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ピンクフレーションとは・意味

ピンクインフレーション

ピンクフレーションとは?

ピンクフレーション(pinkflation)とは、女性向け衣類やファッションアイテムの価格が、男性や子ども向けの衣類よりも上昇している状態のことを指す。

2020年代に入ってから、新型コロナのパンデミックやウクライナ情勢などによって世界各国で物価の上昇が進んでいる。そうした中で、スイスの新聞社「NZZ am Sonntag」が男性や子供向けの服よりも婦人服の価格が上がっていることを消費者データから割り出し、ピンクインフレーション(ここでは“女性のもの”を意味するピンク+インフレーション)と呼んだ。

ピンクフレーションの実態

NZZ am Sonntagの調査によれば、2000年と比較して2022年6月の女性服の価格は約6.5%上昇している。一方で、男性や子供向け衣服の価格はおよそ0.3%の上昇にとどまっていることがわかった。ユニセックスのスポーツウエアなどにおいても、特に価格の変動はない。

かつてより、似たような商品やサービスであっても、女性向けに販売される場合の方が男性向けに販売される場合よりも価格が高いことを表現した「ピンク税(pink tax)」が世界各地で問題とされてきた。

しかし今回のように「インフレ(物価上昇)」において、同等の商品であっても女性向け・男性向けによって価格の上昇度合いが変わるという現象は、新たな事実として捉えてよいだろう。

ピンクフレーションが起こる理由

基本的に衣服は女性向け・男性向けのどちらも同じ原材料かつ同じ工場で製造されているにも関わらず、なぜ価格の上昇度合いに差が生まれるのだろうか。

その理由として、NZZ am Sonntagは女性は男性よりもファッションに多くの金額を費やすことに抵抗がないためだと述べている。価格が多少上がったとしても、女性の購買意欲は落ちにくいとされているのだ。

一方で男性は、衣料品の価格が上がると購入を控えたり安価な製品に乗り換えたりすることが多いため、販売サイドも価格を上げづらいという現状がある。多くの企業は、こうした傾向を経験や調査の結果から把握した上で、価格に反映しているのである。

ピンクフレーションをどう捉えるべきか

女性向け衣類には、大衆向けのリーズナブルなものから高級品まで豊富な種類があり、女性自身に選ぶ自由や権利もある。

しかし同じ製品・サービスでありながら、対象となる性別が異なるだけで価格も上がることが、経済的な圧迫を生むことは事実だ。需要と供給のバランスで市場価格が決まる資本主義社会において、企業のマーケティング戦略によって生まれるピンクレーションは、生活に余裕のない人を苦しめることになっている。

NZZ am Sonntagは、現在多様化が進む中でファッションにおいても男女間の差は小さくなりつつある、と言及している。実際、「婦人服」や「紳士服」の区別がないユニセックスの衣類や、男性向けのメイクアップ用品なども増えている。

性による差別は許されるべきではないことを前提として、ファッションに対する性の意識の差がどのように変化していくのか、それによりピンクフレーションはどうなっていくのかについて今後も注目していきたい。

【参照サイト】NZZ magazine – «Pinkflation»: Mode wird nur für Frauen teurer
【参照サイト】Paris Good Fashion – “Pinkflation”, when fashion is more expensive for women #463




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