(国際統合報告評議会)
企業価値創造プロセスの統合的開示に関するフレームワーク - SASBスタンダード(サステナビリティ会計基準審議会)
将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する基準 - CDP質問書(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)
企業の環境に対する取り組みに関する調査(気候変動、水、森林) - CDSBフレームワーク(気候変動開示基準審議会)
企業の気候変動情報開示の枠組み - GRIスタンダード(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)
経済・環境・社会への影響が大きいと想定される非財務情報に関するレポーティングの基準 - TCFD提言(金融安定理事会)
気候変動に関する財務・非財務情報に関する開示フレームワーク
企業にとっては、様々な基準やフレームワークに従わねばならず、負担が大きい。また、投資家にとっても、投資判断に当たってサステナビリティ情報を参照する際に比較可能な共通のものさしが必要だとして、これらの基準の統一化を求める声が高まっていた。
非財務情報開示の統一化に向けた動き
上記のように、サステナビリティ情報開示の基準統一を求める声が強まっているなか、2020年以降、統一化に向けた動きが生じている。
2020年9月には、5つの団体(IIRC, SASB, CDP, CDSB, GRI)が「包括的な企業報告」の実現を目指す共同声明を発表し、12月には5団体の連名で気候変動関連の財務開示基準のプロ トタイプを公表した。このプロトタイプの内容は、TCFDが推奨する開示項目の内容を参照したものとなっている。
また、2021年6月には、IIRCとSASBが合併し、新たにVRF(価値報告財団)が設立された。
そして2021年11月、国際会計基準(IFRS)の策定を担うIFRS財団が、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に合わせて、サステナビリティ情報開示について重要な発表を行った。その内容とは、まずは国際会計基準審議会(IASB)と並ぶ新たな組織として国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立すること、そして2022年6月までに、IFRS 財団が、気候変動開示基準委員会(CDSB)及び価値報告財団 (VRF)を統合することである。
このIFRS財団によるISSBの設立は、サステナビリティ情報の開示基準の統一化を大きく前進させる動きであり、注目と期待が集まっている。
ISSBは、2021年11月の発足と同時に、Technical Readiness Working Group(TRWG)から、「気候関連開示」と「サステナビリティ開示一般要求事項」に関する2つのプロトタイプを発表した。本プロトタイプにもとづき、2022年前半には気候変動の開示基準策定、その後、気候変動以外のテーマについても随時基準策定が進められることが予定されている。
今後ISSBによってサステナビリティ情報に関する国際的な開示基準のベースラインが設定され、そのベースの上に、各国がそれぞれの政策の優先順位に基づいて、より広範な要求事項や特定の開示の要求事項が追加されていることが見込まれている。日本においても、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」において議論が進められている。
2022年は、ISSBによる基準の発表や国内での基準策定の進展が見込まれ、その動向が注目される。
【参照サイト】ESG開示、乱立基準の統一模索 日本も主導権争い参入
【参照サイト】FRS Foundation announces International Sustainability Standards Board, consolidation with CDSB and VRF, and publication of prototype disclosure requirements
【参照サイト】Reporting on enterprise value: Illustrated with a prototype climate-related financial disclosure standard
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