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デジタルタトゥーとは・意味

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デジタルタトゥーとは?

デジタルタトゥーとは、digital(デジタルの)という言葉とtatoo(刺青、タトゥー)を組み合わせた造語。インターネット上に書き込まれたコメントや画像など、一度拡散された情報が半永久的にインターネット上に残されることを意味する。完全に消すことが難しい身体に入れる入れ墨(タトゥー)に例えた表現である。

デジタルタトゥーという言葉自体は、メキシコの研究者であるフアン・エンリケ氏のTEDカンファレンスのテーマに取り上げられたことによって人々に浸透し、2013年ごろから注目されるようになったと言われる。エンリケ氏は、動画の中で「Electronic tatoo(電子タトゥー)」という言葉でデジタルタトゥーを説明しており、その対処法については、古代ギリシャ神話を交えてこのように紹介している。

ギリシャ神話からの4つのレッスン

  1. 投稿内容には気をつける。一度ネットに残ると、永遠にけなされることもある
  2. 愛する人の過去のデータには深く踏み込まない
  3. 黄金の林檎(気を取られてしまうニュースの例え)が転がってくるのを目にして、ツイートしたり夜更かしして連絡したりすることが本当に賢明かどうかを考える
  4. 自分の投稿に陶酔しない

デジタルタトゥーの種類

個人情報

ネット上のコメントや画像の他にも位置情報や顔認識、検索履歴、閲覧・視聴履歴なども同様にデジタルタトゥーの一種とされている。

誹謗中傷・デマ

誹謗中傷やデマなど、事実とは異なる情報や悪意のある編集された画像、動画の場合でも、一度拡散されてしまえば、それがデジタルタトゥーとなってしまう。

一度ネットに書き込んでしまうと、特にTwitterなどでは瞬く間に拡散されてしまい、消せない情報がどんどん広がっていく。こうした情報は書かれた側も書いてしまった側も、どちらも残ってしまうことになる。

リベンジポルノ

元交際相手や配偶相手などとの間で撮影された性的な画像や動画が拡散されるリベンジポルノも問題となっている。本人の意思に反して性的な画像や動画をアップロードすることを禁じるリベンジポルノ防止法という法律もあるが、これに違反するような、性的な画像や動画はいまだ多くインターネット上に存在しているのが事実だ。

悪ふざけ・いたずら

SNS上にあげられるアルバイト先での過剰な行為や、進入禁止区域へ入り込んだ違法行為など。Twitterにそれらの画像や動画をアップロードすることを「バカッター」と呼ぶなどで日本でも注目された。

逮捕歴・前科

警察に逮捕されても起訴されないこともあり、不起訴になれば有罪にはならない。その場合、もちろん前科はつかないが、それにもかかわらず逮捕の時点でニュースが公開され、それが拡散されることがある。

また、逮捕の後で起訴されて実際に刑事裁判を受け、刑罰を受けた記録である前科に関しても、人の名誉および信用に深く関わるものであるという理由で、みだりに公開するべきでないと最高裁判決は判示している。

デジタルタトゥーの危険性

ここでは、デジタルタトゥーのさまざまなリスク、そして具体的な不利益について解説する。

例えば就職や結婚の際に、企業や相手先の家族などから実名を検索され、インターネット上にデジタルタトゥーとして残る不利益な情報を発見されると、それが原因で不採用や結婚の破断に繋がる可能性がある。

また、賃貸住宅を借りる際の入居審査の際に契約できなくなる可能性も指摘されている。

デジタルタトゥーの具体的な損害については、とある学生がTwitterに投稿後、専門学校を退学になった事件が挙げられる。

2013年夏、群馬県前橋市内のスーパー店舗内で、客がアイスクリームの冷蔵ケースで寝転んだ写真がTwitterに投稿された。インターネット上で瞬く間に拡散された結果、その年の8月21日、学生は通っていた専門学校を退学になった。学校は、「食に携わる者としての倫理観を著しく欠いた問題を起こした」と謝罪した。

