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STEAM教育とは・意味

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STEAM教育とは?

STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせて、理数教育に創造性教育を加えた教育理念である。2000年代に米国で始まった教育モデルであり、STEMという理数教育に、Aの創造性教育を加えたものである。

社会とテクノロジーの関係がますます密接になっていくこれからの時代に活躍していけるように、科学技術や数学的な知識・技能を習得させつつ、それらを駆使して、さまざまな課題をクリエイティブに解決し、新たな価値を創造・実現していくための人材育成を目指している。

STEAM教育の背景

STEAM教育の前身として、STEM教育(いわゆる理数教育)がある。STEMという言葉は、1950年に設立され早くから科学教育の充実に取り組んできたアメリカ国立科学財団(NSF)から生まれたとされている。

STEM教育が世界中で認知されるようになったきっかけは、米国オバマ政権下で2013年に発表された、STEM教育の国家戦略計画である。この国家戦略では、2020年までに初等・中等教育の優れたSTEM分野の教師を10万人養成することや、今後10年間でSTEM分野の大学卒業生を100万人に増やすなどの具体的な目標が掲げられ、年間30億ドルの予算が投じられることが発表された。

その後米国では、2015年にSTEM教育法が成立し、STEM教育の定義を拡張し、コンピュータサイエンスを含めることが明示された。さらに2017年に法改正され、STEM教育にアートやデザインを統合することとなった。つまり、ここでSTEMからSTEAMに変化したというわけである。

各国のSTEM/STEAM教育政策

上記のとおり、STEAM教育ならびにSTEAM教育は米国で誕生した教育概念であるが、STEM教育を国家戦略とする動きは、世界各国に広がっている。以下に各国・地域での教育政策の事例を挙げる。

EU

1990年代からEU全体での科学教育の底上げを推進している。2015年に、EUにおけるSTEMプラットフォームである「EU STEM協議会(EU STEM Coalition)」を創設し、各国のSTEM教育のベストプラクティスの共有や産官学連携による加盟国のSTEM戦略構築の支援を行っている。

英国

2004年に、「科学とイノベーションに関する投資フレームワーク 2004-2014」を打ち出した。具体的な目標の中には、STEM教育に関する内容も多く取り入れられており、例えば科学技術分野の教員の増加や修士課程修了者数の増加、中等教育の全国統一試験(GCSSE)のサイエンス分野の成績なども含まれている。

オーストラリア

2015年に「National STEM School Education Strategy 2016–2026」という政策を発表し、基礎スキル、数学、科学、デジタルリテラシーの開発、問題解決、批判的分析、創造的思考スキルの促進を目標としている。

中国

2016年に「教育信息化第13回5カ年計画」で科目横断学習(STEM教育)を促進する方針が正式に発表された。また、2017年にSTEM教育の実践を義務教育課程に盛り込むことが決定されるなどしている。また、深圳では、ものづくりに特化したSTEM教育としての創客教育が実施されている。

シンガポール

1997年に提起された「思考する学校、学ぶ国家」によって、探究型学習が推進されている。シンガポール最大の科学館であるサイエンスセンターが、政府の協力のもと、中学校の全ての生徒たちにSTEMプログラムを提供するための組織「STEM Inc.」を2014年に立ち上げている。また、STEM教育を試験的に導入する小学校も出てきているという。

日本

文部科学省が「STEAM教育等の教科等横断的な学習」を推進しているほか、経済産業省が発表した「Soceiety5.0に向けた人材育成」においても、STEAM教育の重要性が指摘されている。また、先進的な理数系教育を実践する高校を支援する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」や、科学的探究能力を有する傑出した国際的科学技術人材の育成を行う大学を支援する「グローバルサイエンスキャンパス」などの取り組みにより、STEAM人材の育成に注力している。

以上のように、世界の各国でSTEM教育/STEAM教育が推進されている。ただ、米国のように、STEM教育にアートを追加したSTEAM教育へと定義を拡張する動きは、まだ限られているといえよう。

日本におけるSTEAM教育の事例

STEAM教育実践の方法として、Fab Lab(ファブラボ)を学校に導入する方法が挙げられる。Fab Labは、個人の自由なものづくりの可能性をひろげ、自らの必要性や欲求に応じて、「自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化」を醸成することを目指し、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備える施設だ。STEAM教育を推進する工学院大学附属高等学校では、図書館に「ファブスペース」が設置されており、生徒がアイディアを形にできる場が与えられているという。

また、経済産業省が2018年度より実施している「未来の教室」事業では、全国各地の小・中・高校で、STEAM教育導入の実証実験が行われている。2022年1月時点で、「探求・STEAM」に関して40件の実証実験結果が登録されており、例えば、テクノロジーを活用しながら地域の課題解決を考えるようなカリキュラムが実施されている。一部の事業に関しては、STEAM教材も公開されている。実証実験としての「点」の取り組みが、今後どのように発展し、活用されていくのかが注目される。

STEAM教育の今後

これからのVUCAの時代を生き抜いていくために、人々は大量の情報の中から必要な情報を取捨選択し、自ら課題を見つけ出し、クリエイティブな方法で課題を解決し、価値を創造していくことが求められる。そのためには科学技術や数学的な知識、そして創造性が必要とされることから、STEAM教育の意義はますます増していくと考えられる。

【参照サイト】STEAM JAPAN
【参照サイト】文部科学省「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」
【参照サイト】未来の教室
【参照サイト】The EU STEM Coalition
【参照サイト】CANVAS REPORT #03 STEM/STEAM教育とは Vol.5 世界の現状
【参照サイト】新しい知識で生徒たちがアイデアを形にできる「ファブスペース」が「STEAM教育」の一翼を担う




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