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グリーン水素とは・意味

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グリーン水素とは?

グリーン水素とは、再生可能エネルギーなどを使って、製造工程においてCO2を排出せずにつくられた水素のことを指す。水を「電解」、つまり電気で分解することにより水素をつくる製造方法であり、この電解の際に再エネ由来の電力を利用する方法である。

次世代のエネルギーとして期待されている水素は、製造工程とエネルギー源の違いから、以下の3つに分類される。

グレー水素
化石燃料の改質から水素生成
ブルー水素
化石燃料の改質から水素生成を行ったうえで炭素を回収・貯留
グリーン水素
再生可能エネルギーなどを使って、製造工程においてもCO2を排出せずにつくられた水素

上記のうち、グリーン水素は化石燃料に依存しないため最もクリーンな水素であると言える。

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出典:資源エネルギー庁「次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?」

なお、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)などは、上記3分類にターコイズ(天然ガスを熱分解して水素と炭素に分離、炭素はカーボンブラックとして再利用)も加えた、4分類を用いている。

グリーン水素の推進要因と課題

グリーン水素の推進要因として、再生可能エネルギーのコスト低下や、スケールアップを可能とする技術が既に開発されていることが挙げられる。また、政府によるネットゼロ目標の推進や、水素の幅広い分野における活用といった様々なステークホルダーによる関心の高まりが、グリーン水素の技術開発や普及に向けた取り組みを後押ししている。

一方で、平均的な変動生再生可能エネルギープラントで製造されたグリーン水素の価格は、2019年時点でグレー水素の2〜3倍となっており、その製造コストの高さが課題となっている。また、水素専用インフラの不足、製造過程におけるエネルギーロス、水素価値の認識不足、電解槽に再エネ電力を用いる必要があるなどのサステナビリティを担保する必要性などの障壁が存在する。

グリーン水素の製造については、最近の技術革新により2015年から2020年までに40%のコストダウンに成功し、2025年までにさらに40%程度のコストダウンが実現できると予想されている。また、再エネの発電コスト低下と積極的な電解槽への投資を進めることで、コストを最大85%削減できるとの試算もあり、その場合、2040年までにグリーン水素は他のどの低炭素オプションよりも安価(≒1ドル/キログラム以下)で製造することができるようになる可能性もあるという。

世界の動向

多くの国で、水素は政策的に推進されている。近年、グリーン水素政策を取り巻く状況が大きく変わり、オーストラリア、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イタリア、モロッコ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、そしてEUを含む多くの国々が、クリーン水素の支援策を含む国家水素戦略や、ポストCOVID-19の復興パッケージを公表・ドラフト、もしくは採択している。

例えば、EUの水素戦略では、グリーン水素に関して以下の具体的なマイルストーンが掲げられている。

2020-2024年
再生可能な水素の製造を年間1Mt(メトリックトン)にスケールアップし、すでに水素を使用しているアプリケーションの脱炭素化と、新たなエンド・ユーズ・アプリケーションでのグリーン水素の導入を促進することに焦点を当てる。既存の水素製造の一部は、炭素回収を伴う改造を行う。

2025-2030年
再生可能な水素の製造を最大年間10Mt(メトリックトン)にまでスケールアップし、主に既存の天然ガスインフラを利用し、グリーン水素の輸送にむけた汎ヨーロッパでの供給網を整備する。近隣地域とも取引する。

2030-2050
グリーン水素が成熟し、代替品が高コストであるすべての「hard-to-abateセクター(炭素排出削減が困難なセクター)」で大規模に導入される。水素から作られた電子燃料は、航空や船舶を含む幅広い分野で使用されるようになる。

国内の取り組み

日本は2017年に世界で初めて「水素基本戦略」を策定し、2020年12月25日に採択されたグリーン成長戦略においても、水素産業はカーボン・ニュートラル社会の実現に向けた重要な分野として取り上げられている。

2020年3月に福島県浪江町に開所した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」は、1万キロワット級となる世界最大級の水素製造設備を備えており、再エネなどから水素を大規模に製造する実証プロジェクトが進められている。

さらに、福島水素エネルギー研究フィールドでの研究成果もふまえ、脱炭素化に取り組む企業などを支援する「グリーンイノベーション基金」を活用して、水電解装置のさらなる技術開発にも取り組む計画であるという。

グリーン水素はカーボン・ニュートラル、ネットゼロ社会の実現に向けて鍵となるテクノロジーであると言われており、国内外の政策動向ならびに技術開発動向が注目される。

【参照サイト】資源エネルギー庁「次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?」
【参照サイト】Green hydrogen: A guide to policy making
【参照サイト】経済産業省令和 2 年度 新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業 (マルチ枠組における国際動向調査)
【参照サイト】温室効果ガス削減の切り札!ブルー水素とグリーン水素とは?




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