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GRI(Global Reporting Initiative)とは・意味

GRI

GRI(Global Reporting Initiative)とは?

GRIとは、サステナビリティに関する国際基準と情報公開の枠組みを策定することを目的とした、国際的な非営利団体である。企業や非営利団体、コンサルタント、監査法人、機関投資家、労働組合などが協力しており、本拠地であるアムステルダムに加えて世界に7つの支部がある。

営利活動を行う企業が、事業によって環境・社会に与える影響(気候変動や人権など)に対して責任を持ち、そのインパクトを測定しやすくするため、そして社会問題の解決に取り組む団体がより活動を加速させるための、独自のガイドラインと測定の基準を提供している。

GRIの提供するサステナビリティ基準は「GRIスタンダード」と呼ばれ、世界中のサステナビリティ報告(サステナビリティレポート)に利用されている。ユニバーサルスタンダード、セクタースタンダードなど、各スタンダードの中で更に多くのトピックに分かれている。

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設立の経緯と変遷

GRIは、アメリカの企業エクソンモービル社が保有するタンカーが起こした海洋汚染事故をきっかけに、国連環境計画(UNEP)が公認する団体として1997年にボストンで設立された。サステナビリティ分野のNPOであるCeresとTellus Instituteをルーツとしており、当初の目的は、企業が環境負荷に対する説明責任を遵守するためのシステムの構築だった。

当時、企業活動がもたらす環境への影響とその測定方法に関心が集まっていたものの、統一された基準はなく、組織の形態によって考え方も異なっていた。そこで、グローバルに複数の事業を展開する企業との対話を通して、国際的かつ他分野に適用可能な情報開示システムの作成に取り組むことが決まった。1999年にパブリックコメントを受け付ける形で草案が提出され、その翌年にGRIガイドラインの初版が発行された。

2002年に南アフリカのヨハネスブルグで行われた「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で第2版が提出された後、拠点をボストンからアムステルダムに移した。その後も数年おきに改訂を繰り返し、現在では環境問題に加えて社会や経済、統治といったあらゆる領域のサステナビリティを対象としている。

GRIが与えた社会的影響

GRIが設立された90年代後半の価値観に従えば、法的な要求を超えて企業のパフォーマンスをサステナビリティの観点から測定することは困難かつ非常識だった。しかし、GRIガイドラインの登場によって、企業活動が地球環境や社会に与える影響をより詳細に捉えられるようになった。

その結果、組織の透明性や説明責任が担保されることでステークホルダーとの信頼構築に繋がり、サステナビリティに関心をもって取り組む企業や団体が徐々に増えていったのだ。

組織がサステナビリティ報告書を作成するための枠組みを提供してきたGRIは、ESG投資への世界的な関心の高まりや、欧州における非財務情報開示の義務化を背景として、2016年にはGRIガイドラインをGRIスタンダードとして再編した。2017年の時点では、GRIスタンダードを採用した組織は1割程度だったのに対し、2020年には95%となっており、名実ともにサステナビリティ報告書のスタンダードとなった。(※)

※収入ベースで世界のトップ100社を含む、52カ国にある5200の会社を調査対象とした場合

類似制度との比較及び関係性

GRIの狙いは、組織が環境だけでなく社会や経済に与えるインパクトが大きい非財務情報を開示することであり、そのためのフレームワークであるガイドラインと基準を提供している。GRIと比較可能な類似の枠組みを以下に挙げておく。

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)

工業分野の国際規格の制定を主な目的として、1947年にスイスのジュネーブで設立された。2000年代以降は、CSRに対する関心の高まりを受けて、規格の制定プロセスに初めて多様なステークホルダーを招き入れた議論を行い、2010年にISO26000を発行した。GRIはISO26000の起草段階から関与していたため、両者の間には共通する項目や解釈の類似性が多々あるが、GRIスタンダードでは開示すべき項目が明確に示されている点が大きく異なる。

CDP(Carbon Disclosure Project)

2000年に英国で結成されたCarbon Disclosure Projectが前身であり、現在は国際NGOとして、組織の活動が環境に与える影響を管理するためのシステムを運営し、気候変動問題に取り組んでいる。毎年、一定の基準で選定された組織に対して質問票を送付し、機関投資家への情報提供を行うとともに、回答内容に応じた格付けを公表している。GRIとの比較では、環境問題の分野に特化している点が異なる一方で、多様なステークホルダーを想定している点は共通しているため、組織と環境・社会問題が相互に与える影響(ダブルマテリアリティ)を重視している。

CDSB(Climate Disclosure Standards Board)

気候変動問題に取り組む8つの環境系NGOから構成されており、企業の気候変動情報開示の標準化を目的としている国際コンソーシアムである。公表しているフレームワークは、気候変動や森林、生物多様性、水などの環境情報を財務情報に統合して投資家へ伝えることを意図しており、彼らの意思決定を支援している。

IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告評議会)

企業の価値創造に関する情報開示及び投資家との対話促進を目的とした国際NGOであり、GRIの協力のもとで2010年に英国で設立された。IIRCとGRIはどちらも、企業の社会的責任に関する活動の報告書作成のためのガイドラインやフレームワークを提供している点では同じだが、GRIが非財務情報に限定しているのに対して、IIRCは財務情報も含めた情報開示を目的としている。

SASB(Sustainability Accounting Standard Boards)

2011年に米国で設立された非営利団体であり、GRIスタンダードと類似したフレームワークであるSASBスタンダードを2018年に発行している。両者は、非財務情報の開示を標準化するという目的では一致しているものの、報告書の利用者は主に投資家であり、マテリアリティの設定や利用方法に関しては米国を想定した内容になっている。また、非財務情報の中でも財務に与えるインパクトが大きい項目を重視するなど、GRIとは異なる点も多い。

このように、近年では情報開示のシステムが多数あることで、作成者と利用者双方の混乱を招くことが懸念されている。いずれは財務情報と非財務情報が統合され、適切に関連付けられた包括的な企業報告の枠組みが策定される見込みである。

【参照サイト】GRI 公式ウェブサイト
【参照サイト】History of the Global Reporting Initiative (GRI)
【参照サイト】GRIスタンダードの現状(p.26)
【参照サイト】主要なESG情報開示基準の特徴と違い(p.3~5)
【参照サイト】包括的な企業報告の実現に向けて




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