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エスニック・メディアとは・意味

エスニックメディア

エスニック・メディアとは?

エスニック・メディアとは、特定の国や地域における人種民族的マイノリティによって作り出される新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどのメディア。主に、母国ではない地域で暮らす外国人住民が日常生活に必要な情報を得るために作られ、限られたコミュニティ内で流通するメディアを指す。

近年、グローバリゼーションという言葉に象徴されるように、人やモノの国境を越えた移動はますます活発になっている。

島国である日本においても、戦前の1920~30年ごろには朝鮮半島からの移民が、戦後のバブル経済期には東南アジアや南米から出稼ぎを目的とした移民が増加した。そのような人たちは、日本に渡った後に仕事や住まいを探すため、無料の自国語の情報誌、すなわちエスニック・メディアを指針としていた。

エスニック・メディアの歴史

今やメディアは紙媒体・デジタル媒体などさまざまな形態で存在するが、エスニック・メディアの歴史をたどると、近年の印刷術の発明とともに発展している。

ヨーロッパで最も古いエスニック・メディアと言われるものは、1677年にオランダで発行されたフランス語新聞「Gazette de Leyde」だと言われている。1868年には、アメリカにおいて最初の邦字新聞「よのうはさ」が発行され、国外に移住した日本人を対象としたメディアも発展していった。

その後技術の進歩にともない、エスニック・メディアはラジオ・テレビ・インターネット放送とさまざまな形態に変化し今も多数存在している。

エスニック・メディアの社会的機能

エスニック・メディアには大きく分けて2つの機能があると考えられている。1つ目はその地域のエスニック集団への帰属意識を醸成する機能、2つ目は現地のマジョリティ集団とのつながりや、他のエスニック集団との関わりを生む機能だ。

特に移住したてのころは、移住者がすべき手続きや生活に便利な店など自分と同じ言葉・目線で書かれた情報を重宝するだろう。エスニック・メディアを通して現地のエスニック集団との交流が深められれば、慣れない世界で生活していく際の心の拠り所にもなるはずだ。

また、ベテラン移住者が発信するメディアから、移住先のマジョリティ集団との関わり方や文化の違いなどを知ることもできる。日本においては、たとえばメディアの言語が日本語であれば、日本人や長期間日本に住んでいる人でなければ理解が難しいかもしれない。そのため、一方的な情報収集としての意味合いが強くなる。しかし、外国語で書かれていれば、自分の属するエスニック集団と他のエスニック集団とのつながりを得る機会ともなりうるだろう。

このようにエスニック・メディアは、所属を同じくする人々との絆を深めたり、別の集団に属する人々との交流を図ったりする役割を持つのだ。

エスニック・メディアの今後

インターネットやSNSの発達によって世界はより身近になり、情報の入手も容易となった。コロナ禍で一時的に国境を越えた移動が制限されたが、今後も地球規模での人やモノの交流はより活発になっていくだろう。

日本はまだ単純労働移民の受け入れなどに積極的とは言えないが、少子高齢化によって労働力不足が顕著となる中、今後も同じ態度を貫き通すことは難しいはずだ。反対に、仕事や教育環境を求めて海外への移住を決める日本人も増える可能性もある。

ただ時代や技術がどれだけ進んでも、住み慣れた地域への愛着や安心感は消えることがなく、形は変われどエスニック・メディアは多くの人々の心の拠り所として残り続けるだろう。

【参照サイト】櫻井 武 – グローバリゼーションとエスニック・メディア
【参照サイト】本田 美穂子 – グローバ リゼーション下の新 しいエスニック ・メディア




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