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キャリアブレイクとは・意味

キャリアブレイク

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キャリアブレイクとは?

離職や休職などで一時的に仕事から離れ、心身のリフレッシュやスキルアップをしたり、新たな経験を積んだりするためにブレイク(休憩)を取る期間のこと。日本では職を離れることは無職やニートになるといったネガティブな印象を与えることが多いが、キャリアブレイクは仕事のルーティンから少し離れて、自分のキャリアプランや選択を見直すというポジティブな目的を持つ。

欧米においては新しい概念ではなく、高校卒業後、大学入学前に社会体験などを行う「ギャップイヤー」や長期勤続者が取得できる「サバティカル休暇」など、長期休暇を積極的に取得し活用することは一般的だ。日本でも終身雇用制度があたりまえではなくなり、人生100年時代とも言われる今、キャリアブレイクへの注目度が高まっている。

一般社団法人キャリアブレイク研究所によると、厚生労働省「令和2年転職者実態調査」(※) を読み解くと、日本でも35人に1人がキャリアブレイクを実践しているとの結果が出ているという。

キャリアブレイクの期間は決まっておらず、数週間、数カ月〜半年程度と様々だが長ければ数年にわたる場合もある。

キャリアブレイクの目的

キャリアブレイクを取る理由はさまざまだ。それぞれの状況やライフステージによって目的は異なるが、ここでは代表的なものをいくつか紹介する。

  • 家族との時間を優先する
  • 仕事上でのストレスからの解放など、メンタルヘルスやウェルビーイングに集中する
  • 海外旅行や海外で働くなど違うカルチャーに触れる
  • リスキリングや資格取得などスキルセットを高める
  • 新しいコミュニティや人とつながるなど、仕事上のネットワークを広げる

より良いキャリアブレイクを取るために

キャリアブレイクを効果的なものにするためには、ブレイクを取得する準備段階で何をすべきかやブレイク中どう過ごすか、復職に向けてどんなステップを踏むかなどについて、しっかりとプランを立てておくことが重要になる。下記のヒントなどが役に立つかもしれない。

これまでのキャリアを振り返る

現在の職を離れる前に、自身の現在のキャリアについて振り返る時間を取ろう。現在の職務における成果や課題、満足度などを評価する良い機会になる。また、査定や昇進などの可能性があるならば、ブレイクを取る時期を改めることもあるかもしれない。キャリアを中断することで起きる影響や、キャリアの方向性などを検討し、将来的な目標に近づけるか考えてみると良いだろう。

詳細なスケジュールを立てる

キャリアブレイク中にやりたいこととその期間について、できるだけ詳細にスケジュールを立ててみよう。そうすることで、現実的にかかる費用などが計算でき、その他の準備もしやすくなる。また、ネットワーク構築のために誰に会うのか、どこで何を勉強するのかなどもできるだけ具体的に決めておいた方がよい。ただし、必ず決めたとおりにやらなければいけないということではなく、ある程度のフレキシビリティも必要だ。

収入源や貯蓄などの確認

休職・離職中は安定した収入がなくなることを考え、期間中の出費をカバーすることや、復職が予定より長引く場合などに備え貯蓄をしておくことも大切だろう。不測の事態などが起こった際のバックアップとして、副業など別の収入源を確保しておくのもよいかもしれない。また、これまでの出費を見直し、無駄をなくすこともひとつの対策だ。

現在の雇用先へ通知

キャリアを中断することを決めたら、現在の雇用先に十分な期間を持って伝え、雇用主側とオープンに話し合うことが重要だ。雇用主によってはサバティカル休暇としての取り扱いやインセンティブなどのオプションを提示してくれる場合もあるかもしれない。また、再雇用が可能かなどについても確認しておくと、復職時のプランのひとつになる。

