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Bi-Tech(バイテック)とは・意味

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Bi-Tech(バイテック)とは?

Bi-Tech(バイテック)とは、行動インサイトとAIやIoT技術を組み合わせて活用し、自発的な行動変容を促す取り組み(ナッジ)のこと。2017年4月に環境省のイニシアチブのもと発足した「日本版ナッジ・ユニット(BEST)」が提唱する取り組みである。

行動インサイト(Behavioral Insights)の頭文字と、技術を意味する「Tech」を組み合わせて「Bi-Tech」と呼ぶ。

Bi-Techは、社会課題の解決にも役立つとして注目される「ナッジ」という行動インサイトの手法に、ビックデータ分析等の技術を融合することで、より効果的な働きかけができるとされている。

ナッジのパーソナライズ=Bi-Tech(バイテック)

ナッジ(Nudge)とは英語で「そっと後押しする」といった意味で、行動経済学の手法のひとつだ。人の行動心理などを研究する「行動科学」に基づいて情報発信を工夫することで、人々が自分自身にとってより良い行動を自発的に取れるように促すアプローチ方法を指す。

ナッジは個人の選択の自由を尊重しながら行動変容を促すため、法令や補助金などの手法に比べて自由度と費用対効果が高いといわれ、欧米をはじめ世界の政府機関も政策に活用し始めている。

このナッジをより効果的なものにするには、個々によりパーソナライズされた働きかけを行うことが必要だといわれている。そこで情報のパーソナライズに、IoTやAIなどの先端技術を活用するのがBi-Techだ。

Bi-TechではIoT技術で収集したビックデータをAI技術を用いて解析し、そのデータをもとに行動科学に基づいた情報発信を行う。こうして個々に最適化されたメッセージを送ることで、より効果的かつ自然に人々の行動変容を促すことができる。

Bi-Techの事例

日本版ナッジ・ユニット(BEST)は、現在CO2削減対策にBi-Techを活用する実証事業を行っている。Bi-Techを用いてパーソナライズした情報を発信することで、一般家庭で自発的にCO2対策を行うよう促す施策だ。

「スマートメータと省エネレポートを活用したBi-Tech」

2017〜2018年に50万世帯を対象に行われたのが、スマートメーターのデータをもとに作成された家庭用「省エネレポート」を各世帯に送付する実証実験(省エネナッジ)だ。

省エネレポートには、スマートメーターの情報から分析したエネルギーの使用状況をグラフやコメントを使って示した。また行動科学の知見に基づいた、以下のようなメッセージを盛り込んだ。

他世帯とのスコア比較
人は周りの行動や考えに合わせたがる性質があるという「同調性」を利用したメッセージ。

理想的な数値の提示
人は、社会の多くの人が取っている行動が望ましい規範であると判断し、それに沿おうとするという「社会規範」の概念に基づくメッセージ。

エネルギー使用量の損失を強調するメッセージ
人は何かを得る喜びよりも失う痛みの方に強く反応するという「損失回避性」に基づくメッセージ。得する内容よりも損失を示す方が人はアクションを起こしやすいという。

この結果、省エネレポートを受け取った世帯はそうでない世帯に比べ、送付後2〜3ヶ月で約2%ほどCO2排出が減少したという。

モバイルアプリ・LINEを活用したBi-Tech

上記の省エネレポートと併せて行われたのが、モバイルアプリやLINEを通じて省エネアドバイスを提供するデジタルナッジだ。

アプリには省エネレポートと同じく、よく似た家庭・省エネ家庭とのエネルギー使用量の比較や省エネアドバイスが記載された。また、LINEメッセージで「エネルギーを使いすぎていませんか」といった、使用状況確認のメッセージなどを送信した。

こうした省エネアドバイスの提供により、実証では約3%の意識的な省エネ効果が確認されたという。

GPSセンサーとスマホアプリを活用したBi-Tech

また、エコドライブを推進する施策として行われたのが、GPSセンサーとスマホアプリを活用して「エコドライブ診断レポート」を提供する実験だ。この実証ではGPSセンサーを活用して車両の加減速や等速性を計測し、スマホアプリで「エコドライブ診断レポート」を提供した。

「エコドライブ診断レポート」では下記のような情報を提示し、ドライバーの行動変容を促した。

  • 速度変化計測機能に基づく燃料消費量の推定値
  • 行動科学の「同調性」に基づいた運転スコアランキング
  • 「損失回避性」に基づいたエコドライブアドバイス

また、人は他人に意思決定を制限されることに生理的抵抗を覚え、逆の行動をとるという「ブーメラン性」を抑えるため、診断結果を好意的な表情で示す顔マークも表示した。

この実証は世界に例がない取り組みであったため小規模で行われたが、アプリを使ったエコドライブ推進により、燃費改善効果が高まる可能性が示唆されたという。今後、より大きな規模で実証を進め統計を出していく予定だ。

Bi-Tech のこれから

Bi-Techはまだまだ実証段階ではあるが、今後さまざまな政策領域への活用が期待されている。

しかしBi-Techをはじめとする「ナッジ」は、海外で効果のあったものが日本で同様に効果があるとは限らない。また国内であっても条件が違えば異なる結果を生む場合もあり、期待した効果が得られない可能性もある。パーソナライズすることでナッジをより効果的にするBi-Techだが、必ずしも万能ではないことを認識したうえでひとつひとつ検証していかなければならない。

Bi-Techは、フィンテック(金融×技術)やヘルステック(健康×技術)に代表される「クロステック」の新たな分野と位置づけられ、今後も実証が進められる。将来的には環境エネルギー、健康医療、交通、教育など、あらゆる分野の社会課題の解決策に活用されるかもしれない。

【参照サイト】成長戦略・統合イノベーション戦略・AI戦略等の政府方針に位置付けられたBI-Tech(バイテック)について(ナッジ関連)|環境省
【参照サイト】BI-Tech:行動インサイトとAI/IoT等技術の 融合によるwell-beingの向上|環境省(日本版ナッジ・ユニット BEST 事務局)
【参照サイト】「行動インサイト」×「AI/IoT等先端技術」(BI-Tech) を活用した行動変容の促進について|環境省(日本版ナッジ・ユニット BEST)
【関連ページ】ナッジとは・意味
【関連ページ】ナッジとデザイン思考で人間中心の政策づくりを支援する「PolicyGarage」




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