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自然資本プロトコルとは・意味

木と人間の手

自然資本プロトコルとは?

自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)とは、企業経営の中に自然資本マネジメントを取り入れるための考え方と手順をまとめたフレームワークであり、2016年7月に自然資本連合(Natural Capital Coalition)により発表された。 企業活動が自然資本にどのような影響をもたらし、またどのように依存しているかといった相互作用を明らかにし、これらの影響や依存度を計測、価値評価するためのプロセスや手法を示している。

自然資本プロトコルは、自然資本をビジネスのプロセスに組み込むことでより良い意思決定につなげることを目指しており、あらゆるビジネスセクターで使用することができる。また、地域や組織のレベルを問わず活用が可能なフレームワークとなっている。

自然資本プロトコルの背景

そもそも、企業が意思決定に自然資本を組み入れる必要があるのはなぜだろうか?

自然資本とは、人々に一連の便益をもたらす地球上の天然資源のストックであり、植物、動物、空気、水、土壌、鉱物などが該当する。これらの自然資本は、企業活動を含む社会全体の基盤といえる重要な要素であるが、これまで経営の意思決定において自然資本の価値はほとんど考慮されてこなかった。大半の企業にとって、自然との相互作用がキャッシュフローやリスク特性におよぼす影響は限られており、たとえ影響を及ぼすとしても、損益計算書や貸借対照表に数字として表れるわけではない。つまり「外部性」として捉えられてきた。

しかし、将来的にこれらの「外部性」が内部化につながる要因がいくつかあるとされる。以下がその一例だ。

  • 規制措置や法的措置の増加
  • 市場原理と変化する事業環境
  • 社外のステークホルダーによる新たな活動や彼らとの関係
  • 事業の透明性を求める声の高まりや、将来の成功には透明性が重要だと認識する企業が自主的にその向上に努めるようになってきていること

天然資源の枯渇や生態系の破壊・劣化が地球が修復できる速度を上回るスピードで進んでいる今日において、自然資本の価値を適切に評価し、経営に統合していくことが、企業経営や社会の持続可能性の向上につながると考えられるようになっている。

自然資本プロトコル開発の経緯と発展

2012年に発足した自然資本連合は、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)によって立ち上げられた団体で、世界の200以上の企業、NGO、研究機関や基準設定主体との協働により、企業向けの自然資本会計の世界共通の枠組みである自然資本プロトコルの開発に取り組んできた。

自然資本プロトコルの枠組みは、2015年6月に草案が公表され、パブリック・コメントのプロセスを経て2016年7月に公表された。なお、自然資本プロトコルは日本語版も作成・公開されている。

自然資本連合は、2020年1月に社会・人的資本連合(Social and Human Capital Coalition)と統合され、新たに資本連合(Capitals Coalition)として立ち上がった。資本連合は、資本アプローチ(Capitals Appcoach)を推進する団体として、プロトコルやセクター別ガイダンスの普及、ケーススタディの共有等を進めており、380以上の国際機関や企業、団体と協働している。

自然資本プロトコルの内容

自然資本プロトコルは、「フレーム」「スコープ」「計測と価値評価」「適用」という4つのステージから成り立っており、4つのステージはさらに9つのステップに分かれている。それぞれのステップでは、自然資本の評価・管理を行う上で確認すべき「問い」が示されており、ステップを完了することによってその問いに答えることができるようになっている。4つのステージと9つのステップの内容は以下表のとおりである。

自然資本プロトコル説明図
例えば、ステップ1.を完了させるためには、自然資本が自社のビジネスにどう関連するかを理解することが必要であり、以下の3つの具体的なアクションが提示されている。

  1. 自然資本の基本的概念を把握する
  2. これらの概念をビジネスの文脈に適用する
  3. 自然資本評価の準備を行う

自然資本プロトコルでは、各アクションについて、解説や事例、具体的なアプローチ等が示されており、例えばステップ1.のアクション「1. 自然資本の基本的概念を把握する」の場合は、自然資本のストックとフローの基礎に関する概念、企業と社会や自然資本の相互作用に関する考え方等について解説されている。これらのアクションをひとつずつ完了させていくことで、ステップを進めていくことが可能となっている。

まとめ

自然資本を含む非財務資本は、企業経営においてますます重要となってきている。非財務情報は、測定・価値評価したうえで、意思決定や戦略策定、そして開示やレポーティングに活用していくことが可能となるため、本プロトコルが提示する測定と価値評価のフレームワークは、非財務資本をビジネスプロセスに組み込むための基盤であると言える。自然資本プロトコルは、社会・人的資本プロトコルと併せて、あらゆる企業や組織にとって利用可能で基礎的なフレームワークであるといえよう。

【参照サイト】Capitals Coalition
【参照サイト】自然資本プロトコル(日本語版)
【参照サイト】The Natural Capital Coalition and the Social & Human Capital Coalition Unite as the Capitals Coalition

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