これまでのネットワークを維持する

これまで仕事を通じて築いたネットワークは、今後のキャリア人生においても大切なものだ。キャリアブレイクの期間中も、同僚や、同業者、メンターなどさまざまなつながりを維持することで、再就職の際にサポートや指導、また就職先の紹介など有益な機会を与えてくれるかもしれない。

キャリアの空白期間を説明できるようにしておく

キャリアブレイクは決してネガティブなことではなく、再就職の際に雇用主に隠すことではないが、雇用主によっては否定的に捉えられかねない場合もあるだろう。そうした際に、期間中に得られた経験やスキル、チャリティやボランティア活動なども含め、新しい職務にどのように役立つかを説明できるよう、ポイントを整理しておいた方がよいだろう。

復職に向けた準備

復職を予定している場合は、キャリアブレイクが終わるまでの間に、復職に向けた準備をしておくことも必要だ。以前と同様の職務への復帰を目指すのか、キャリアチェンジを図るのか、起業・独立などを考えるのか、もう一度自身のキャリアの目標を見直し、それに合わせたコネクション作りや資格取得、業界サーチなどを行うと良いだろう。

キャリアブレイクを楽しむ

しっかりと自分と向き合い、準備をした上での決断であれば、この時間を自身の成長のために使い、得たものを今後のキャリアに生かせるものにしよう。そのためにはキャリアブレイクを楽しみ、最大限に活用するマインドを忘れないことだ。

企業側の視点

一方、企業側はキャリアブレイクについてどのような意識を持っておくべきなのだろうか。

日本においては、長期で何かにチャレンジするとなると、一旦離職することを選ばなければいけない場合も未だに多い。それでも近年は男性の育児休暇やサバティカル休暇の制度を設ける企業なども少しずつ増えてきている。また、2022年にビジネス向けのSNSであるLinkedInが職歴欄にキャリアブレイクを選択できる機能を追加したことも話題となり、社会的にキャリアブレイクをポジティブに捉える動きが出てきている。

企業側も今後、離職期間をマイナス評価にするのではなく、本人がその期間をどのように捉え、何を学んだり得たりして今後につなげようとしているのか、という点にフォーカスし、キャリアの一つのステップであると認識する姿勢も大切だ。

実際にキャリアブレイクを経験した人が、これまでと違った事業へのアプローチを提案してくれたり、社内になかった価値観を持ち込んでくれたりと、組織にとってプラスとなる可能性もある。また、そうした制度にポジティブである姿勢を見せることは、既存の従業員にとってのモチベーションを高めることもできるし、採用面では多様な人材の確保に結びつけられる。人的資本の向上のためにも、従業員側との相互理解が必要だ。

まとめ

仕事から離れた時間や、さまざまな出会いや経験が人生をとても豊かなものにしてくれるかもしれない。また、離れることで、自分自身の目標や価値観を再認識し、その結果得られた感性やエネルギーが、その後のキャリアの中で生かされ、ビジネスにもポジティブな影響を与えることもあるだろう。キャリアブレイクがそうした良い循環を生み出すものとして社会に浸透すれば、今よりも人生を楽しめる人が増えるのではないだろうか。

厚生労働省 | 令和2年転職者実態調査の概況

【参照サイト】Indeed.com | What Is a Career Break? (With Definition, Steps and FAQs)
【参照サイト】FDM Group UK | Career break guide: definition, reasons and tips
【参照サイト】キャリアブレイク研究所 | 第1期_アニュアルレポート.pdf
【参照サイト】東洋経済オンライン |日本でも35人に1人が実践「前向きな離職」の正体 職場でのモヤモヤを解消する「キャリアブレイク」
【参照サイト】 日本経済新聞 | キャリアブレイクとは? 新たな人生を切り開く手段に
【参照サイト】d’s JOURNAL(dsj)| キャリアブレイクとは?従業員のキャリアに関する捉え方を解説
【参照サイト】 MSAgent | キャリアブレイク経験者は何割?過ごし方や期間、満足度などを調査




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