Browse By

持続可能な漁業とは・意味

漁業

持続可能な漁業とは?

持続可能な漁業とは、水産資源を長期的に維持するとともに漁業活動が自然環境に与える影響を最小限に抑えるよう適切に管理された漁業のことをいう。また、環境面だけでなく、これにより漁業で生計を立てる人々の生活を安定させるという社会的側面も含まれる。

枯渇しつつある海洋水産資源

FAO(国連食糧農業機関)は、生物学的に持続可能なレベルで漁獲されている海洋水産資源の状況について継続的なモニタリングを行っている。持続可能なレベルにある資源の割合は徐々に低下しており、2017年時点で66%となっている。

世界の海洋水産資源の動向

図表 世界の海洋水産資源の動向 出所:水産庁「令和3年度 水産白書」

こうした傾向は、世界人口の増加と生活水準の向上による魚介類の消費量の増加が原因だ。世界全体の一人あたりの魚介類年間消費量は過去50年間で約2倍に増加しており、特に中国は約9倍、インドネシアは約4倍になるなど新興国の伸びが著しい。

持続可能な漁業のための取り組み

持続可能性を維持するために、回遊魚であるカツオ・マグロや、サンマ・サバなどを対象に、国際的な水産資源管理が行われている。

カツオ・マグロ類を管理する地域漁業管理機関と対象水域

図表 カツオ・マグロ類を管理する地域漁業管理機関と対象水域 出所:水産庁「令和3年度 水産白書」

こうした水産資源保護の取り組みの脅威となっているのがIUU漁業(違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)な漁業の総称)である。IUU漁業による水揚げは毎年1,100~2,600万トンに上ると推定されており、漁獲量の割当を超える乱獲は漁業の持続可能性にとって大きな問題となっている。

こうしたIUU漁業に対して、持続可能な漁業で獲られた水産物であることを保証するMSC(Marine Stewardship Coucil:海洋管理協議会)認証制度の普及活動や、日本で2022年12月に施行された水産流通適正化法などの水際対策が国内外で行われている。 

水産流通適正化法の概要

図表 水産流通適正化法の概要 出所: NHK

また、FAOが公表した「2020年 世界漁業・養殖業白書」によると、世界のほとんどの地域で獲れた魚の30〜35%は海に戻されたり廃棄されたりして利用されていないという。その中には、本来は食用に供することができるにもかかわらず、サイズが規格外、見た目が悪いなどの理由で利用されていない未利用魚も含まれる。水産資源の持続可能性が危ぶまれる中で、未利用魚を食用に活用するさまざまな取り組みも行われている。

【参照サイト】水産庁 令和3年度 水産白書 全文:水産庁 (maff.go.jp)
【参照サイト】NHK 知っていますか?「IUU漁業」が世界中で問題に。【3分で解説!】 – クローズアップ現代 – NHK




用語の一覧

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行

ま行
や行
ら行
わ行
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
V
W
X
数字

FacebookTwitter