グリーンベルトとは?
グリーンベルトとは、大都市周辺の無秩序な開発を防ぐため、公園、緑地、森林、田園など、「開発をしないエリア」をあえて残す都市計画、またはそのエリアのこと。
グリーンベルトの歴史は長い。1924年にアムステルダムで開催された国際都市計画会議で、提唱されたのがその始まりだ。1930〜1940年代には、ロンドンの都市開発計画に織り込まれた。当時、ロンドンは過度な人口集中と住環境の悪化という課題を抱えていた。一方で、地方都市では人口流出と産業の衰退が起きていた。大都市における際限のない住宅建設と人口流入を抑制するために、幅約10キロメートルのグリーンベルトで、ロンドン周辺を同心円状に囲う計画が立てられたのだ。
それ以降、グリーンベルトは世界各国の都市開発計画に影響を与えている。特に近年は、気候変動や野生生物保護の観点からも注目を集めている。
グリーンベルトの効果
グリーンベルトを設けることで、具体的に以下のような効果を得ることができる。
- 都市部の大気環境、水環境を改善する
- 野生生物の生息地を守り、その土地特有の自然環境を未来に残す
- 都市生活者が自然環境に容易にアクセスできるようにする
- ウォーキングやキャンプなど、アウトドアアクティビティのできる環境を整える
グリーンベルトの課題
このように、都市部の自然環境と住民の生活環境を守る効果がある一方で、グリーンベルトの導入には課題もある。
- グリーンベルトを設けることで、大都市周辺の開発可能な土地が不足する。その結果、住宅不足が起こり、土地や住宅価格の高騰に繋がる
- 特定の土地に限定して開発の規制を行うため、自治体や住民の理解と協力が必要となる。補償制度と組み合わせた都市開発計画の検討も必要となる
- 都市開発計画を推進する政治的リーダーシップが必要となる
グリーンベルトの事例
自然環境と住環境の保護のため、様々な国と地域にグリーンベルトが存在する。以下がその一例だ。
- カナダの首都オタワは、およそ200平方キロメートルのグリーンベルトに囲まれている。1950年代に、首都周辺の過剰な開発を防ぐために設けられたのだ。農地、森林、湿地などで構成されており、アウトドアアクティビティを楽しめる環境。公共機関が所有するグリーンベルトとしては、世界最大規模と言われている。
- タイでは、1992年のバンコク都市計画により、都心からおよそ25キロメートルの郊外地域が農業保全地域に指定されている。急速な都市化による環境問題に対応するため、導入された。
- アメリカのカリフォルニア州北部では、気候変動の影響により山火事被害が拡大傾向にある。山火事から近隣住民を守るため、野山と住宅エリアの間にグリーンベルトを緩衝材として設けるなど、グリーンベルトの戦略的な活用が自治体や市民団体により検討されている。
まとめ
100年以上前から都市計画に反映されているグリーンベルト。現代の私たちの生活を守るうえでも、その役割は大きい。
【参照サイト】What is a Greenbelt?(Greenbelt Alliance)
【参照サイト】大ロンドン計画(一般社団法人大都市政策研究機構)
【参照サイト】Benefits and challenges of the green belt(Centre for Cities)
【参照サイト】周藤利一、越澤明「韓国のグリーンベルト制度の歴史及び効果に関する研究」(公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集)
【参照サイト】Greenbelt(The National Capital Commission)
【参考サイト】城所哲夫「バンコクにおけるグリーンベルト観念導入に際しての文化的成立要因に関する研究」(公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集)
【参考サイト】カリフォルニアの山火事、「気候変動で加速」 科学者が警告(BBC)
【参照サイト】The Critical Role of Greenbelts in Wildfire Resilience(Greenbelt Alliance)








