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アグフレーション(agflation)とは・意味

農業

アグフレーション(agflation)とは?

「アグフレーション(agflation)」とは、農業(agriculture)と物価上昇(inflation)を組み合わせた造語で、その他の食料品を上回るペースで農産物の価格が上昇する経済事象のこと。

世界的な人口増加、新興国の食生活の変化による畜産需要の増大、穀物由来バイオ燃料の利用拡大、干ばつなどの異常気象などがアグフレーション」発生の主な要因と考えられている。

「アグフレーション」が初めて使われたのはいつ?

確かな記録はないが、初めて「アグフレーション」という用語が使われたのは、おそらく2007〜2008年頃に起きた食料危機でのことだ。当時、ヘッジファンドによる投機マネーがとうもろこしや大豆などの穀物の価格を押し上げたと批判を浴びたが、この時期に新たな構造的要因となったバイオ燃料の利用拡大の影響は無視できない。

契機となったのが、2005年に成立した米国の包括エネルギー政策法だ。同法によりバイオ燃料の生産を2006年の40億ガロンから2012年までに75億ガロンまで拡大することを義務付けたのだ。この結果、バイオ燃料の主な原料であるとうもろこしの需給に大きな変化が生じた。

図表 とうもろこし需要の用途別内訳の動向(出典:農林水産省)

図表 とうもろこし需要の用途別内訳の動向(出典:農林水産省)

ロシアのウクライナ侵攻によるアグフレーション

いま2022年9月時点で、ロシアのウクライナ侵攻を原因とする「アグフレーション」が世界の、特に貧困国の人々を苦しめている。と言うのも、ロシアは世界1位、ウクライナは5位の小麦の輸出大国であり、戦争により両国からの小麦輸出が停滞する事態が生じた。

小麦先物価格の推移(出典:楽天証券、2022年9月23日時点)

小麦先物価格の推移(出典:楽天証券、2022年9月23日時点)

日本でも小麦粉や、パン、パスタ等の小麦粉製品はじめ食料品の値上げが続いている。足元では、経済安全保障の観点から企業のサプライチェーンの見直しや、政府レベルでのレアアース等の重要物資確保に向けた検討が加速しているが、食料危機に対する政府の長期ビジョンを明確に打ち出すべき時期にあるのではないか。

【関連記事】食糧危機
【参照サイト】農林水産省 世界の食料需給動向と中長期的な見通し
【参照サイト】独立行政法人農畜産業振興機構 米国の農業に抜本的な変化をもたらすバイオエタノール生産~ブラジルとの比較、バイオ燃料と食料の関連についての考察を含む~
【参照サイト】キャノングローバル戦略研究所 ウクライナ侵攻は日本に食糧危機を起こすか〜小麦輸出制限でわかるロシアの困窮度




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