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Z世代(ジェネレーションZ)とは・意味

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Z世代(ジェネレーションZ)とは?

「Z世代(ジェネレーションZ)」とは、1990年代後半〜2010年代前半に生まれた世代を指す。1981年〜1990年代半ばごろに生まれた「ミレニアル世代」に続く世代層を示す。

Z世代は、幼少期からソーシャルメディアの普及を経験し、10代〜20代前半で新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動による自然災害の増加を目の当たりにしてきた。社会構造の変化に直面しながら成長した世代である。

2025年現在では、Z世代は10代後半〜20代後半にあたり、共通する価値観を持つ一方、各国の社会状況に影響を受ける側面もある。本記事では、Z世代の特徴と各国の状況を紹介する。

Z世代(ジェネレーションZ)と各国の状況

オンラインの接続と孤独

新型コロナウイルスのパンデミックを経験し、10代〜20代前半でオンラインでのコミュニケーションが急速に発達した時期を過ごしたZ世代は、デジタル環境に深く接続されている。一方で、孤独感やメンタルヘルスの問題にも直面している。

マッキンゼーの調査によると、ソーシャルメディアに1日2時間以上費やすZ世代は、メンタルヘルスに悪影響を受けやすい傾向がある。特に、自身のメンタルヘルスが「悪い」または「非常に悪い」と答えたZ世代の割合は、団塊の世代と比べて約2.5倍高く、他の世代よりもウェルネス関連のアプリやプログラムを使用する傾向がある。

各国の状況

中国:中国のZ世代は「友情不況」に陥っているという。この言葉は2023年に中国国内で流行語ともなった。ソーシャルソフトウェアSoulの調査によると、Z世代ユーザーの3分の1が「ほとんど常に孤独を感じている」と答えており、親しい友人が2.5人しかいないという報告も。SNS上で一時的な会話相手を有料で探す「コンパニオンチャット」の市場が拡大し、2025年には69億ドル規模に達すると試算されている。

フィリピン:フィリピンは、家族を大事にする友好的なイメージがあるが、SNSに費やす時間の長さが世界第4位(1日平均3時間34分)であり、「かなり、あるいはまあまあ孤独を感じる」と答える人の割合が世界第2位の国である。都市化の急速な進行も孤独感を増幅させている。

日本:ビッグローブの2023年の調査では、Z世代の回答で「オンラインで済むものはオンラインで済ませたい」は76.9%、「人と対面で会うのが好きではない」と答えたのが54.0%となり、いずれもほかの世代より回答数が多かった。また、「寂しさや孤独を感じることがある」と答えたZ世代も63.1%で、年代が上がるにつれて孤独を感じなくなっていくことが分かった。

物価上昇の影響

Z世代は物価高騰の影響を特に受けやすい。家賃や生活費の上昇に加え、金利上昇により学生ローンの負担も増している。

各国の状況

アメリカ:アメリカのZ世代は2023年後半の時点で、Z世代のカード保有者の1.6%が60日以上支払いを滞納。これは、10年前のミレニアル世代の1%と比べ高い水準。22歳〜24歳のZ世代のクレジットカード残高の平均は2,834ドルで、2013年時点のミレニアル世代の2,248ドルよりも増加。

中国:コストパフォーマンスの高いライフスタイルと、自分の健康や美容をリーズナブルに守る「ご自愛」セルフケアが中国のZ世代のトレンドとなっている。支出を抑え、生活を楽しむ工夫として、地元産品への購買意欲が高まっているという。清華日経のZ世代に関するレポートでは、59%が地元産ブランドを好み、11.8%が外国ブランドを好むと報告されている。

持続可能性と行動変容

気候変動や社会課題への感度が高いといわれるZ世代。Z世代の62%が持続可能なブランドからの購入を好み、73%が持続可能な製品に高い金額を支払う意思があるという。一方で、Shein、Temuなど「超」ファストファッションが若者世代から人気を集めている。

こうした態度と消費行動のギャップの背景にあるものの一つが前述した経済不安だ。Z世代は中古市場を牽引しており、特に世界の中古衣料品市場は、2021-2023年で18%成長し、2028年までに世界の衣料品市場の3倍の速さで成長していると予想されている。

また、世界40か国の求人情報と7000人の労働者データをもとにしたLinkedInの調査によると、Z世代の61%が今後5年以内に環境に配慮した仕事に就きたいと考えているが、実際にそのスキルを持つZ世代のワーカーは20人に1人にとどまった。

各国の状況

インド:インドのZ世代とミレニアル世代は、世界の同世代と比較して、気候変動への意識が高い。2023年のデロイトの調査によれば、環境へのネガティブなインパクトを減らすために、ベジタリアンビーガンの食事をし、ファストファッションを避け、家のエネルギー効率を高め、商品を購入する前に企業を調べている、と答えたZ世代は79%(世界平均は60%)。

日本:グローバルノースからグローバルサウスまで10か国を対象にした2023年の電通総研の調査では、日本のZ世代は気候変動を「心配していない」と回答する割合が最も高くなった。一方で気候変動に対して「不安」と回答する割合は10か国の平均よりも高かったものの、その影響については楽観視している回答が多かった。

性的嗜好の多様化

Z世代はLGBTQ+を含む多様な性のあり方を積極的に受け入れる傾向が強い。北米や北欧では同性婚の合法化が進み、ジェンダーやセクシュアリティに対する認識が流動的である。26ヵ国を対象とした調査において、平均するとZ世代の17%がLGBTQ当事者であると自認しており、どの世代よりもその割合は高い。

各国の状況

イギリス:Z世代の40%が同性愛に惹かれると回答している一方、53%が異性にのみ惹かれると答えている。これに対し、団塊世代の77%は異性にのみ惹かれると答えた。

中国:中国でもZ世代の8%が同性愛者または両性愛者を自認しており、これはX世代やY世代よりも約3倍の割合である。

国家への帰属意識の低下

さまざまな価値観が交錯し、政治的・社会的な不安定要素が増すなか、Z世代の国家への帰属意識は低下している。

各国の状況

アメリカ:ギャラップ社の世論調査によると、成人全体の40%が「アメリカ人であることに非常に誇りを持っている」と回答。一方18歳から34歳の間で同じ答えをしたのはわずか18%だった。政治的分断、戦争、女性の権利や銃規制をめぐる議論が影響している。

オーストラリア:オーストラリアでは国防軍が深刻な採用危機に直面している。その原因として、民間企業の魅力的な雇用条件があるといったことのほかに、世代のメンタルヘルス低下が軍務の障害になっていること、ほかの世代と比べて国家への誇りが薄れつつあること、Z世代が他者への奉仕よりも、自分自身の成長と幸福に動機づけられていること、といった文化的要因があるとしている。

Z世代(ジェネレーションZ)が担う未来

社会的な大きな出来事を経験し、価値観や行動様式に独特の特徴を持つZ世代。テクノロジーとの共存や多様性の受容、国家意識の変容を通じて、彼らは既存の社会構造を変革する可能性を秘めている。彼らの価値観を理解し尊重することは、持続可能な社会の構築に不可欠になっていくだろう。

【参照記事】ミレニアル世代(ミレニアルズ)とは・意味
【参照記事】What We Know About Gen Z So Far




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