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イミ消費とは・意味

イミ消費

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イミ消費とは?

商品やサービスの持つ「社会的・文化的価値」に共感し、商品の購入を通じて社会貢献的な側面を重視する消費行動のこと。環境保護や地域貢献、フェアトレードなど、社会的な意義を考慮した商品やサービスを選択することなどがその一例である。「イミ=意味」であり、“地球市民として、正しい消費であるか?”と、対価を支払うものに対して意味を問う考え方である。ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した。

消費行動の変遷

人々の消費行動は時代背景によって変わっていく。戦後の高度経済成長を経た1970〜80年代、日本では“大量生産、大量消費”の時代を迎え、人々は家電製品や車、マイホームなどを手に入れたり、バブル期にはブランド製品などを所持したりすることに充足感を得るようになった。こうした「モノ(商品)」を購入し所有することに価値を置く消費行動は「モノ消費」と言われる。

バブル崩壊後、1990年から2000年代初頭にかけては「コト(体験)」に対価を支払う「コト消費」が注目されるようになる。人々がある程度モノを所有することに満たされたことや、景気停滞、SNSの登場などを背景とし、体験や経験、思い出など時間や空間の消費に価値を置くようになった。習い事、旅やグルメ、アクティビティなどがその例として挙げられる。

その後2010年代頃より、東日本大震災の発生や新型コロナウイルスの蔓延、SDGsの浸透など人々の価値観が変わる中で誕生したのが「イミ消費」だ。震災後やコロナ禍では、被災地の農産物やコロナで打撃を受けた企業の製品を購入する応援消費や、クラウドファンディングなどによる支援が活発化。消費者としてただ商品を購入するだけでなく、他者支援、地域貢献、環境保全、健康維持、歴史・文化伝承、自己表現など、そこに+αの価値を求める動きが強まった。

前述の竹田クニ氏は、Food Deployの記事にてイミ消費は消費の「あり方」を問うもので、これは「Be」の消費であると語る。竹田氏によると、先に挙げた3つの消費は下記のように定義できるという。

  • モノ消費=Have:何を持つか
  • コト消費=Do:何をやるか
  • イミ消費=Be:どうあるべきか

「Beの消費」=「地球市民として正しい消費を行える」ことは、豊かさの一つにもなり得る──そんな考え方がイミ消費なのだと同氏は語っている。

現在、新たな消費行動を牽引するのが、デジタルネイティブで、環境問題やボランティアなどに関心の高い、ミレニアル世代(1981年〜1990年代なかばごろまでに生まれた世代)やZ世代(1990年代後半〜2010年代前半に生まれた世代)だが、「イミ消費」もこの世代を中心に広がっている。

イミ消費の事例

イミ消費において大きな要素となるのが「共感」だ。商品そのものや生産者に対しての共感はもちろん、その商品のストーリーを誰かに伝え共有することや、共感に対し自らの消費を通じて誰かや社会の役に立つアクションを起こすことが、自身の満足感や肯定感にもつながっている。ここでは、いくつかイミ消費と言われている事例を紹介する。

他者支援

被災地の商品を購入したり、その土地を訪れて消費したりすることや、金額の一部を社会問題の解決に取り組む団体に寄付する商品を購入する、フェアトレード商品を選ぶなど、誰かを支援することで社会貢献につながる消費

地域貢献

ふるさと納税を行う、地産地消の商品やレストランを利用するなど、地域支援につながる消費

環境保全

プラスチックフリーまたはリサイクルプラスチックを利用した商品、カーボンオフセットを考慮した商品、フードロスの少ない商品の購入など、環境問題の改善に貢献できる消費

健康維持

自然由来のものから作られたオーガニック商品や無添加・無農薬の商品や、特定保険用食品(トクホ)や機能性表示食品など体への安全性や機能性が認められた商品を選ぶなど、自身の健康やウェルビーイングにつながる消費

歴史・文化継承

後継者不足などの問題を抱える伝統工芸品を購入することによる文化や技術を守ることの応援やサステナブルな暮らしの継承を推進する消費

自己表現

同じ目標を持った人とつながれるクラウドファンディング、無駄な出費や所有を減らすことができるシェアサービスやサブスクリプションなど、自分のライフスタイルを表現できる消費

まとめ

エシカルやフェアネスなど社会正義的な意味合いを持つイミ消費。最近では、より「自分にとって本当の心地よさとは何か」を求める傾向もあり、その定義も多様化している。例えば、WEBメディア・NEW STANDARDは「トキ消費」(その場、その時のみの体験といったライブ感や非再現性を重視する消費)や「エモ消費」(「楽しい」、「わかる」といったエモーショナルな感情を得ることを目的とする消費。推し活などもその一つ)といった細分化された消費も「イミ消費」の一部であるとしている(※)

豊かさの価値観が変わっていくなか、今後も新たな消費傾向が生まれていくのは確かだが、何かを購入や消費する際に、その「イミ」について考え、自分、相手や誰か、社会にとってポジティブなアクションにつなげられるよう意識するのは、いつの時代でも重要なことになりそうだ。

ニュースタ! | イミ消費とは? いま改めて「イミ消費」の意味を考える

【参照サイト】ホットペッパーグルメ外食総研 | 変「質」する外食市場 ~マーケットの読み方と付加価値の磨き方~(前半)
【参照サイト】FUTURE IS NOW | 第70回| イミ消費
【参照サイト】ニュースタ! | イミ消費とは? いま改めて「イミ消費」の意味を考える
【参照サイト】Food Deploy | 【竹田クニ】新潮流「モノ」→「コト」→「イミ消費」へ!「共感」の連鎖が供給難時代のカギ
【参照サイト】経済産業省 | 今後の生活製品の可能性~若者・世代マーケティングの立場から




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