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IPCCとは・意味

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Image via Pixabay

IPCCとは?

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)とは、各国から集まった気候変動に関する専門家集団のことである。気候変動の人為的な要因を探るため、研究に用いる情報の収集・整理及び科学的な根拠の提供を目的としている。

また、気候変動がもたらす地球環境への影響やそれに伴う被害の想定も行なっている。気候変動の影響は既に各地で発生しているため、それらに対してどのように適応し、緩和していくかを示すことも重要な役割となっている。

IPCCの活動について

数年おきに発行される、最新の知見をまとめた「評価報告書」の作成が主な活動である。評価する内容に従って以下3つの組織に分かれている。

    IPCCの活動主体

  • 自然科学的な根拠に基づいて環境への影響を分析する「第1作業部会」
  • 社会と自然への影響と適応策、及び脆弱性を指摘する「第2作業部会」
  • 温室効果ガスの抑制を通じて気候変動の緩和策を示す「第3作業部会」

報告書は、政策決定者向けの要約と詳細が記された2つのバージョンが作成され、それぞれの部会でまとめられた内容は、最終的に「統合報告書」として1つにまとめられる。その他、土地や海といった著しい被害が想定される対象や現象についてまとめた「特別報告書」や、各種報告書の内容をもとに作成される「技術報告書(Technical Paper)」が不定期に発行されている。

3つの作業部会と評価報告書の作成とは別に、「インベントリ・タスクフォース」という組織がある。温室効果ガスの排出量を算定し、より適切な算定方法の開発と改善及び各国の排出量の目録作成を主な役割としている。直訳すると「目録作成のための特別部隊」であり、「方法論報告書」を通じて各国に排出量の算定を促している。

    IPCCの主な刊行物

  • 評価報告書(Working Group Report):各部会が作成しまとめたもの
  • 統合報告書(Synthesis Report):3つの評価報告書の内容をまとめたもの
  • 特別報告書(Special Report):特定のテーマに関してまとめたもの
  • 方法論報告書(Methodology Report):温室効果ガス排出量や算定方法をまとめたもの

各種報告書の作業計画は総会で決定される。2名の総括代表執筆者を中心として各章の執筆者が選ばれ、専門家と政府による査読を経て、最終案はIPCCの公式HPに掲載されてパブリックコメントを受け付けたのちに公開される。

IPCCの目的はあくまで、気候変動に関してあらゆる領域の文献をもとに社会や環境への影響を評価することであり、新たな研究活動を行うことはない。また、IPCCが公表する報告書は、各国の政策立案者への助言という位置づけであり、政策そのものの提案は行わない。

IPCC設立の経緯

気候に関する地球規模の観測は1957年にはじまっている。継続的な調査の結果、温室効果ガスの上昇といった環境変化は人間活動の活発化に起因していることが明らかとなり、1972年には初めて国際規模で環境問題を取り上げた国際連合人間環境会議が開催され、「国連環境計画(UNEP)」設立のきっかけとなった。

1979年には「世界気象機関(WMO)」が第1回世界気候会議を開催、各国が連携して気候プロセスの理解と自然的及び人為的要因の調査に努めることを求め、地球環境の変化が社会経済活動に著しい影響を与えることを警告した。これらを受けて危機感を感じた研究者らが中心となって研究が続けられ、1985年には気候に関するはじめての学術的な国際会議が開かれた。そして1988年、UNEPとWMOによってIPCCが設立された。

100年前に始まった気象観測をきっかけとするIPCCの活動は、2014年に公開した第4次報告書でノーベル平和賞を受賞。2018年に公開された「1.5度特別報告書」では、パリ協定で定められた1.5度から2度の温度上昇に留めるという目標に対して、わずかな差が地球規模にとっては甚大な被害をもたらすことに警鐘を鳴らした。その他、主な活動を以下の表に示す。

    IPCCの活動歴

  • 1990年 第1次評価報告書の概要を公開
  • 1995年 第2次評価報告書を国連気候会議(COP1)で公開
  • 2001年 第3次評価報告書(初めての統合報告書)を公開
  • 2007年 第4次評価報告書を公開し、ノーベル平和賞を受賞
  • 2013~2014年 第5次評価報告書を公開
  • 2018年 1.5度特別報告書を公開
  • 2022年 第6次評価報告書を発表予定

経済成長と気候変動対策を同時に進めることは容易ではないが、循環型経済の実現に向けて各国が様々な政策を打ち出している。最終的な政策決定は政府が行うとはいえ、IPCCほどの信頼性と影響力を持つ機関は多くない。今後の活動にも期待を込めて見守っていきたい。

【公式サイト】 IPCC — Intergovernmental Panel on Climate Change
【参照サイト】 IPCCの歴史と活動の概要
【参照サイト】 The origins of the IPCC: How the world woke up to climate change
【参照サイト】 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル

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