影響が及ぶのは本人だけではないこともデジタルタトゥーの怖さだ。SNS上で悪い風評が広がった結果、家族や所属している企業、学校の住所特定、そこから迷惑電話などのリスクも十分にあり得る。

デジタルタトゥーをテーマにした作品

過去には、デジタルタトゥーをテーマにした映像作品がある。

ACジャパンCM「デジタルTATTOO」

2017年に九州地域で放映されたACジャパンのCM。若年層に、インターネットリテラシーを正しく理解し、自分の行動を見つめなおしてもらうことを目的に制作されたもの。SNSに書き込みをするたびに次々と刻まれていくタトゥーや、鏡に映るタトゥーだらけの自分の姿を見て呆然とする主人公の様がリアルに表現されており、CMは「あなたの投稿は、永遠に消えない。」「その投稿、一生後悔しませんか?」というキャッチコピーで閉じられる。

NHK土曜ドラマ『デジタル・タトゥー』

2019年5月18日~6月15日までNHK総合テレビにて「デジタル・タトゥー」というドラマでは、デジタルタトゥーを中心に、インターネット上の誹謗中傷やリベンジポルノなどを含む様々な問題が取り上げられた。インターネットに疎い50代「ヤメ検弁護士」と、動画サイトで荒稼ぎする20代ユーチューバーがバディーを組み、デジタル・タトゥーに苦しむ人々と向き合い、救いだす姿を描くサスペンスである。

デジタルタトゥーは削除できるのか?

こうしたデジタルタトゥーの削除を代行する、代行業者なるものが存在しているが、弁護士でない者がサイトの管理者に対して削除を求めると「非弁行為」という違法行為にあたるため、こうした業者の利用は危険である。代行業者の中には逆SEOと言う手法で自身のデジタルタトゥーが掲載されているサイトの検索順位を下げるサービスを提供する業者がいるが、完全に削除できるわけではなく、検索方法によっては簡単に発見されてしまう。

どうしても削除したい情報がある場合は、以下の方法を試してみるのがいいだろう。

警察に届ける

デジタルタトゥーのような誹謗中傷をネットに書き込みされたりした場合、警察に届け出ることで対応してもらえる。薬物の取引や児童ポルノなどについての書き込みも犯罪捜査の対象になる。

セーファーインターネット協会の「セーフライン」

特に児童ポルノ、リベンジポルノ削除に関しては、インターネット業者の有志でつくられている団体であるセーファーインターネット協会の「セーフライン」で通報や相談を受け付けてくれる。

「違法・有害情報相談センター」

犯罪とはいかないようなデジタルタトゥーは国からの要請で運営されている「違法・有害情報相談センター」に対応すると良い。ネット上の個人情報や誹謗中傷の書き込みなどに関する相談を無料で受け付けてくれる。

弁護士に相談する

その他、削除依頼をすることも選択肢の一つだろう。仮に管理者が削除を断ったとしても、裁判所に仮処分を申請して強制的に削除できる。

デジタルタトゥーの加害者や被害者にならないために

上記のような方法で削除することができるとしても、それには時間も労力も要する。そのため、やはり一番はデジタルタトゥーの加害者にも被害者にもならないことだ。SNSの普及により、簡単に誰もが情報の拡散やアクセスができるようになった今、デジタルタトゥーの問題は深刻化しているが、ほんの少し気を付けるだけで、問題に巻き込まれずに済むこともあるかもしれない。

たとえば、何か情報発信をする際は、誰もがスクリーンショットなどで情報やデータを保存できることを踏まえたうえで、発信をする。「その情報は本当に発信していいものなのか」「その情報は本当に残すべきものなのか」を、しっかり事前に問いかけることで、後悔後に立たずという状況を避けることができるのではないだろうか。

【関連記事】デジタルウェルビーイングとは・意味
【参照サイト】 デジタルタトゥーとは?
【参照サイト】あさイチ!デジタルタトゥーは何?どんなことが起こるの?消せるの?
【関連サイト】違法・有害情報相談センター
【関連サイト】一般社団法人セーファーインターネット協会




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