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ミレニアム開発目標(MDGs)とは・意味

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ミレニアム開発目標とは?

ミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)とは、2000年から2015年までの国際的な開発目標のことで、2030年を目標としているSDGsの前身でもある。8つのゴールと21のターゲット項目、60の指標からなり、最終的に全ての国連加盟国(193カ国)と23の国際機関が合意していた。

MDGsの経緯と変遷

半世紀近く続いた東西冷戦が終わりを迎え、90年代に入ると国際関係が劇的な変化を迎えた。21世紀に向けて、国際協力はそれまでの経済開発に加えて、各国が良好なパートナーシップを結び、人間を中心とした開発が求められた。1992年の「地球サミット」や1995年の「社会開発サミット」をはじめ、各地で国際会議やサミットが開催されていた。

こうした状況を受けて、2000年9月にニューヨークにある国連本部で「国連ミレニアムサミット」を開催、189の国が参加し、21世紀における国連の役割が議論された。90年代に採択された国際的な開発目標を吟味・統合し、新しく採択された「国連ミレニアム宣言」と合わせて、国際的な目標としてまとめられたのがMDGsである。

成果と格差・課題

国連は、2015年にMDGsの最終評価報告書を発行した。以下はMDGsの目標と主なターゲット、及びMDGsによる成果と残された格差・課題である。

1. 極度の貧困と飢餓の撲滅

1日1.25米ドル未満で生活する人と飢餓に苦しむ人の割合を半減させる。

    <2015年時点での成果>

  • 1日1.25米ドル未満で暮らす人の数は、19億人から8億3,600万人に減少
  • 途上国や地域における栄養不良の人々の割合は23.3%から12.9%と、ほぼ半減
  • 5歳未満児のうち、低体重の子どもの割合はほぼ半減
    <残る格差・課題>

  • 極度の貧困にいる人々の約80%が、南アジアもしくはサハラ以南アフリカ
  • 女性は仕事や土地を手に入れ難く、賃金が低いため貧困に陥りやすい
  • 低体重児の約90%が、南アジアもしくはサハラ以南アフリカで暮らす子ども
2. 初等教育の完全普及の達成

すべての子どもたちが、男女の区別なく、初等教育の全課程を修了できるようにする。

    <2015年時点での成果>

  • 途上国の初等教育純就学率は80%から91%に増加
  • 学校に通っていない初等教育学齢期の子どもの数は、1億人から5,700万人に減少
  • 若者(15〜24歳)の識字率は、83%から91%に向上
    <残る格差・課題>

  • 小学校に通っていない5,700万人のうち、3,300万人がサハラ以南のアフリカで暮らしている。全体の55%が女性
  • 途上国では、最貧層世帯の子どもは、最富裕層世帯の子どもと比べて、初等教育課程を修了していない割合が5倍以上
3. ジェンダー平等の推進と女性の地位向上

すべての教育レベルで、男女格差を解消する。

    <2015年時点での成果>

  • 途上国の3分の2以上で、初等教育の就学率において男女の格差が解消
    <残る格差・課題>

  • 初等教育の男女の格差がある途上国のうち、56%がサハラ以南アフリカの国々
4. 乳幼児死亡率の引き下げ
    <2015年時点での成果>

  • 5歳未満児年間死亡数は1,270万人から590万人と、53%減少
    <残る格差・課題>

  • 毎日1万6,000人の5歳未満児が命を落としており、大半は予防可能な病気が原因
  • 5歳未満児死亡数/年は、サハラ以南アフリカ地域が最多の300万人、次いで南アジアが180万人
5. 妊産婦の健康の改善

妊産婦の死亡率を4分の1にする。

    <2015年時点での成果>

  • 妊産婦死亡は、10万人あたり380人から210人に減少(死亡率は45%減少)
  • 熟練した医療従事者の立会いの下での出産は、59%から71%に増加
    <残る格差・課題>

  • 妊産婦死亡はサハラ以南アフリカと南アジアに集中、世界全体の86%を占める
  • 熟練した医療従事者の立会いによる出産は地域格差が大きく、サハラ以南アフリカと南アジアは52%に留まる
6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止

妊産婦の死亡率を4分の1にする。

    <2015年時点での成果>

  • HIVの新たな感染は、推定350万人から210万人と、約40%減少
  • 2000年〜2015年の間に推定620万人以上の命がマラリアから、2000〜2013年の間に推定3,700万人の命が結核から守られた
    <残る格差・課題>

  • 新規にHIVに感染した若者(15〜19歳)のうち、3分の2は女性
  • 15〜24歳の男女が持つHIVに関する正しい知識は、経済状況や地域によって格差があり、正しい知識を得にくい状況にある
7. 環境の持続可能性確保

安全な飲料水と基礎的な衛生施設を持続可能な形で利用できない人々の割合を半減させる。

    <2015年時点での成果>

  • 安全な飲料水を入手できる人の割合は、76%から91%に向上。26億人が新たに利用できるようになった
  • 2015年、世界の人口の68%が改善された衛生設備を利用している。1990年以降、21億人が新たに利用できるようになった
    <残る格差・課題>

  • 地表水を使う人の90%が農村部で暮らしている
  • 貧富の差がトイレの利用率の差と関連しており、僻地に暮らす人や社会から疎外されている人ほどトイレが利用できない
8. 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

民間セクターとの協力により、情報通信技術をはじめとする先端技術の恩恵を広める。

    <2015年時点での成果>

  • インターネット普及率は、世界人口の6%から43%まで増加。新たに32億人がインターネットにつなげることができた
  • 2015年、世界の人口の95%が、携帯電話の通話可能域で暮らしている
    <残る格差・課題>

  • インターネットの普及にも格差が生じており、先進国の82%に対し、途上国では人口の3分の1にとどまる。

MDGsからSDGsへ

MDGsの目標年は2015年であり、次の15年の新たな行動計画として採択されたのが「持続可能な開発目標(SDGs)」である。MDGsの最終評価報告によると、世界平均での貧困や教育の格差は改善された一方で、国や地域、性別、年齢別でみると様々な格差が浮き彫りとなった。そこで、2030年を目標年とするSDGsは、「誰一人取り残さない」ことを基本理念として掲げ、達成すべき17の目標を定めた。

MDGsの問題点は、発展途上国の課題解決や開発が目的だったために、環境や社会の問題を軽視していたことである。そこで、経済に加えて環境と社会に対しても目を向ける必要が生まれ、解決できなかった課題や格差を踏まえて、目標の数は8から17となり、その範囲も拡大している。

MDGsでは、目標に取り組む主体は国連や政府だったが、SDGsでは国や自治体だけでなく民間企業や国民一人ひとりとされている。また、昨今ではESG投資の重要性が叫ばれており、環境や社会への配慮なくしては、経済的な利益の拡大が望めないことは欧米を中心として既に常識となりつつある。

一定の成果を残したMDGsだが、残された課題はまだまだ多い。グローバル化が進んだ現代において、地球規模の課題は国の発達段階に関係なく、各国が手を取り合って解決に向けた努力をする必要がある。MDGsの反省を踏まえ、2030年を迎えるためには、一人ひとりが日々の小さな行動変容を心掛け、誰しもが地球の一住民であるという意識を持つことが大切だと言えるだろう。

【参考資料】 MDG Report 2014
【参考サイト】 ミレニアム開発目標(MDGs) | 日本ユニセフ協会




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